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未
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ま
ふりがな文庫
“
未
(
ま
)” の例文
するとその中の幾匹かが、これは
湛
(
たま
)
らないと言ったふうに、大急ぎで逃げ出した。けれども
未
(
ま
)
だその大多数は
執拗
(
しつよう
)
に喰い付いていた。
首を失った蜻蛉
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
「ああ、いい事があらあ」
釈迦
(
しゃか
)
の十蔵と云う
未
(
ま
)
だ二十二三の男が叫んだ。彼は忠次の
盃
(
さかずき
)
を貰ってから未だ二年にもなっていなかった。
入れ札
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
それは
未
(
ま
)
だ食べられたが、困ったのは酒を強いられた事で、その酒たるや、正月に造ったという
濁酒
(
どぶろく
)
で、
蛆
(
うじ
)
がわいているのであった。
壁の眼の怪
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
いつでも
猫
(
ねこ
)
ッ
可愛
(
かわい
)
がりに愛されていて、身体こそ、六尺、十九貫もありましたが、ベビイ・フェイスの、
未
(
ま
)
だ、ほんとに子供でした。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
けれども彼は
未
(
ま
)
だ其自然を自認することが出来ず、
何処
(
どこ
)
までも自分を以前の父の
如
(
ごと
)
く、僕を以前の子の如く見ようとして居るのです。
運命論者
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
▼ もっと見る
鏡子は気に
掛
(
かゝ
)
る
良人
(
をつと
)
の金策の話を此人にするのに、
今日
(
けふ
)
は
未
(
ま
)
だ余り早すぎると
下臆病
(
したおくびやう
)
な心が思はせるので、それは心にしまつて居た。
帰つてから
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
未
(
ま
)
だ東京で三年前に買つた
儘
(
まゝ
)
のを
被
(
かぶ
)
つて居る僕の帽も
此
(
この
)
連中
(
れんぢゆう
)
の
垢
(
あか
)
染
(
じ
)
みた鳥打帽や
亀
(
ひゞ
)
裂
(
わ
)
れた
山高帽
(
やまだかばう
)
に比べれば謙遜する必要は無かつた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
「
左様
(
さう
)
だらう、
未
(
ま
)
だ結婚もしない、公然約束もしない、父母の承諾を得たでもない、其れで良人があるとすれば、野合の外なからう」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
私
(
わたくし
)
は
未
(
ま
)
だ
此
(
この
)
大佐
(
たいさ
)
とは
甞
(
かつ
)
て
面會
(
めんくわい
)
した
事
(
こと
)
は
無
(
な
)
いが、
兼
(
かね
)
て
聞
(
き
)
く
櫻木海軍大佐
(
さくらぎかいぐんたいさ
)
とは
無二
(
むに
)
の
親友
(
しんいう
)
で、また、
私
(
わたくし
)
の
爲
(
ため
)
には
終世
(
しゆうせい
)
忘
(
わす
)
るゝ
事
(
こと
)
の
出來
(
でき
)
ない
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
お前がおれの敵だったら、おれは
未
(
ま
)
だしも救われるだろう、だが、そうじゃない。おれたちは味方同志だ。憎み合っている味方同志だ。
河鹿
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
然
(
しか
)
るに満の計算によると、四歳といふことになる。従来の計算による常識だと、五歳以前の幼童は
未
(
ま
)
だまことに小さい感じである。
孫
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
博士を監視していた五十七ヶ国のスパイは、いずれも各自の
胸部
(
きょうぶ
)
に、
未
(
ま
)
だ
貫通
(
かんつう
)
せざる死刑銃弾の
疼痛
(
とうつう
)
を
俄
(
にわ
)
かに感じたことであった。
独本土上陸作戦:――金博士シリーズ・3――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
解
(
わか
)
つた、
松葉屋
(
まつばや
)
のお
稲
(
いね
)
の
妹
(
いもうと
)
の
金次
(
きんじ
)
が
待合
(
まちあひ
)
を出したと聞きましたが。乙「
未
(
ま
)
だ
僕
(
ぼく
)
は
家見舞
(
いへみまひ
)
に
行
(
いか
)
ず、
年玉
(
としだま
)
の
義理
(
ぎり
)
をかけてさ。甲「
好
(
よ
)
し/\。 ...
七福神詣
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
頼朝が
未
(
ま
)
だ病気にならない時、
御所
(
ごしょ
)
の女房頭周防の
女
(
むすめ
)
の十五になる女の子が、どこが悪いと云うことなしに
煩
(
わずら
)
っていて
亡
(
な
)
くなった。
頼朝の最後
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
それは、新しい未知の環境の中に
己
(
おのれ
)
を投出して、
己
(
おのれ
)
の中にあつて
未
(
ま
)
だ己の知らないでゐる力を存分に試みることだつたのではないのか。
環礁:――ミクロネシヤ巡島記抄――
(旧字旧仮名)
/
中島敦
(著)
『それに、加藤は
未
(
ま
)
だ廻診から帰つてゐまい。』と考へると、『然うだ。玄関だけで口上を済まして、静子を伴出して帰らうか。』
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
裙
(
すそ
)
が
未
(
ま
)
だ
此
(
こ
)
の
肱
(
ひぢ
)
に
懸
(
かゝ
)
つて、
橋
(
はし
)
に
成
(
な
)
つて
床
(
ゆか
)
に
着
(
つ
)
く、
仰向
(
あふむ
)
けの
白
(
しろ
)
い
咽喉
(
のど
)
を、
小刀
(
ナイフ
)
でざつくりと、さあ、
斬
(
き
)
りましたか、
突
(
つ
)
いたんですか。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「それは
未
(
ま
)
だ
確
(
しか
)
とは
極
(
きま
)
らんがの、
下谷
(
したや
)
に富山銀行と云ふのがある、それ、富山重平な、あれの息子の嫁に欲いと云ふ話があるので」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
そんなことは今の私には
未
(
ま
)
だ/\荷が勝ち過ぎるし、それに書くと云つても、自分一個の(たとへ独断にせよ)見識でも確立しての上で
「婦人解放の悲劇」自序
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
もし
斯
(
こ
)
の仕事が思ふやうに
捗取
(
はかど
)
つたら、いづれそれを持つて山を下りようと思ふ。けれども斯のことは
未
(
ま
)
だ誰にも言はずにある。
突貫
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
私は
未
(
ま
)
だいちども、
此
(
こ
)
の年少の友人たちに対して、面会を拒絶した事が無い。どんなに仕事のいそがしい時でも、あがりたまえ、と言う。
新郎
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
その他運動と云っても、当時は
未
(
ま
)
だベースボールもなく、
庭球
(
テニス
)
もなかったから、普通体操位のもので、兵式体操はやらなかった。
私の経過した学生時代
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その榧よいつよりか老い、この栗よいつよりか立つ。榧と栗さびにさびつれ、なほし
未
(
ま
)
だ花は咲きけり。年ごとに花はつけけり。
観想の時:――長歌体詩篇二十一――
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
偶然の一致か、それとも伯爵が古代ローマのオツフラを模倣したのか、そこまでは
未
(
ま
)
だ研究していないから、ここに断言し兼ねる
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
俳句の性格と言えば一番に「季」という事を
挙
(
あ
)
げねばならぬが、この「季」という事については
未
(
ま
)
だ新人諸君の詳説を聞かない。
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
新客
好
(
ず
)
きで、
未
(
ま
)
だ見ぬ客の前に膳を持つて行く事の好きなお米さへ、三田の御給仕は二三度で懲りて、成る可く外の者に讓る事にしてゐる。
大阪の宿
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
角川の家では
未
(
ま
)
だ眠らなかった。市郎の傷も
漸
(
ようや
)
く
癒
(
い
)
えて、
此頃
(
このごろ
)
は床の上に起き直られる
様
(
よう
)
になったので、看病の冬子は一旦わが家へ帰った。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
明治十一年のこと、当時私は
未
(
ま
)
だ
廿五
(
にじゅうご
)
歳の青年であったが、
東京
(
とうきょう
)
へ上京して四年後で、
芝
(
しば
)
の
花園橋
(
はなぞのばし
)
の
直
(
す
)
ぐ近所の
鈴木
(
すずき
)
某氏の門弟であった頃だ。
死神
(新字新仮名)
/
岡崎雪声
(著)
わが
國
(
くに
)
に
於
(
おい
)
て
此現象
(
このげんしよう
)
を
未
(
ま
)
だかつて
大規模
(
だいきぼ
)
に
起
(
おこ
)
したことのないのは、
單
(
たん
)
に
此現象
(
このげんしよう
)
を
起
(
おこ
)
すに
適當
(
てきとう
)
な
構造
(
こうぞう
)
の
場所
(
ばしよ
)
が
存在
(
そんざい
)
しないのに
因
(
よ
)
るものであらう。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
その冷やりと触れてくる空気の中で、微かに血の臭気が匂ってきた。それが、捜査開始後、
未
(
ま
)
だ四時間にすぎないのである。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
『
私
(
わたし
)
は
未
(
ま
)
だそれを
開
(
ひら
)
きません』と
云
(
い
)
つて
白兎
(
しろうさぎ
)
は、『だが、それは
手紙
(
てがみ
)
のやうです、
囚人
(
しうじん
)
の
手
(
て
)
になつた、——
何者
(
なにもの
)
かに
宛
(
あ
)
てた』
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
元来
(
がんらい
)
私
(
わたくし
)
は
涙
(
なみだ
)
もろい
女
(
おんな
)
、
今
(
いま
)
でも
未
(
ま
)
だ
泣
(
な
)
く
癖
(
くせ
)
がとまりませぬが、しかしあの
時
(
とき
)
ほど
私
(
わたくし
)
がつづけざまに
泣
(
な
)
いたこともなかったように
覚
(
おぼ
)
えて
居
(
お
)
ります。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
震災後の東京は漸次に近代都市の面影を加えてはいくようだが、
未
(
ま
)
だ未だ東京市街と住民との生活の間にはパリに於けるが如きアルモニーがない。
パリの散策
(新字新仮名)
/
辰野隆
(著)
或
(
あるひ
)
はラブがなかつた
故
(
せい
)
かも
知
(
し
)
れぬ。
妻
(
つま
)
が
未
(
ま
)
だ
心
(
しん
)
から
私
(
わたし
)
に
触
(
ふ
)
れて
来
(
く
)
るほど、
夫婦
(
ふうふ
)
の
愛情
(
あいじやう
)
に
脂
(
あぶら
)
が
乗
(
の
)
つて
居
(
ゐ
)
ない
故
(
せい
)
かも
知
(
し
)
れぬ。
背負揚
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
今朝裁判所から此通り私しを午後の三時に出頭しろと云て来ましたが、裁判官は虫も殺さぬ私しの所天へ人殺の罪を
被
(
き
)
せ、
夫
(
それ
)
で
未
(
ま
)
だ
飽足
(
あきたら
)
ず、私しを
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
トまた引懸りが有る、まだ
決徹
(
さっぱり
)
しない。文三
周章
(
あわ
)
ててブルブルと首を振ッて見たが、それでも
未
(
ま
)
だ散りそうにもしない。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「調馬は
未
(
ま
)
だしもよ、朝
夙
(
と
)
く法華経二部を、腹のそこから声を出して
誦
(
よ
)
んでみい。五臓六腑、一物もなくなってしまう」
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
何
(
なに
)
とはなしに
針
(
はり
)
をも
取
(
と
)
られぬ、
未
(
ま
)
だ
幼
(
いとけ
)
なくて
伯母
(
をば
)
なる
人
(
ひと
)
に
縫物
(
ぬひもの
)
ならひつる
頃
(
ころ
)
、
衽先
(
おくみさき
)
、
褄
(
つま
)
の
形
(
なり
)
など六づかしう
言
(
い
)
はれし
雨の夜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
悴
(
せがれ
)
と嫁の絶えない
争論
(
いさかい
)
の
為
(
た
)
めか
新
(
あらた
)
に幾本目かの皺が
面
(
おもて
)
にはっきり刻まれていたが、でも彼女は
未
(
ま
)
だまんざら捨てたものではないと独りで決めていた。
目撃者
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
言わば
未
(
ま
)
だ取止めのない卵的の恋であるから、少しく心の力が必要な所へくると話がゆきつまってしまうのである。
野菊の墓
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
そのほかにも
未
(
ま
)
だ二つ三つ変だな……と思った事があったが、先の用事に気を取られて、次から次に忘れて行った。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
私は
未
(
ま
)
だ
極道
(
ごくどう
)
な青年だった。船員が極り切って着ている、続きの菜っ葉服が、矢っ張り私の唯一の衣類であった。
淫売婦
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
その軟かな
未
(
ま
)
だ完成しない羽は全体は乳色で、言ふばかりなく可憐で、痛々しく、小さくちぢかんで居た。ただそれの緑色の筋ばかりがひどく目立つた。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
マア/\皆さん、ちよつと
私
(
わたし
)
のいふことを聞いて下さい。一体鶴は千年の
齢
(
よはひ
)
をもつといふものですから、この鶴は
未
(
ま
)
だ/\永く生きのびることが出来ます。
竜宮の犬
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
やがて砥石の傍に水の入った桶が置れて、
小舎
(
こや
)
に行った男が土の上に
蹲踞
(
うずくま
)
って大きな鉞を
磨
(
と
)
ぎ始める。けれどこの悪者は
未
(
ま
)
だ一言も互に話し合わなかった。
捕われ人
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
見ると、
未
(
ま
)
だ独り者らしいな。
仮令
(
たとえ
)
自分の持家にもせよ、締りを破って
這入
(
はい
)
って、たった一人で死んでるという事になると、一応駐在所に知らせた方がいゝな
青服の男
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
『
我々
(
われ/\
)
は
未
(
ま
)
だ
隱居
(
いんきよ
)
するには
早
(
はや
)
いです。ハヽヽ
左樣
(
さう
)
でせうドクトル、
未
(
ま
)
だ
隱居
(
いんきよ
)
するのには。』
郵便局長
(
いうびんきよくちやう
)
は
云
(
い
)
ふ。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
少しも日本に
未
(
ま
)
だ帰りたく思いません。永く米国に居りたく思います。米国に参りまして気が
清々
(
せいせい
)
となりました。葛城が居りますから、何かと心強う御座います。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
「とくと、
勘考
(
かんこう
)
仕
(
つかまつ
)
りますが、
府内
(
ふない
)
へ到着するまでには、
未
(
ま
)
だ未だ
余日
(
よじつ
)
もあること。到着の上にて——」
大岡越前の独立
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
これらのすべてに共通するところは、異性への運動を示すために、眼の平衡を破って常態を崩すことである。しかし、単に「色目」だけでは
未
(
ま
)
だ「いき」ではない。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
“未”の意味
《名詞》
ひつじ。十二支の第8番目。
ひつじ。方角を表す語。南から西へ30度。
ひつじ。時刻を表す語。午後2時頃。午後2時~4時もしくは、午後1時~3時。
ひつじ。未年のこと。
ひつじ。陰暦の6月。
(出典:Wiktionary)
“未”の解説
未(ひつじ、み)は、十二支のひとつ。通常十二支の中で第8番目に数えられる。
前は午、次は申である。
(出典:Wikipedia)
未
常用漢字
小4
部首:⽊
5画
“未”を含む語句
未亡人
未刻
未明
未通女
未曾有
未来
未來
未練
未見
未萌
未成熟
未来世
未来派
癸未
前代未聞
未知
未熟
未嘗
未生
未決監
...