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況
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ま
ふりがな文庫
“
況
(
ま
)” の例文
況
(
ま
)
して今日の如く、在来の思想が行き詰ったかに考えられ、我々が何か新に蹈み出さねばならぬと思う時代には
尚更
(
なおさら
)
と思うのである。
読書
(新字新仮名)
/
西田幾多郎
(著)
況
(
ま
)
してお金の事など、どうして頼む事が出来よう。意気地のない私はお金を儲ける事などは無論のこと、借りに行く所さえないのだ。
愛の為めに
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
漸
(
やうや
)
つとそれを遣り過して、十間も行つてから思切つて向側に駆ける。先づ安心と思ふと胸には動悸が高い。
況
(
ま
)
して乗つた時の窮屈さ。
天鵞絨
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「私まだ、靜かな氣分を味ふ程の時間が殆んどない位ですから、
況
(
ま
)
して、寂しい氣持に堪らなくなるなんてことはございませんの。」
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
況
(
ま
)
して此より後病いよ/\つのりて足立たず門を出づる
能
(
あた
)
はざるに至りし今小園は余が天地にして草花は余が唯一の詩料となりぬ。
小園の記
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
▼ もっと見る
況
(
ま
)
して斯ういふ田植時にでも飛び込まれやうものならそれこそ
泣顏
(
なきづら
)
に蜂だ、といふ風のことをわざとらしい高聲で話してゐるのだ。
熊野奈智山
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
春三郎は自分夫婦が今になつてこの營業を見棄てるのでさへ心苦しいのに、
況
(
ま
)
して湯治などに行くのは思ひもよらぬ事だと思つた。
続俳諧師:――文太郎の死――
(旧字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
況
(
ま
)
して今の大酒家と
云
(
いっ
)
ても私より以上の者は
先
(
ま
)
ず少ない、高の知れた酒客の
葉武者
(
はむしゃ
)
だ、そろ/\
遣
(
や
)
れば節酒も禁酒も
屹
(
きっ
)
と出来ましょう。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
況
(
ま
)
して、さして好色という方でもない、こんな連中としては、普通の部類かも知れぬ。しかし、今夜は、ひどく彼の気持はときめいている。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
況
(
ま
)
して夫の世話をしたり子供の面倒を見たり弟の出入に氣を配つたりする間に
遣
(
や
)
る家庭的な婦人の
仕業
(
しわざ
)
としては全くの重荷に相違ありません。
『伝説の時代』序
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
況
(
ま
)
して日頃より文傳へする冷泉が、ともすれば瀧口殿を惡し
樣
(
ざま
)
に言ひなせしは、我を
誘
(
さそ
)
はん腹黒き人の
計略
(
たくみ
)
ならんも知れず。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
況
(
ま
)
して周三のは、些としたひつかゝりや
輕
(
かる
)
い意味のそれでは無い。彼に取ツては
熟慮
(
じゆくりよ
)
深考
(
しんかう
)
せなければならぬ
大問題
(
だいもんだい
)
がある。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
況
(
ま
)
して斯様な旅に何より大切な人夫の和を得ていないことから考えて、此儘行進を続ける気には如何してもなれなかった。
黒部川を遡る
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
そうでなくてさえ
況
(
ま
)
して年を取った親心には、可愛い
生
(
うみ
)
の娘に長い間、苦労をさした男は、訳もなく唯、
仇敵
(
かたき
)
よりも憎い。
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
況
(
ま
)
してその年若な留学生が自己の
美貌
(
びぼう
)
と才能とを飾るかのようにその話を始めた時には、彼は独りで激しい心の苦痛を感ぜずにはいられなかった。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
平生
(
へいぜい
)
から骨董がかつた物に余り興味を持つてない自分は、
況
(
ま
)
して自分の生活と
全
(
まつた
)
く交渉の無い地下の
髑髏
(
どくろ
)
などは
猶更
(
なほさら
)
観たくないが、好奇心の多い
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
、
左迄
(
さまで
)
恐るゝにも足らぬぢやないか、
況
(
ま
)
して労働者などグヅ/\言ふなら、構まはずに棄てて置け、直ぐ食へなくなつて、
先方
(
むかう
)
から降参して来をらう
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
魔法使いよりほかに出来る筈がない……
況
(
ま
)
して推理も想像も超越した……人間の力では到底、測り知る事の出来ない一千年も前の奇怪な事実を、平気で
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
我が自由は彼の自由を奪ふことによりて回復すべきにあらず、
況
(
ま
)
して我恋人の姿を、この見苦しき半獣半鳥よりうつし出づることの、望むべからざるをや。
我牢獄
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
学者や芸術家といふ
輩
(
てあひ
)
には、自分の研究や
作物
(
さくぶつ
)
に熱中し出すと、つい自分をも、世間をも忘れてしまふやうな人がよくある。
況
(
ま
)
して晩飯や借金の事などは。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
聞いて居た権田時介は全く感奮した様で身を投げ捨てる様に立ち上った、悪人が翻然として善人に立ち返るは此の様な時で有ろう、
況
(
ま
)
して彼は悪人でなく
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
その人が行って救わなければ、多数の人が真に苦痛を免れることが出来ぬという場合とは違う。他に幾らでも働くべき人はおる。
況
(
ま
)
してや他の国の事である。
女子教育の目的
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
「河原さん、
然
(
そ
)
う迷信的にお考えになっちゃ駄目ですよ。人間は罪を悔い改めれば救われます。
況
(
ま
)
してあなたはもう四十年間後悔していらっしゃるんですから」
凡人伝
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
垢染みた浴衣の
扮装
(
いでたち
)
も、斯うすると光輝を放って見えるので有った。
況
(
ま
)
してや舞台好みの文金高島田、化粧をした顔の
美艶
(
びえん
)
、竜次郎は
恍惚
(
こうこつ
)
たらざるを得なかった。
死剣と生縄
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
況
(
ま
)
して、私自身が、生きている人間に対して執刀するような機会などは、勿論無かった。何時まで経っても研究のための実験であり技術を
磨
(
みが
)
くための練習であった。
三稜鏡:(笠松博士の奇怪な外科手術)
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
訊いてからと挨拶して、親の一存で子の縁談は決めなかつたものでせう。
況
(
ま
)
して今時そんな亂暴な。
ごりがん
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
況
(
ま
)
してそれを何人かの子供に平等に分配するという程の富を蓄積し得ない人民の経済生活である。
私たちの建設
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
寒中といい
況
(
ま
)
して今夜は此の大雨に……國藏、お前の親切は千万辱けないがな、命数は人の持って生れたものじゃ、寿命ばかりは神にも仏にも自由になるものじゃアない
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
平素酒なんか
呑
(
の
)
んだことのない父、
況
(
ま
)
して母が酒の酌する有様なんか、まったく初めて見た。
戦争雑記
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
その歓喜に比しては比較にもならぬほど
些少
(
さしょう
)
なものであるのを知った時、
況
(
ま
)
してや投げ与えたと思ったその贈品すら、
畢竟
(
ひっきょう
)
は
復
(
ま
)
た自己に還って来るものであるのを発見した時
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
況
(
ま
)
して
此
(
こ
)
の
水上
(
みなかみ
)
は、
昨日
(
きのふ
)
孤家
(
ひとつや
)
の
婦人
(
をんな
)
と
水
(
みづ
)
を
浴
(
あ
)
びた
処
(
ところ
)
と
思
(
おも
)
ふと、
気
(
き
)
の
精
(
せい
)
か
其
(
そ
)
の
女瀧
(
めだき
)
の
中
(
なか
)
に
絵
(
ゑ
)
のやうな
彼
(
か
)
の
婦人
(
をんな
)
の
姿
(
すがた
)
が
歴々
(
あり/\
)
、と
浮
(
う
)
いて
出
(
で
)
ると
巻込
(
まきこ
)
まれて、
沈
(
しづ
)
んだと
思
(
おも
)
ふと
又
(
また
)
浮
(
う
)
いて
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
況
(
ま
)
してさういふ人に使はれたり、さういふ人を使つたりするといふ事は考へ物である。
些細なやうで重大な事
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
生きるのは厭になつても死ぬまでの決心はつかない。工場で負傷して死んでさへ遺族は路頭に迷はねばならぬ。
況
(
ま
)
してたゞで死んだものならそれこそ
鐚
(
びた
)
一文にだつてなりやしない。
工場の窓より
(新字旧仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
軽躁と
自
(
みずか
)
ら認めている者すら、尚おこうしたもので有ッてみれば、
況
(
ま
)
してお勢の如き、まだ我をも知らぬ、罪の無い処女が
己
(
おのれ
)
の気質に
克
(
か
)
ち得ぬとて、
強
(
あなが
)
ちにそれを無理とも云えぬ。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
啻
(
ただ
)
さへ秋は僕達の食慾をそそるのに、
況
(
ま
)
して沢山な御馳走で……我々は遠慮なく腹一ぱいに頂戴した。コッペ先生の食慾は僕達程ではないので、シガレットを吹かしながら何かと雑談……
フランソア・コッペ訪問記
(新字旧仮名)
/
堀口九万一
(著)
負傷
(
ふしやう
)
は
直
(
なを
)
る、
然
(
しか
)
し、
精巧
(
せいかう
)
な
銃
(
じう
)
を
毀
(
こは
)
したならば、それは
直
(
なを
)
らない。
況
(
ま
)
してあの
時
(
とき
)
中根
(
なかね
)
が
銃
(
じう
)
を
離
(
はな
)
して
顧
(
かへり
)
みなかつたならば、
銃
(
じう
)
は
水中
(
すゐちう
)
に
無
(
な
)
くなつたかも
知
(
し
)
れない。
即
(
すなは
)
ち
歩兵
(
ほへい
)
の
命
(
いのち
)
を
失
(
うしな
)
つたことになる。
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
しかし、この苦しみは、憎しみないものには近よって貰いたくなかった。
況
(
ま
)
して家中の若ものであった。彼らがこの
艱難
(
かんなん
)
のとき大人であったというのは、これは天の与えた宿命とあきらめる。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
況
(
ま
)
して地球に生息する一切の有機体をや、細は細菌より大は大象に至るまでの運命である、これ天文・地質・生物の諸科学が吾等に教ゆる所である、吾等人間
惟
(
ひと
)
り此
鈎束
(
こうそく
)
を免るることが出来よう
歟
(
か
)
。
死生
(新字新仮名)
/
幸徳秋水
(著)
この頃の五月雨に水嵩増して、ドンドンドウドウと鳴る音物すごく、
況
(
ま
)
して大雨の夜であるから、水の音と雨の音の外には物の音も聞えず、
往来
(
ゆきき
)
も絶えたる
戌
(
いぬ
)
の刻頃、一寸先も見え分かぬ闇を辿って
河童小僧
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
それもあるならひなり
況
(
ま
)
してや
替
(
かは
)
りたる
雪
(
ゆき
)
と
墨
(
すみ
)
おろかなこと
雲
(
くも
)
と
泥
(
つち
)
ほど
懸隔
(
けんかく
)
のおびたゞしさ
如何
(
いか
)
に
有爲轉變
(
うゐてんぺん
)
の
世
(
よ
)
とはいへ
是
(
こ
)
れほどの
相違
(
さうゐ
)
誰
(
た
)
れが
何
(
なん
)
として
氣
(
き
)
のつくべき
心
(
こゝろ
)
の
鬼
(
おに
)
に
見知
(
みし
)
り
越
(
ご
)
しの
人目
(
ひとめ
)
厭
(
いと
)
はしく
態
(
わざ
)
と
横町
(
よこちやう
)
に
道
(
みち
)
を
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
況
(
ま
)
して
世間
(
よのなか
)
の
蒼生
(
あをひとぐさ
)
、誰か子を
愛
(
を
)
しまざらめや
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
況
(
ま
)
して春秋
九囘
(
ここのたび
)
、わが軍こゝにつきてより
イーリアス:03 イーリアス
(旧字旧仮名)
/
ホーマー
(著)
況
(
ま
)
して自ら楽みて
晶子詩篇全集拾遺
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
況
(
ま
)
して百尺の崖底を大嵐のような音を立てながら地響打って滝のようにたぎり落ちて行く
豪宕
(
ごうとう
)
な峡流の面影は猶更ない。
利根川水源地の山々
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
況
(
ま
)
して、当の三斎隠居はじめ、感に
堪
(
た
)
えたように、うっとりした様子で、こちらの容姿と技芸とに酔っているのである。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
況
(
ま
)
してそういう婦人に附随する一切の空気が
悉
(
ことごと
)
く幻のように消え果てたとはどうして知ろう、と彼は想って見た。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
況
(
ま
)
してこの時は、たかが一介のビショビショ少年の正体を見破る事が出来なかったのみならず、あべこべに驚かされ、迷わされ、感心させらるるばかりで
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
単に夫なればとて訳けも分らぬ無法の事を下知せられて之に盲従するは妻たる者の道に非ず。
況
(
ま
)
して其夫が立腹癇癪などを起して乱暴するときに於てをや。
女大学評論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
況
(
ま
)
してそれが、朝は未明から朝読、夜は夜で十一時過ぎまでも小児等と一緒に居て、出来るだけ多くの時間を小児等のために費すのが満足だと謂ふのだから
漂泊
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
況
(
ま
)
して其の筋肉を原形のまゝで、筋肉と
混同
(
ごツちや
)
になツて、白い骨を見たり、動脈を見たり靜脈を見たり、また胃の腑の實體や膓のうじや/\したところを見ては
解剖室
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
況
常用漢字
中学
部首:⽔
8画
“況”を含む語句
状況
景況
近況
盛況
実況
戰時好況時代
被害状況
犯罪状況
況又大勢由人事
況倉卒吐言
概況
暗殺状況
旅況
不況
戦況
情況
市況
實況
場況見
場況
...