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摩
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ま
ふりがな文庫
“
摩
(
ま
)” の例文
一夜
(
いちや
)
涼風
(
りょうふう
)
を銀座に追う。
人
(
ひと
)
肩
(
かた
)
を
摩
(
ま
)
す。正に
是
(
これ
)
連袵
(
れんじん
)
幃
(
い
)
を成し
挙袂
(
きょべい
)
幕を成し
渾汗
(
こんかん
)
雨を成すの壮観なり。良家の児女盛装してカッフェーに出入す。
偏奇館漫録
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
あの人の
塁
(
るい
)
を
摩
(
ま
)
そうと目標にされるような、大女優にして残したかった。こういうのも貞奴の舞台の美を愛惜するからである。
マダム貞奴
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
が、詩人芭蕉は又一面には「世渡り」にも長じてゐた。芭蕉の
塁
(
るゐ
)
を
摩
(
ま
)
した諸俳人、凡兆、
丈艸
(
ぢやうさう
)
、
惟然
(
ゐねん
)
等はいづれもこの点では芭蕉に
若
(
し
)
かない。
続芭蕉雑記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
さしも北里のるいを
摩
(
ま
)
するたつみの不夜城も深い眠りに包まれて、
絃歌
(
げんか
)
の声もやみ、夜霧とともに暗いしじまがしっとりとあたりをこめていた。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
私は
鬼
(
おに
)
ヶ
島
(
しま
)
へいくような気持をもって、ここまでやって来たのであるが、あの緑の樹で
蔽
(
おお
)
われた
突兀
(
とっこつ
)
と天を
摩
(
ま
)
する恰好のいい島影を海上から望んだ
刹那
(
せつな
)
暗号音盤事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
そのあとは、みかけは天を
摩
(
ま
)
す巨木でありながら、まるで綿でもつめた
蛇籠
(
じゃかご
)
のように軽く、押せば他愛もなくぐらぐらっと揺れるのである。森が揺れる。
人外魔境:01 有尾人
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
殆
(
ほとん
)
ど
柱状節理
(
ちゅうじょうせつり
)
をなし、
層々
(
そうそう
)
相重なって断崖に臨んでおり、山上にも多くの巨岩が、天を
摩
(
ま
)
して
聳立
(
しょうりつ
)
している
有様
(
ありさま
)
は、
耶馬渓
(
やばけい
)
の
鳶巣
(
とびす
)
山にも比すべきであろう。
雲仙岳
(新字新仮名)
/
菊池幽芳
(著)
山々は高く空を
摩
(
ま
)
し、
蓬々
(
ほうぼう
)
たる雑草は谷々に茂り、諸々の部落からは炊事の煙が幾筋か風に
靡
(
なび
)
いている。
喇嘛の行衛
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
峡
(
かい
)
の細道から三、四人、
芋虫
(
いもむし
)
のように
渓谷
(
けいこく
)
へころげ落ちた。あッ……と
仰
(
あお
)
ぐと、天を
摩
(
ま
)
す
楢
(
なら
)
の木のてッぺんから、
氷雨
(
ひさめ
)
! ピラピラピラ
羽白
(
はじろ
)
の
細矢
(
ほそや
)
がとんでくる。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そのすばらしい白と金との
向
(
むこ
)
うに
恵那
(
えな
)
、駒ヶ岳、
御岳
(
おんたけ
)
の諸峰が競って天を
摩
(
ま
)
しているというのだ。見えざる山岳の
気韻
(
きいん
)
は
彼方
(
かなた
)
にある。何と
籠
(
こ
)
もったぶどう
鼠
(
ねずみ
)
の曇り。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
錢形平次はいきなり縁側へ出ると、裏の板塀の外に天を
摩
(
ま
)
して繁る五六本の杉の樹の
梢
(
こずゑ
)
を指しました。
銭形平次捕物控:204 美女罪あり
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
この
少年
(
せうねん
)
は
數學
(
すうがく
)
は
勿論
(
もちろん
)
、
其他
(
そのた
)
の
學力
(
がくりよく
)
も
全校
(
ぜんかう
)
生徒中
(
せいとちゆう
)
、
第
(
だい
)
二
流
(
りう
)
以下
(
いか
)
であるが、
畫
(
ゑ
)
の
天才
(
てんさい
)
に
至
(
いた
)
つては
全
(
まつた
)
く
並
(
なら
)
ぶものがないので、
僅
(
わづか
)
に
壘
(
るゐ
)
を
摩
(
ま
)
さうかとも
言
(
い
)
はれる
者
(
もの
)
は
自分
(
じぶん
)
一
人
(
にん
)
画の悲み
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
船と船とが、すれ違いになったとき、方船は黒船の
舷側
(
げんそく
)
にぴったりと吸付いてしまった。いや、吸付いたとみたのは、
汐
(
しお
)
のために、
舷々
(
げんげん
)
相
(
あい
)
摩
(
ま
)
したのだ。方船の生残者たちは
怪奇人造島
(新字新仮名)
/
寺島柾史
(著)
今度は降りるのに大変……少し降りかけた処に一本の栃の木が天を
摩
(
ま
)
して
生
(
は
)
えている。
幕末維新懐古談:73 栃の木で老猿を彫ったはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
だから彼らは、不必要にも山から山へべらぼうに巨大な水道の橋を築いて渡したもので、この、可愛らしい人智幼年時代のあとが、連々たる大石柱の遺蹟として車窓に天を
摩
(
ま
)
している。
踊る地平線:08 しっぷ・あほうい!
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
しかれども蕪村がこの俗境の中より多少の趣味を具するこの詩境を探り出だし、しかもそれを怪の一字に
籠
(
こ
)
めたる彼の筆力に至りては、俳句三百年間誰一人その塁を
摩
(
ま
)
する者かあるべき。
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
「二銭銅貨」の内容にまんまと一杯喰わされて多大の愉快を感じたと同じ程度に日本にも外国の知名の作家の塁を
摩
(
ま
)
すべき探偵小説家のあることに、自分は限りない喜びを感じたのである。
「二銭銅貨」を読む
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
自分のなつかしい
記憶
(
きおく
)
は、産土には青空を
摩
(
ま
)
してるような古い松が三本あって、自分ら子供のころには「あれがおらほうの産土の社だ。」と
隣村
(
となりむら
)
の遠くからながめて、子供ながら
誇
(
ほこ
)
らしく
落穂
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
乾坤漠々
(
けんこんばくばく
)
、唯墨を流したらんようなる闇の中に、とうとうたる
濁浪
(
だくろう
)
天を
摩
(
ま
)
して、人も、獣も、家も、樹も、有情非情の差別なく、世界の
所有物
(
あらゆるもの
)
はことごとく水に漂いて、叫喚地獄の
大苦患
(
だいくげん
)
もかくや
片男波
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
建文帝の左の
御趾
(
おんあし
)
には
黒子
(
ほくろ
)
ありたまいしことを思ひ
出
(
い
)
でゝ、亮近づきて、
御趾
(
おんあし
)
を
摩
(
ま
)
し
視
(
み
)
るに、
正
(
まさ
)
しく其のしるし
御座
(
おわ
)
したりければ、懐旧の涙
遏
(
とど
)
めあえず、
復
(
また
)
仰ぎ
視
(
み
)
ること
能
(
あた
)
わず、退いて
其
(
その
)
由
(
よし
)
を申し
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
三年と二年! 双方の陣に一道の殺気
陰々
(
いんいん
)
として
相
(
あい
)
格
(
かく
)
し
相
(
あい
)
摩
(
ま
)
した。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
告白型という点で近代作家は狂人の
塁
(
るい
)
を
摩
(
ま
)
している。
流浪の追憶
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
出るのは溜息だけで、やがて対馬守を先頭に登ってきたのは、帝釈山の頂近く、天を
摩
(
ま
)
す老杉の下に世捨て人の住まいとも見える風流な茶室です。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
鼠色
(
ねずみいろ
)
の丘がいくつも
重
(
かさ
)
なり合って
起伏
(
きふく
)
している。それから空を
摩
(
ま
)
するような林が、あちらこちらにも見える。
海底都市
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
やはり
鶴屋南北
(
つるやなんぼく
)
以来の
焼酎火
(
しょうちゅうび
)
の
匀
(
におい
)
がするようだったら、それは事件そのものに嘘があるせいと云うよりは、むしろ私の申し上げ方が、ポオやホフマンの
塁
(
るい
)
を
摩
(
ま
)
すほど
妖婆
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
靈
(
れい
)
なる
哉
(
かな
)
この石、
天
(
てん
)
の
雨
(
あめ
)
降
(
ふら
)
んとするや、
白雲
(
はくうん
)
油然
(
ゆぜん
)
として
孔々
(
こう/\
)
より
湧出
(
わきい
)
で
溪
(
たに
)
を
越
(
こ
)
え
峯
(
みね
)
を
摩
(
ま
)
する其
趣
(
おもむき
)
は、
恰度
(
ちやうど
)
窓
(
まど
)
に
倚
(
よ
)
つて
遙
(
はる
)
かに
自然
(
しぜん
)
の
大景
(
たいけい
)
を
眺
(
なが
)
むると
少
(
すこし
)
も
異
(
ことな
)
らないのである。
石清虚
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
もうその
間
(
あいだ
)
は十幾年になるが、一人として彼女の
塁
(
るい
)
を
摩
(
ま
)
したものはないではないか。それは誰れでも自信はあるであろう。貞奴に負けるものかとの自負はあっても、他から見るとそうは許されぬ。
マダム貞奴
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
もっともはるか東北の方には藤堂
和泉守
(
いずみのかみ
)
や酒井
左衛門尉
(
さえもんのじょう
)
や佐竹左京太夫や
宗対馬守
(
そうつしまのかみ
)
の、それこそ雄大な屋敷屋敷が、長屋町家を圧迫して月夜の蒼白い空を
摩
(
ま
)
して、そそり立ってはいたけれど……。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
このあたり今は
金富町
(
かなとみちょう
)
と
称
(
とな
)
ふれど、むかしは
金杉
(
かなすぎ
)
水道町にして、南畆がいはゆる
金曾木
(
かなそぎ
)
なり。懸崖には
喬木
(
きょうぼく
)
なほ天を
摩
(
ま
)
し、樹根怒張して巌石の
状
(
さま
)
をなせり。
澗道
(
かんどう
)
を下るに竹林の間に椿の花開くを見る。
礫川徜徉記
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
島の最高部、柱が天を
摩
(
ま
)
して一本、日章旗だ。日本だ、日本だ。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
とそらとぼけて、
岩々
(
がんがん
)
と
天
(
そら
)
を
摩
(
ま
)
している山かげをあおぎながら
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
楓
(
かえで
)
、雑木の類がスクスクと天を
摩
(
ま
)
して、地には、
丈
(
たけ
)
なす草が八重むぐらに生いしげり、おまけに、弥生にとってぐあいの悪いことは、豆太郎がその草にのまれて
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
天を
摩
(
ま
)
するような無線装置のポールが四本、くっきりと目の前に
聳
(
そび
)
え立っているのであった。
空中墳墓
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
その忠魂記念塔は、今ではS公園内に
天空
(
てんくう
)
を
摩
(
ま
)
して
毅然
(
きぜん
)
と建っている。
東京要塞
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
摩
常用漢字
中学
部首:⼿
15画
“摩”を含む語句
摩擦
筑摩
摩西
薩摩芋
大薩摩
薩摩
揣摩
達摩
維摩経
筑摩川
摩尼
薩摩琵琶
相摩
摩睺羅伽
脚摩乳
摩周
摩天楼
手摩乳
紫摩黄金
安摩
...