“楓”のいろいろな読み方と例文
読み方(ふりがな)割合
かえで74.8%
かへで16.6%
もみじ4.9%
もみぢ2.5%
かへるで1.2%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
遺骸いがいは有り合わせのうちでいちばんきれいなチョコレートのあき箱を選んでそれに収め、庭の奥のかえでの陰に埋めて形ばかりの墓石をのせた。
備忘録 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
とりこにしてある沢山の植木——ほうかえでが、林のように茂っている庭の向うが、往来みちになっていて、そこで、数人の者が斬合っていた。
甲州鎮撫隊 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ゴツゴツした松の木肌の感触を嫌われた先生は、自然の反対現象として、柳、かえで百日紅さるすべりなぞの肌のなめらかな木が好きであった。
解説 趣味を通じての先生 (新字新仮名) / 額田六福(著)
廻廊のあなた前庭の一所、かえでの老木の根もとにあたって、雪白の物がかしこまっていた。五尺にもあまる白猩々しろしょうじょうであった。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
白沙を敷いた広い庭には高野槇こうやまきがあり、えのきがあり、かえでがあり、ぼくになったまさきなどがあって微陽うすびが射していた。
春心 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
青いかへでの枝にかこまれた泉水の金魚を見ながら、くびのおしろいを附けて貰つて居ると、近く迄来た地車だんじりのきしむ音がした。
住吉祭 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
艇中ていちうからは日出雄少年ひでをせうねんかへでのやうなしきりになみ掻分かきわけてる、此樣こんなこと
押し開かれた障子の向には、世にも稀なるかへでの古木が庭一面にその枝を張つて、血よりも鮮やかな紅葉を正午ひるさがりの日光にかがやかしてゐた。
奈良二題 (旧字旧仮名) / 野上豊一郎(著)
とあるかへで杜蔭もりかげに、れば、其樣そん早朝あさまだきに、御子息ごしそくあるいてござる、ちかづけば
「これは旦那、かへでの木ですよ、この山でも斯んな楓は珍しいつて評判になつてるんですがネ、……なるほど、いゝ木理もくめだ。」
みなかみ紀行 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
松やもみじなどの庭木にくるまれているため、まだこの一棟には、たいして火が廻っていなかったのが、せめてもの僥倖ぎょうこうでした。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大きくなって舟に乗せると、不思議そうに山を見水を見て居たが、やがもみじのような手に水をすくってはこぼし掬ってはこぼして、少しも恐れる様子がない。
漁師の娘 (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
株立ちのひくい桜は落葉し尽して、からんとした中に、山門さんもんの黄が勝った丹塗にぬりと、八分の紅を染めたもみじとが、何とも云えぬおもむきをなして居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
ひるすぎの明るい日は建物の大きい影を斜めに地に落として、その影のとどかない築山のすそには薄紅い幾株かのもみじが低く繁って、暮れゆく秋を春日絵かすがえのようにいろどっていた。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
さのみ大きな滝とは見えないが、懸崖けんがいを直下に落ちて、見上ぐるばかりに真紅しんくの色をしたもみじい重なって、その一ひら二ひらが、ちらちらと笠の上に降りかかって来ました。
大菩薩峠:19 小名路の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
此年文化十年の秋に入つてから、集中に詩十二首があつて、其七首は「晩秋病中雑詠」である。爾余は野遊の七律一、菊ともみぢとの七絶各一、柳橋を過ぐる七絶一、木村定良さだよしに訪はれた五律一である。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
江戸時代にもみぢの名所と云はれた正燈寺しやうとうじも亦大音寺前に在つたが、庭内の楓樹は久しき以前、既に枯れつくして、わたくしが散歩した頃には、門内の一樹がわづかに昔の名残を留めてゐるに過ぎなかつた。
里の今昔 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
園遊会の片隅のいたやもみぢかげき、
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
頑是ぐわんぜない三歳みつの春の御嬢様を、私がお抱き申して枕頭まくらもとへ参りますとネ、細ウいお手に、もみぢの様な可愛いお手をお取りなすつて、梅ちやんと一と声遊ばしましたがネ、お嬢様が平生いつもの様に未だ片言交かたことまじりに
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
若葉していくらたぬをかへるでの葉べりはあかくすずしさ
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
若葉していくらたぬをかへるでの葉べりはあかくすずしさ
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)