トップ
>
先
>
ま
ふりがな文庫
“
先
(
ま
)” の例文
その時分両親はまだ
健全
(
たっしゃ
)
で、親子三人暮し、家も貧しい方でもなく
先
(
ま
)
ず普通の生活をしていた、元来がこういう温和な娘だったから
二面の箏
(新字新仮名)
/
鈴木鼓村
(著)
「何が無くとも、熱い雑炊でも進ぜよう。
先
(
ま
)
ず先ず炉端へくつろがれるが
宜
(
よ
)
い、夜が明けたら、早速麓の村まで送り届けて進ぜよう」
奇談クラブ〔戦後版〕:09 大名の倅
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
自分の出来ないものは仕事の賃金に代へて貰つて来ると云ふこの暮しやうが私には
先
(
ま
)
づ一番間違ひのない暮しやうだと思つて居るよ。
月夜
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
翌
(
あく
)
る日はまる一日じゅう、
諸方
(
しょほう
)
の訪問に
費
(
ついや
)
された。新来の旅人は
先
(
ま
)
ずこの
市
(
まち
)
のお歴々がたを訪問した。初めに県知事に敬意を表した。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
かるが故に、新たなる啓示が出現した時には、
先
(
ま
)
ず
以
(
もっ
)
て、
旧
(
ふる
)
い啓示の上に築き上げられた迷信の大部分を
掃蕩
(
そうとう
)
するの必要に迫られる。
霊訓
(新字新仮名)
/
ウィリアム・ステイントン・モーゼス
(著)
▼ もっと見る
内山君
(
うちやまくん
)
足下
(
そくか
)
、
先
(
ま
)
づ
此位
(
このくらゐ
)
にして
置
(
お
)
かう。さて
斯
(
かく
)
の
如
(
ごと
)
くに
僕
(
ぼく
)
は
戀
(
こひ
)
其物
(
そのもの
)
に
隨喜
(
ずゐき
)
した。これは
失戀
(
しつれん
)
の
賜
(
たまもの
)
かも
知
(
し
)
れない。
明後日
(
みやうごにち
)
は
僕
(
ぼく
)
は
歸京
(
きゝやう
)
する。
湯ヶ原より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
先
(
ま
)
ずカーティンをあけると、晴れ渡ってはいるがまだ日が登らないのは、高山とは云え緯度の高いためであろう。支度はすぐ出来た。
スウィス日記
(新字新仮名)
/
辻村伊助
(著)
彼は
先
(
ま
)
ず、材木会社を駈け廻り、その主流が支那人であるかなきかを確め、それに応じてその場で適宜の作戦を立てねばならぬのだ。
上海
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
細かいことを云うようですが、
先
(
ま
)
ず月々の生活費が、いくら内輪に見積っても二百五十円以上、場合によっては三百円もかかります。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
けれども、
彼女
(
かれ
)
も若い娘である。
流石
(
さすが
)
に胸一杯の嫉妬と
怨恨
(
うらみ
)
とを
明白地
(
あからさま
)
には
打出
(
うちだ
)
し兼ねて、
先
(
ま
)
ず遠廻しに市郎を責めているのである。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
原本写本会読の法それから塾で修行するその時の
仕方
(
しかた
)
は
如何
(
どう
)
云
(
い
)
う
塩梅
(
あんばい
)
であったかと申すと、
先
(
ま
)
ず始めて塾に入門した者は何も知らぬ。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
股引
(
ももひき
)
の破れをつゞり、笠の緒付けかへて、三里に
灸
(
きゆう
)
すゆるより松島の月
先
(
ま
)
づ心にかゝりて、住める方は人に譲り
杉風
(
さんぷう
)
が
別墅
(
べつしよ
)
にうつる。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
お舎弟様は文武の道に
秀
(
ひい
)
で、お智慧も有り、
先
(
ま
)
ず大殿様が御秘蔵の
御方
(
おんかた
)
度々
(
たび/\
)
お
賞
(
ほ
)
めのお言葉も有りました事は、父から聞いて居ります
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
それよりも私は
先
(
ま
)
づそれを読んで下さい、と皆にたのみたい。恐らくは、そんな雑誌の存在をさへ知らない人が多いだらうと思ふ。
最近の感想
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
饅頭屋の
主翁
(
ていしゅ
)
は、関係のある人の書翰がこんなにいっしょに来るのも珍らしいと思いながら、
先
(
ま
)
ず××君の書翰から開封して見た。
二通の書翰
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
東京から来た石田の目には、
先
(
ま
)
ず柱が
鉄丹
(
べんがら
)
か何かで、
代赭
(
たいしゃ
)
のような色に塗ってあるのが異様に感ぜられた。しかし不快だとも思わない。
鶏
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
先
(
ま
)
ず美青年の右の眼にポッツリと黒い点が発生したかと思うと、みるみる、それがひろがって、眼全体を空虚な穴にしてしまった。
暗黒星
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
この事については私も娘読本を
著
(
あらわ
)
す時
委
(
くわ
)
しく意見を書くつもりですが簡略に申せば
先
(
ま
)
ず英国風の習慣を採用するのが上策かと思います。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
先
(
ま
)
ず第一は毛沼博士が自動拳銃を持っていたということ、それから第二には博士が最近二三月何となく物を恐れる風があった事だった。
血液型殺人事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
且
(
かつ
)
面白
(
おもしろ
)
い
人物
(
じんぶつ
)
であるから
交際
(
かうさい
)
して
見給
(
みたま
)
へと
云
(
い
)
ふのでありました、
是
(
これ
)
から
私
(
わたし
)
が
又
(
また
)
山田
(
やまだ
)
と
石橋
(
いしばし
)
とを
引合
(
ひきあは
)
せて、
先
(
ま
)
づ
桃園
(
とうゑん
)
に
義
(
ぎ
)
を
結
(
むす
)
んだ
状
(
かたち
)
です
硯友社の沿革
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
前のことを
先
(
ま
)
ず理解しないで、後のことをのみ主張する者があるとしたら、彼は未だ方法の何物であるかを理解しないものである。
人生論ノート
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
おまけに、もえ
黄
(
ぎ
)
の
夜具
(
やぐ
)
ぶろしきを
上被
(
うはつぱ
)
りにかけて、
包
(
つゝ
)
んで
寢
(
ね
)
た。
一
(
ひと
)
つはそれに
對
(
たい
)
する
敵愾心
(
てきがいしん
)
も
加
(
くは
)
はつたので。……
先
(
ま
)
づ
奮發
(
ふんぱつ
)
した。
火の用心の事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
はじめて庭に出た彼は、昇降口の段を下りようともせずに、何よりも
先
(
ま
)
ずこの燃えるような花を眺めた。花はたった二つしかなかった。
紅い花
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
幽霊が墓にはいって、
先
(
ま
)
ず一眠りして、寝返りをうつか、うたないうちに、まだ生存している友だちは近所を去っていってしまう。
スリーピー・ホローの伝説:故ディードリッヒ・ニッカボッカーの遺稿より
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
一知はマユミとの幸福な生活を夢想する前に、何よりも
先
(
ま
)
ずマユミの両親をこの世から抹殺する手段を考えなければならなかった。
巡査辞職
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
この間などは「
其後
(
そのご
)
別に
恋着
(
れんちゃく
)
せる婦人も
無之
(
これなく
)
、いず
方
(
かた
)
より
艶書
(
えんしょ
)
も参らず、
先
(
ま
)
ず
先
(
ま
)
ず無事に消光
罷
(
まか
)
り在り
候
(
そろ
)
間、
乍憚
(
はばかりながら
)
御休心
可被下候
(
くださるべくそろ
)
」
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
依
(
よつ
)
て
此
(
かく
)
の如き獅子身中の虫を退治せんが為めに本組合
先
(
ま
)
づ
直
(
ただち
)
に彼を除名することの決議をして貰ひたい——緊急動議の要旨は
是
(
こ
)
れである
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
ウィインで
頗
(
すこぶ
)
る勢力のある一大銀行に、
先
(
ま
)
ずいてもいなくても
差支
(
さしつかえ
)
のない小役人があった。名をチルナウエルと
云
(
い
)
う小男である。
世界漫遊
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ユリウス・ダビット
(著)
、
先
(
ま
)
ず数えてもいいでしょう。尚この他純文壇の人で、数も多く質にも優れた、探偵小説を作って居る人に、片岡鉄兵さんがいるようです
大衆文芸問答
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
向象賢はその
劈頭
(
へきとう
)
第一に、
先
(
ま
)
ず国相具志川按司の跡役に就いて大和に伺ったら、自分に
仰付
(
おおせつ
)
けられたということを書いています。
琉球史の趨勢
(新字新仮名)
/
伊波普猷
(著)
地震直後
(
ぢしんちよくご
)
から
大正
(
たいしやう
)
十三四
年
(
ねん
)
頃
(
ごろ
)
までの
樣
(
やう
)
に十
弗
(
ドル
)
以上
(
いじやう
)
も
下
(
さが
)
つたこともあるけれども、
平均
(
へいきん
)
して
先
(
ま
)
づ四
分
(
ぶ
)
乃至
(
ないし
)
六
分
(
ぶ
)
下
(
さが
)
つて
居
(
ゐ
)
ると
云
(
い
)
ふ
状況
(
じやうきやう
)
である。
金解禁前後の経済事情
(旧字旧仮名)
/
井上準之助
(著)
こういう智識もその若い学者から学ぶところが多かったと、娘は真向から恋愛の叙情を語り兼ねて
先
(
ま
)
ずこういう話から初めたのであった。
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
『お
前
(
まへ
)
の
髮
(
かみ
)
は
刈
(
か
)
らなくッては』
帽子屋
(
ばうしや
)
は
暫
(
しばら
)
くの
間
(
あひだ
)
さも
珍
(
めづ
)
らしさうに
愛
(
あい
)
ちやんを
眺
(
なが
)
めて
居
(
ゐ
)
ましたが、
軈
(
やが
)
て
先
(
ま
)
づ
斯
(
か
)
う
云
(
い
)
ひ
出
(
だ
)
しました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
先
(
ま
)
ず日本に就いて言えば、我々の代表的な二つの国詩、即ち和歌と俳句に於て、前者は主観派に属しており、後者は客観派に属している。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
凡
(
およ
)
そ人種または時代を異にせる芸術に接して能くその性質を明かにせんと欲すれば
先
(
ま
)
づそのものに密接して
怪訝
(
かいが
)
の念を去らしむるにあり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
先
(
ま
)
ずこれから、宇都宮、大田原の城下などを振り出しに奥州路から中仙道へ折れ、あわ好くば四国西国をも一巡して来ようかと存じておる
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
凡
(
およ
)
そ人事を
区処
(
くしょ
)
する、
当
(
まさ
)
に
先
(
ま
)
ずその結局を
慮
(
おもんぱか
)
り、
而
(
しか
)
して後に手を下すべし、
楫
(
かじ
)
無
(
な
)
きの舟を
行
(
や
)
る
勿
(
なか
)
れ、
的
(
まと
)
無
(
な
)
きの
箭
(
や
)
を発する
勿
(
なか
)
れ」
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
先
(
ま
)
づ
検疫船
(
けんえきせん
)
が
来
(
き
)
て
検疫医
(
けんえきい
)
が
乗
(
の
)
り
込
(
こ
)
む。一
等
(
とう
)
船客
(
せんかく
)
一
同
(
どう
)
大食堂
(
だいしよくだう
)
に
呼
(
よ
)
び
集
(
あつ
)
められて、
事務長
(
じむちやう
)
が
変
(
へん
)
な
所
(
ところ
)
にアクセントをつけて
船客
(
せんかく
)
の
名
(
な
)
を
読
(
よ
)
み
上
(
あ
)
げる。
検疫と荷物検査
(新字旧仮名)
/
杉村楚人冠
(著)
完全な六華の結晶は一応見切りをつけて、
先
(
ま
)
ず結晶の幾つかの枝をこの銅板の面から伸び出させようというつもりなのである。
雪を作る話
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
こんな場所にこれほどの片田舎があることを知つて、彼は
先
(
ま
)
づ驚かされた。しかもその平静な
四辺
(
あたり
)
の風物は彼に珍らしかつた。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
自分が
先
(
ま
)
ずまっさきにその号令に服してみせる、自分が天皇に服す範を人民に押しつけることによって、自分の号令を押しつけるのである。
堕落論〔続堕落論〕
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
『
御城代樣
(
ごじやうだいさま
)
の
御容態
(
ごようだい
)
は、
先
(
ま
)
づお
變
(
かは
)
りがないといふところでございませうな。
癆症
(
らうしやう
)
といふものは
癒
(
なほ
)
りにくいもので。』と、
玄竹
(
げんちく
)
は
眉
(
まゆ
)
を
顰
(
ひそ
)
めた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
徳利式
(
とくりしき
)
の
貝塚土器
(
かひづかどき
)
は、
東北
(
とうほく
)
に
多
(
おほ
)
くして、
關東
(
くわんとう
)
には
甚
(
はなは
)
だ
少
(
すく
)
ない。——
出
(
で
)
ない
事
(
こと
)
はないが、
先
(
ま
)
づ
出
(
で
)
たとしたら
異例
(
ゐれい
)
と
云
(
い
)
つても
好
(
い
)
い。
探検実記 地中の秘密:06 疑問の加瀬貝塚
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
愛するのは自分のためではなく、他人のためだと主張する人は、
先
(
ま
)
ずこの辺の心持を
僻見
(
へきけん
)
なく省察して見る必要があると思う。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
例の赤外線男が出て来そうな
気配
(
けはい
)
だったが、しかし
仄暗
(
ほのぐら
)
いながら電灯がついているから停電でもしない限り
先
(
ま
)
ず大丈夫だろう。
赤外線男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
膝下
(
しっか
)
に
奉仕
(
ほうじ
)
することとなすべきなど語り聞えて東京に帰り、
先
(
ま
)
ず愛児の健やかなる顔を見て、始めて十数日来の
憂
(
う
)
さを
霽
(
はら
)
しぬ。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
冬
(
ふゆ
)
の
季節
(
きせつ
)
に
埃
(
ほこり
)
を
捲
(
ま
)
いて
來
(
く
)
る
西風
(
にしかぜ
)
は
先
(
ま
)
づ
何處
(
どこ
)
よりもおつぎの
家
(
いへ
)
の
雨戸
(
あまど
)
を
今日
(
けふ
)
も
來
(
き
)
たぞと
叩
(
たゝ
)
く。それは
村
(
むら
)
の
西端
(
せいたん
)
に
在
(
あ
)
るからである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
十月十四
日
(
か
)
の午後の出来事を
先
(
ま
)
づ書くべきに
候
(
さふら
)
はん。その
前夜
(
ぜんや
)
私常よりも一層眠り
苦
(
ぐる
)
しく、ほとほとと一睡の夢も結びかねて明かせしに
候
(
さふらふ
)
。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
先
(
ま
)
ず
吾々
(
われわれ
)
は、〔残酷〕なる銃剣の下に
仆
(
たお
)
れたる斎藤内大臣、高橋大蔵大臣、渡辺教育総監に対して、深厚なる弔意を表示すべき義務を感ずる。
二・二六事件に就て
(新字新仮名)
/
河合栄治郎
(著)
しかし、全く仰せの通り私のからだは両親のもので、両親に
先
(
ま
)
ず第一に孝行しなければなりません。それで、本当の事を皆申し上げるのです。
おかめのはなし
(新字新仮名)
/
小泉八雲
(著)
先
常用漢字
小1
部首:⼉
6画
“先”を含む語句
先生
先方
先刻
先達
先日
最先
先頭
先駆
水先案内
真先
先祖
先立
先々
一先
爪先
先登
行先
先月
先驅
切先
...