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増
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ま
ふりがな文庫
“
増
(
ま
)” の例文
多門の心にはこれまでになく
寂漠
(
せきばく
)
としたあるものが感じられ、その感じは刻々と
増
(
ま
)
さってゆくように思った。多門は胴ぶるいをした。
ゆめの話
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
「なんの、ばかばかしい。なんとか名を付けて
重
(
おも
)
た
増
(
ま
)
しでも取ろうとするのは駕籠屋の癖だ」と、外記は直ぐに思い直して笑った。
箕輪心中
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
詰侍
(
つめざむらい
)
の
部屋
(
へや
)
や
長屋
(
ながや
)
にいる
常備
(
じょうび
)
の
武士
(
ぶし
)
を、
番士
(
ばんし
)
は声をからして起しまわる。たちまち、
物
(
もの
)
の
具
(
ぐ
)
とって
馳
(
か
)
けあつまる
敵
(
てき
)
はかずを
増
(
ま
)
すばかり。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかるに何百キロ何千キロという
遠方
(
えんぽう
)
になると、どんなに電力を
増
(
ま
)
しても聴えない。これは
可笑
(
おか
)
しいというのでいろいろ調べてみました。
科学が臍を曲げた話
(新字新仮名)
/
海野十三
、
丘丘十郎
(著)
ために
黒
(
くろ
)
さに
艶
(
つや
)
を
増
(
ま
)
した
烏帽子岩
(
えぼしいは
)
を
頭
(
あたま
)
に、
尾
(
を
)
を、いまの
其
(
そ
)
の
色
(
いろ
)
の
波
(
なみ
)
にして、一
筋
(
すぢ
)
。
御占場
(
おうらなひば
)
の
方
(
はう
)
を
尾
(
を
)
に、
烏帽子岩
(
えぼしいは
)
に
向
(
むか
)
つて、一
筋
(
すぢ
)
。
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
▼ もっと見る
ところが、水かさが
増
(
ま
)
していたりして、ひょっとしたはずみには、小さな子どもでも、舟を
湖
(
みずうみ
)
にのりだすことができるものです。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
しかし
本來
(
ほんらい
)
耐震性
(
たいしんせい
)
に
富
(
と
)
む
木造建築
(
もくざうけんちく
)
に、
特別
(
とくべつ
)
に
周到
(
しうたう
)
精巧
(
せいかう
)
なる
工作
(
こうさく
)
を
施
(
ほどこ
)
したのであるから、
自然
(
しぜん
)
耐震的能率
(
たいしんてきのうりつ
)
を
増
(
ま
)
すのは
當然
(
たうぜん
)
である。
日本建築の発達と地震
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
旋頭歌
(
せどうか
)
といふものに
發達
(
はつたつ
)
して
行
(
ゆ
)
くと
同時
(
どうじ
)
に、
片歌
(
かたうた
)
自身
(
じしん
)
が、
短歌
(
たんか
)
を
作
(
つく
)
り
上
(
あ
)
げるように、
次第
(
しだい
)
に、
音
(
おん
)
の
數
(
かず
)
を
増
(
ま
)
し、
内容
(
ないよう
)
が
複雜
(
ふくざつ
)
になつてゐました。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
池
(
いけ
)
の
水
(
みず
)
は
日
(
ひ
)
に
増
(
ま
)
しぬるんできて、
日
(
ひ
)
の
光
(
ひかり
)
がその
面
(
おもて
)
を
照
(
て
)
らすようになりましたので、
水草
(
みずくさ
)
は、なつかしい
太陽
(
たいよう
)
をはじめて
仰
(
あお
)
ぐことができました。
太陽とかわず
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
彼女
(
かのじよ
)
はその
苦痛
(
くつう
)
に
堪
(
たへ
)
られさうもない。けれども
黒
(
くろ
)
い
影
(
かげ
)
を
翳
(
かざ
)
して
漂
(
たゞよ
)
つて
來
(
く
)
る
不安
(
ふあん
)
は、それにも
増
(
ま
)
して
彼女
(
かのぢよ
)
を
苦
(
くる
)
しめるであらう。
悔
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
忘
(
わす
)
られぬは
我身
(
わがみ
)
の
罪
(
つみ
)
か
人
(
ひと
)
の
咎
(
とが
)
か
思
(
おも
)
へば
憎
(
にく
)
きは
君様
(
きみさま
)
なりお
声
(
こゑ
)
聞
(
き
)
くもいや
御姿
(
おすがた
)
見
(
み
)
るもいや
見
(
み
)
れば
聞
(
き
)
けば
増
(
ま
)
さる
思
(
おも
)
ひによしなき
胸
(
むね
)
を
闇桜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
空は
銀色
(
ぎんいろ
)
の光を
増
(
ま
)
し、あまり、もずがやかましいので、ひばりもしかたなく、その空へのぼって、少しばかり
調子
(
ちょうし
)
はずれの歌をうたいました。
めくらぶどうと虹
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
子供等
(
こどもら
)
は
大小
(
だいせう
)
異
(
ことな
)
つた
粟
(
あは
)
の
菱餅
(
ひしもち
)
が一つは一つと
紙
(
かみ
)
の
上
(
うへ
)
に
分量
(
ぶんりやう
)
を
増
(
ま
)
して
積
(
つ
)
まれるのを
樂
(
たの
)
しげにして、
自分
(
じぶん
)
の
紙
(
かみ
)
から
兩方
(
りやうはう
)
の
隣
(
となり
)
の
紙
(
かみ
)
から
遠
(
とほ
)
くの
方
(
はう
)
から
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
増
(
ま
)
して、貴方、
片思
(
かたおもひ
)
に思つてゐる者の心の中はどんなに切ないでせうか、間さん、私貴方を殺して了ひたいと申したのは無理で御座いますか。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
そしてこんな
有様
(
ありさま
)
はそれから
毎日
(
まいにち
)
続
(
つづ
)
いたばかりでなく、
日
(
ひ
)
に
増
(
ま
)
しそれがひどくなるのでした。
兄弟
(
きょうだい
)
までこの
哀
(
あわ
)
れな
子家鴨
(
こあひる
)
に
無慈悲
(
むじひ
)
に
辛
(
つら
)
く
当
(
あた
)
って
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
床上
(
しようじよう
)
の
振動
(
しんどう
)
は
地面
(
ぢめん
)
のものゝ
三割
(
さんわり
)
増
(
ま
)
しなることが
普通
(
ふつう
)
であるけれども、
木造
(
もくぞう
)
二階建
(
にかいだて
)
の
階上
(
かいじよう
)
は
三倍程度
(
さんばいていど
)
なることが
通常
(
つうじよう
)
である。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
あだかも
春
(
はる
)
の
雪
(
ゆき
)
に
濡
(
ぬ
)
れて
反
(
かえ
)
って
伸
(
の
)
びる
力
(
ちから
)
を
増
(
ま
)
す
若草
(
わかくさ
)
のように、
生長
(
しとなり
)
ざかりの
袖子
(
そでこ
)
は
一層
(
いっそう
)
いきいきとした
健康
(
けんこう
)
を
恢復
(
かいふく
)
した。
伸び支度
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
氣味
(
きみ
)
の
惡
(
わる
)
い
事
(
こと
)
だと
思
(
おも
)
つて
居
(
を
)
る
内
(
うち
)
に、
怪
(
あやし
)
の
船
(
ふね
)
はだん/\と
速力
(
そくりよく
)
を
増
(
ま
)
して、
我
(
わが
)
弦月丸
(
げんげつまる
)
の
左方
(
さはう
)
を
掠
(
かす
)
めるやうに
※去
(
すぎさ
)
る
時
(
とき
)
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
窟
(
うろ
)
にのぞんで
焚
(
たき
)
たてしに熊はさらに
出
(
いで
)
ず、
窟
(
うろ
)
の
深
(
ふかき
)
ゆゑに
烟
(
けふり
)
の
奥
(
おく
)
に
至
(
いた
)
らざるならんと
次日
(
つぎのひ
)
は
薪
(
たきゞ
)
を
増
(
ま
)
し山も
焼
(
やけ
)
よと
焚
(
たき
)
けるに
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
彼女が一口拘泥るたびに、津田は一足彼女から
退
(
しり
)
ぞいた。二口拘泥れば、二足
退
(
しりぞ
)
いた。拘泥るごとに、津田と彼女の距離はだんだん
増
(
ま
)
して行った。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
故に前年
駅
(
はゆま
)
を
馳
(
は
)
せて天下の神宮を
増
(
ま
)
し
飾
(
ととの
)
へ、
去歳
(
こぞ
)
普
(
あまね
)
く天下をして
釈迦牟尼仏
(
しやかむにぶつ
)
の尊像高一丈六尺なるもの各
一鋪
(
いちふ
)
を造り並に大般若経一部を写さ令めき。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
衆
争
(
あらそ
)
ふて之を
食
(
しよく
)
す、
探検
(
たんけん
)
の
勇気
(
ゆうき
)
此に於て
層
(
さう
)
一
層
(
さう
)
を
増
(
ま
)
し
来
(
きた
)
る、相謂て曰く
前途
(
ぜんと
)
千百の
蝮蛇
(
まむし
)
応に皆此の如くなるべしと。
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
男気
(
おとこけ
)
のない
奥庭
(
おくにわ
)
に、
次第
(
しだい
)
に
数
(
かず
)
を
増
(
ま
)
した
女中達
(
じょちゅうたち
)
は、お
蓮
(
れん
)
の
姿
(
すがた
)
を
見失
(
みうしな
)
っては一
大事
(
だいじ
)
と
思
(
おも
)
ったのであろう。
老
(
おい
)
も
若
(
わか
)
きもおしなべて、
庭
(
にわ
)
の
木戸
(
きど
)
へと
歩
(
ほ
)
を
乱
(
みだ
)
した。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
宵の間にかくれた月の後、空には星ばかりが繁くまばたき、冬の寒さをいや
増
(
ま
)
しに思わせ、遠くで吠え立てる
家護
(
やも
)
りの犬の、声さえ顫えて聞こえなされた。
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
兵庫県下なら、汽車へ乗らずとも電車で行けるから、東京の原籍地へ戻るよりはいくらか
増
(
ま
)
しだと私は喜んだ。
恐怖
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
美女が
化粧
(
よそお
)
えば
一層
(
いっそう
)
の
匂
(
にお
)
いを
増
(
ま
)
し醜女がとりつくろえば、女性らしい苦労が見えて、その醜なのが許される。
女性の不平とよろこび
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
それ
食
(
じき
)
は、
色
(
いろ
)
を
増
(
ま
)
し、
力
(
ちから
)
をつけ、
命
(
いのち
)
を
延
(
の
)
ぶ。
衣
(
ころも
)
は、
寒
(
さむ
)
さをふせぎ、
暑
(
あつさ
)
を
支
(
さ
)
え、
恥
(
はぢ
)
をかくす。人にものを
施
(
せ
)
する人は、人の
色
(
いろ
)
をまし、
力
(
ちから
)
をそへ、
命
(
いのち
)
を
續
(
つ
)
ぐなり。
尼たちへの消息:――よく生きよとの――
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
雨
(
あめ
)
が
次第
(
しだい
)
に
強
(
つよ
)
くなつたので
外面
(
そと
)
の
模樣
(
もやう
)
は
陰鬱
(
いんうつ
)
になるばかり、
車内
(
うち
)
は
退屈
(
たいくつ
)
を
増
(
ま
)
すばかり
眞鶴
(
まなづる
)
の
巡査
(
じゆんさ
)
がとう/\
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
即
(
すなは
)
ち一日の
後
(
おくれ
)
となるゆへ、四年目には一日
増
(
ま
)
して
其間
(
そのあひだ
)
に
地球
(
ちきう
)
を
走
(
はし
)
らしめ、
丁度
(
ちやうど
)
本
(
もと
)
の
處
(
ところ
)
に
行付
(
ゆきつく
)
を
待
(
ま
)
つなり。
改暦弁
(旧字旧仮名)
/
福沢諭吉
(著)
また山を
攀
(
よ
)
じ川を
渉
(
わた
)
り、世の
塵紛
(
じんふん
)
を忘れて
神洞
(
しんどう
)
仙窟
(
せんくつ
)
に遊ぶがごとく、
大
(
おおい
)
に
体力
(
たいりょく
)
の重量を
増
(
ま
)
すに至れり。
瘠我慢の説:05 福沢先生を憶う
(新字新仮名)
/
木村芥舟
(著)
これには自分も全くうんざりして
終
(
しま
)
った。
真逆
(
まさか
)
祖母の記憶力がここまで消耗していようとは夢にも思わなかったが、併し謡わないよりは
増
(
ま
)
しだと思って又一番
相
(
あい
)
勤めた。
謡曲黒白談
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
足下
(
きみ
)
の
同情
(
どうじゃう
)
は
多過
(
おほす
)
ぎる
予
(
わし
)
の
悲痛
(
かなしみ
)
に、
只
(
たゞ
)
悲痛
(
かなしみ
)
を
添
(
そ
)
へるばかり。
戀
(
こひ
)
は
溜息
(
ためいき
)
の
蒸氣
(
ゆげ
)
に
立
(
た
)
つ
濃
(
こ
)
い
煙
(
けむり
)
、
激
(
げき
)
しては
眼
(
め
)
の
裡
(
うち
)
に
火花
(
ひばな
)
を
散
(
ち
)
らし、
窮
(
きう
)
しては
涙
(
なみだ
)
の
雨
(
あめ
)
を
以
(
もっ
)
て
大海
(
おほうみ
)
の
水量
(
みかさ
)
をも
増
(
ま
)
す。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
なほ
人智
(
じんち
)
がいよ/\
發達
(
はつたつ
)
し
人口
(
じんこう
)
がどん/\
増
(
ま
)
すにつれて、
最後
(
さいご
)
には
奧山
(
おくやま
)
の
木
(
き
)
までも
伐
(
き
)
つて
家屋
(
かおく
)
、
橋梁
(
きようりよう
)
、
器具
(
きぐ
)
、
機械
(
きかい
)
、
汽車
(
きしや
)
、
電車
(
でんしや
)
、
鐵道
(
てつどう
)
の
枕木
(
まくらぎ
)
、
電信
(
でんしん
)
、
電話
(
でんわ
)
の
柱
(
はしら
)
といふように
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
美しい娘のたのみはだんだんいじらしさを
増
(
ま
)
して、お医者さんの心にしみわたり、老人は老人で、じぶんの命をたすけてくだされば、娘をさしあげますと言ってきかないので
死神の名づけ親(第二話)
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
氣
(
き
)
に
入
(
い
)
りの
玄竹
(
げんちく
)
を
相手
(
あひて
)
に、
夜
(
よ
)
の
更
(
ふ
)
けるのを
忘
(
わす
)
れてゐた
但馬守
(
たじまのかみ
)
は、
幾
(
いく
)
ら
飮
(
の
)
んでも
醉
(
ゑ
)
はぬ
酒
(
さけ
)
に、
便所
(
べんじよ
)
へばかり
立
(
た
)
つてゐたが、
座敷
(
ざしき
)
へ
戻
(
もど
)
る
度
(
たび
)
に、
其
(
そ
)
の
顏
(
かほ
)
の
色
(
いろ
)
の
蒼
(
あを
)
みが
増
(
ま
)
してくるのを
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
讀書
(
どくしよ
)
は
徒
(
いたづ
)
らに人の
憂患
(
わづらひ
)
を
増
(
ま
)
すのみの
歎
(
なげき
)
は、
一世
(
いつせい
)
の
碩學
(
せきがく
)
にさへあることだから、
單
(
たん
)
に
安樂
(
あんらく
)
といふ意味から云ツたら其も
可
(
よ
)
からうけれど、僕等は
迚
(
とて
)
も其ぢや滿足出來ないぢやないか。
虚弱
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
その声は一だんごとに力を
増
(
ま
)
し、泣くがように、むせぶがようにひびきわたりました。
壇ノ浦の鬼火
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
もともと
二人
(
ふたり
)
の
住
(
す
)
むべき
境涯
(
きょうがい
)
が
異
(
ちが
)
っているのであるから、
無理
(
むり
)
にそうした
真似
(
まね
)
をしても、それは
丁度
(
ちょうど
)
鳥
(
とり
)
と
魚
(
うお
)
とが一
緒
(
しょ
)
に
住
(
すま
)
おうとするようなもので、ただお
互
(
たがい
)
に
苦
(
くる
)
しみを
増
(
ま
)
すばかりじゃ。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
おわんの
舟
(
ふね
)
は
毎日
(
まいにち
)
少
(
すこ
)
しずつ
淀川
(
よどがわ
)
を
上
(
のぼ
)
って行きました。しかし
舟
(
ふね
)
が
小
(
ちい
)
さいので、
少
(
すこ
)
し
風
(
かぜ
)
が
強
(
つよ
)
く
吹
(
ふ
)
いたり、
雨
(
あめ
)
が
降
(
ふ
)
って
水
(
みず
)
かさが
増
(
ま
)
したりすると、
舟
(
ふね
)
はたびたびひっくり
返
(
かえ
)
りそうになりました。
一寸法師
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
君が医科を卒業したとて人格の上に別段に光を
増
(
ま
)
さぬごとくに、卒業しないとてさらに人格に損するところはない。だから、君の一身に取って医科に学ぶということはきわめて小なる問題だ。
廃める
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
始はそれもさばかりに、え堪へまじいとは覚えなんだが、やがて河の真唯中へさしかかつたと思ふほどに、白衣のわらんべが重みは
愈
(
いよいよ
)
増
(
ま
)
いて、今は
恰
(
あたか
)
も
大磐石
(
だいばんじやく
)
を負ひないてゐるかと疑はれた。
きりしとほろ上人伝
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
巡査の巡回の回数を
増
(
ま
)
して、充分静子を保護するという約束をして呉れた。
陰獣
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
お旗本の
妾
(
めかけ
)
に上げては、私の心持が済みませんが、それでもやくざ者の
配偶
(
つれあい
)
にするよりは
増
(
ま
)
しでございます。伊賀井様のお望み通り、急に娘を奉公に差上げる気になったのは、そんなことからで——
銭形平次捕物控:211 遠眼鏡の殿様
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
二
年
(
ねん
)
此方
(
このかた
)
、
地方自治體
(
ちはうじちたい
)
はやう/\
饒
(
ゆたか
)
になつたので、
其管下
(
そのくわんか
)
に
病院
(
びやうゐん
)
の
設立
(
たて
)
られるまで、
年々
(
ねん/\
)
三百
圓
(
ゑん
)
づつを
此
(
こ
)
の
町立病院
(
ちやうりつびやうゐん
)
に
補助金
(
ほじよきん
)
として
出
(
だ
)
す
事
(
こと
)
となり、
病院
(
びやうゐん
)
では
其
(
そ
)
れが
爲
(
ため
)
に
醫員
(
いゐん
)
を
一人
(
ひとり
)
増
(
ま
)
す
事
(
こと
)
と
定
(
さだ
)
められた。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
終了
(
しまう
)
とお光の方に至り萬事の
相談
(
さうだん
)
買物
(
かひもの
)
なんどに
深切
(
しんせつ
)
盡
(
つく
)
せば親子は喜び
親類
(
しんるゐ
)
代
(
がは
)
りに當日はお金も其所の
席
(
せき
)
に
臨
(
のぞ
)
みよろしく
頼
(
たのむ
)
と此者の
衣類
(
いるゐ
)
も
帶
(
おび
)
も
拵
(
こしら
)
へやりしにお金はいよ/\嬉しさ
増
(
ま
)
し
自慢
(
じまん
)
たらだら此事を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「
増
(
ま
)
し
錢
(
せん
)
を取られるんでせう。」
素材
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
屋根
(
やね
)
を
葺
(
ふ
)
いても、
板
(
いた
)
を
打
(
う
)
つても、
一雨
(
ひとあめ
)
強
(
つよ
)
くかゝつて、
水嵩
(
みづかさ
)
が
増
(
ま
)
すと、
一堪
(
ひとたま
)
りもなく
押流
(
おしなが
)
すさうで、いつも
然
(
さ
)
うしたあからさまな
體
(
てい
)
だと
云
(
い
)
ふ。——
雨ふり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
そうして、いままでよりか、みんなに一つ
欲望
(
よくぼう
)
が
増
(
ま
)
したので、いつか、この
光
(
ひか
)
る
銀貨
(
ぎんか
)
のために
争
(
あらそ
)
いが
起
(
お
)
こらなければならなく
思
(
おも
)
われたのでした。
幸福に暮らした二人
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
男の貞造が、そういって
尻
(
しり
)
ごみをしたので、お松とおしげもきゅうに、こわさが
増
(
ま
)
して、もう力を出す気がなくなった。
金属人間
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
殊
(
こと
)
にその泥岩
層
(
そう
)
は、川の水の
増
(
ま
)
すたんび、
奇麗
(
きれい
)
に
洗
(
あら
)
われるものですから、何とも
云
(
い
)
えず青白くさっぱりしていました。
イギリス海岸
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
“増”の意味
《名詞》
増(ぞう)
増えること。増やすこと。
(出典:Wiktionary)
増
常用漢字
小5
部首:⼟
14画
“増”を含む語句
弥増
彌増
年増
中年増
増長
年増女
荒増
増加
日増
大年増
増上寺
年増盛
建増
増々
湛増
増屋
増一阿含経
波羅葦増
増長慢
増大
...