“回(ま)” の例文
まず最初、輸送船団の船長と、それを警護する艦隊の艦長の委員会の情景から、クランクが回(ま)わされている。
映画のもつ文法 (新字新仮名) / 中井正一(著)
それから私の手の下で、小さな咽喉仏(のどぼとけ)を二三度グルグルと回(ま)わして、唾液(つばき)をのみ込むと、頬を真赤にしてニコニコ笑いながら、いかにも楽しそうに眼をつむった。
冗談に殺す (新字新仮名) / 夢野久作(著)
と高調子(たかぢょうし)に歌う。シュシュシュと轆轤(ろくろ)が回(ま)わる、ピチピチと火花が出る。「アハハハもう善(よ)かろう」と斧を振り翳(かざ)して灯影(ほかげ)に刃(は)を見る。「婆様(ばあさま)ぎりか、ほかに誰もいないか」
倫敦塔 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「今日も新聞で見りや、媽(かゝあ)の正月の頸(くび)の飾に五千円とか六千円とか掛けるのだとよ、ヘン、自分の媽の首せエ見てりや下民(しものもの)の首が回(ま)はらなくても可(い)いと言ふのか、ベラ棒め」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
愛憎なげに己が影を眺めては太息せり、彼はなお幾たびか阿園の両親に懺悔(ざんげ)せんと思い、また阿園のごとく死なんとまで思うこともしばしばなりき、しかして彼はつらつら思い回(ま)わせり
空家 (新字新仮名) / 宮崎湖処子(著)