)” の例文
テーブルのうえには、カーネーションや、リリーや、らんのはななどがられて、それらの草花くさばな香気こうきじって、なんともいえない
煙突と柳 (新字新仮名) / 小川未明(著)
行くゆく沿道の村落で聞く風説などにも、ずいぶん戒心かいしんを要するものがある。その中には多分に、敵の流言もじっているからだった。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
頸筋くびすぢぶたこゑまでがそれらしい老人らうじん辨當べんたうをむしやつき、すこ上方辯かみがたべんぜた五十幾歳位いくさいぐらゐ老婦人らうふじんはすしを頬張ほゝばりはじめた。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
一方、正文はこの大人と子供とざり合つたやうな、身体だけは大振りな、女にかけてはしたゝかな息子を前にして途方に暮れた。
医師高間房一氏 (新字旧仮名) / 田畑修一郎(著)
四つ入れてよくぜてそれからベシン皿へでもあるいは丼鉢どんぶりばちへでも入れてほかのプデンのようにテンパンへお湯をいでその中へベシン皿を
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
三四郎はとこのなかで、此みつの世界をならべて、互に比較して見た。次に此みつの世界を掻きぜて、其なかからひとつの結果を得た。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
三造の記憶の中で、一昨日通った奉天と、八年も前に、彼がこの中学校の生徒だった時分、修学旅行に行ったときの奉天とがじり合っていた。
プウルの傍で (新字新仮名) / 中島敦(著)
思わしい事もなかったにかかわらずとにかく押しも押されもしない一個の男として、大勢の他人にじって独立して来た。
田舎医師の子 (新字新仮名) / 相馬泰三(著)
さながら麻雀でもぜてゐる形で、のんきに且つ熱心に撰り分けてゐる。予の妻などは一見しただけで身を慄はせてゐた。
建物も衣服も食物も、そうして用いる言葉さえも、どんなに多く外から来たものがじるでありましょう。これをよくとれば国際的になったとも思えます。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
私は一ツ一ツ五拾銭銀貨が一枚ぐらいざっていはしないかと、膝の上にこぼれた銭の縁を指で引掻いて見た。
清貧の書 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
わたしがりんごをそぐ(小さく切る)と、おっかあはたまごこなぜてころもをしらえ、ちちを少しずつ混ぜていた。
このじりッけのねえおせんのつめが、たった小判こばんまいだとなりゃ、若旦那わかだんなねこのようにびつくなァ、ぎたてのかがみでおのがつらるより、はっきりしてるぜ
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
二、ある人物が登場する時機は、それぞれ自由なるも、故意に舞台をぜ返すやうな出方は慎むべきこと。
職業(教訓劇) (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
そして、カアンとチャペル撞木しゅもくが当る、とその時まさしくドアの方角で、秒刻の音に入りざって明瞭はっきりと聴き取れたものがあった。ああ、再び扉が開かれたのだった。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
初代は見立てのいい柄の、仕立卸したておろしの黒っぽい単衣物ひとえものを着ていた。帯はやっぱり黒地に少し銀糸をぜた織物であった。臙脂えんじ色の鼻緒はなお草履ぞうりも卸したばかりだった。
孤島の鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
じんつあんの、薬さぜる砂糖、万の野郎が、みんなめでしまって無くなったげっとも……」
山茶花 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
医者いしや内弟子うちでし薬局やくきよく拭掃除ふきさうぢもすれば総菜畠さうざいばたけいもる、ちかところへは車夫しやふつとめた、下男げなん兼帯けんたい熊蔵くまざうといふ、其頃そのころ二十四五さい稀塩散きゑんさん単舎利別たんしやりべつぜたのをびんぬすんで
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
なお華族に属しつつまた政府から幾分の税金を徴収ちょうしゅうされるです。ですから人民は二重の税金を払わなくてはならん。人頭税じんとうぜいまでぜますと随分沢山な税金を納めなくてはならん。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
トクべえさんが、れいの感じをぜながら、奇妙な赤い帆のヨットの話をした。
キャラコさん:07 海の刷画 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
地主と小作人などはお互に都合の良い様に仕合ってうまく行きそうに思えるけれ共、実際は、なかなかそうは行かず、丁度、資本主と職工の様に絶えず不平と反抗的な気持がじって居る。
農村 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
「これでお内儀さんを可愛がれア申し分なしだ。」と誰やらがぜッかえした。
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
『愛のこもれる草の食事は、憎惡のじれるえたる牡牛をうしのそれにまさる。』
西洋封筒の手紙が一通他の郵便物にじりこんでゐて、開いて見ると、わたくしはあなたのお作品が好きで大概の物は逃がさずに讀んでゐるが、好きといふことは作者の文章のくせのやうなものに
巷の子 (旧字旧仮名) / 室生犀星(著)
「あ、親分。その中には毒がじつて居やしませんか」
その盃中に宿老の酌むべき美酒をずる時
イーリアス:03 イーリアス (旧字旧仮名) / ホーマー(著)
まちって、どんなところなの?」と、むすめは、まちおそろしいところとおもいながらきました。すると、そのあかはねじっている小鳥ことり
ふるさとの林の歌 (新字新仮名) / 小川未明(著)
なぜならば、木下隊には、先頃、長亭軒の城や苅安城——その他、諸所で収容した降参人がたくさんじっているからである。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それへ塩を小匙半分位加えてよくぜて水をホンの少し即ち大匙一杯も入れてそのまま一時間も置くと肉のエキス分が段々溶けて来ます。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
手紙には新蔵が蜂蜜を呉れたから、焼酎をぜて、毎晩さかづきに一杯づゝ飲んでゐるとある。新蔵はうちの小作人で、毎としふゆになると年貢米を二十俵づゝ持つてくる。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
神にじるをわれ恐る、われの心に惱あり
イーリアス:03 イーリアス (旧字旧仮名) / ホーマー(著)
これをて、美代子みよこが、あのごみのじったまめが、どれほどながいこと、はとや子供こどもよろこばしたろうと感心かんしんしたのであります。
ごみだらけの豆 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「舎弟と、つきぜるとちょうどいい。あの男は、何もいわんが、野望があり、おそろしいことも考えている。君は、人間がよすぎるからいかん」
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
第百三十三 スカンボロエッグス 玉子へ塩を加えてよくぜて牛乳少しとバターを少し入れてり付けます。ちょうど日本風の炒玉子いりたまごと同じ事です。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
それ自分じぶん自分じぶんあたまつてみて、二つのものをぜやうとつとめたものである。かれいままくらうへかみけたなり、みぎの手をかためて、みゝうへを二三度たゝいた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
それから、いくねんものあいだしげもなく、かれつくった陶器とうきは、こころないひとたちのあつかわれたのでありましょう。がらくたのあいだじっていました。
さかずきの輪廻 (新字新仮名) / 小川未明(著)
八時間の後あったかい処から出してみるとプツプツとさかんに醗酵していますからその中へメリケン粉二斤を加えてよくぜると饂飩うどんの少し柔い位なものが出来ます。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
酒には、麻睡薬ますいやくぜてあったらしい。三名とも、蒟蒻こんにゃくのように正体なく、よだれを垂らして伸びてしまった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
天水桶てんすいおけぜたくらいの価値はその色の上において充分あらわれている。これからが化物の記述だ。大分だいぶ骨が折れる。天水桶の方に、突っ立っている若造わかぞうが二人いる。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
この花壇かだんにきて、自分じぶんのみすぼらしい、いじけた姿すがたが、ほとんどはいらないほど、きれいなはなあいだじっているのをかなしく、ずかしくかんじました。
公園の花と毒蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
玉子の良否よしあしを択ぶのは必要な事ですが日本人は平生へいぜい食物問題に不注意だから玉子屋がいのも悪いのもんなぜて売っていますし、買う方も構わずに買います。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
こういう頭脳あたまが、奉公人たちの中にじっていたら、奉公人には目まぐるいであり、憎まれそねまれるのは当然である。——嘉兵衛は、そう思って苦笑をうかべた。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
くちばしの色を見るとむらさきを薄くぜたべにのようである。その紅がしだいに流れて、あわをつつく口尖くちさきあたりは白い。象牙ぞうげを半透明にした白さである。この嘴が粟の中へ這入はいる時は非常に早い。
文鳥 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
めっそうな、わたしたら、いまごろは破産はさんせんけりゃならん。しろい、気味きみわるつきをしたおとこ見物人けんぶつにんなかじって、じっとしていたということでな。
白い影 (新字新仮名) / 小川未明(著)
別に玉子二つへ砂糖大匙二杯加えてよくよくぜて少しずつ今のミルクを混ぜながらして行って
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
みぎわの水を、仔細に見ると、それは水その物が黄色いのではなく、砥石といしを粉にくだいたような黄色いすな微粒びりゅうが、水にじっていちめんにおどっているため、にごって見えるのであった。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
胸の中を棒でぜられるような、また胃のが不規則な大波をその全面に向って層々と描き出すような、な心持にえかねて、とこの上に起き返りながら、吐いて見ましょうかと云って
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そして、そのくろずんだ木立こだちあいだじって、なんのらないけれど、しろはないていました。
灰色の姉と桃色の妹 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それから別に煮てある赤茄子を裏漉うらごしにすると液も身も沢山出ますからんな一緒に今の白湯へ加えてよくぜて塩と胡椒とホンの少しの砂糖で味を付けます。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
純良な金質きんしつに、銀や銅をぜ、銀貨にはすずや銅を加えて、新貨幣が発行された。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)