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敗
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ま
ふりがな文庫
“
敗
(
ま
)” の例文
午後二時ごろ、お
昼飯
(
ひるはん
)
をたべに、
麻布
(
あざぶ
)
の
竜土軒
(
りゅうどけん
)
へ行き、清子は
井目
(
せいもく
)
をおいて、泡鳴と碁を二回かこんだが、二度とも清子が
敗
(
ま
)
けた。
遠藤(岩野)清子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
いまさら、
敗
(
ま
)
けツこはないでせう……。こゝまで来て敗けたりしちやア眼もあてられない。私は、敗けるなンざア考へてもみない。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
まず、訴訟に
敗
(
ま
)
けたくないからです。これはむろんのことです、そのためには、利用できるものはなんでも見逃すわけにはゆきません。
審判
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
これなどはいかにも、
敗
(
ま
)
けた武士というものが、どんな悲惨な生活に落ちてゆくかが分って、当時の社会相が目に見えるようだ。
随筆 宮本武蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ふと眼が会ったら、その男が半分は
一人言
(
ひとりごと
)
のように、半分は私に話しかけるような調子で「戦争に
敗
(
ま
)
けりゃあこんなもんだ。仕方がないや」
硝子を破る者
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
▼ もっと見る
私は
敗
(
ま
)
け、またもとのモクアミになってしまう、そう思ったからこそ、さきにテープをとどけさせておいたの。やはり、私は正しかったわ。
愛の終り
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
国と国との間には
干戈
(
かんか
)
を交える真の戦争のほかに、つねに平和の戦争なるものがあって、これに
敗
(
ま
)
ければやはり国は衰える。
教育と迷信
(新字新仮名)
/
丘浅次郎
(著)
全然これは生徒の
敗
(
ま
)
けである。どうもこれは、いつもの
新任
(
しんにん
)
先生とはだいぶようすがちがう。少々のいたずらでは、泣きそうもないと思った。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
ピジョン講師の説明に
拠
(
よ
)
ると、
其
(
その
)
昔
羅馬人
(
ローマじん
)
が英国へ侵入して来た時に、
其
(
その
)
一部が
戦闘
(
たたかい
)
に
敗
(
ま
)
けて
此
(
こ
)
の地方へ逃げ込んで来た。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
もともとこの人土俵の外に投げ出されたとて
敗
(
ま
)
けたとはいわぬという日下開山、これが名越の自邸に築窯したのである。
現代茶人批判
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
こういう馬鹿げた精神が美徳だなどと疑られもしなかった日本は、どうしても
敗
(
ま
)
け破れ破滅する必要があったのである。
デカダン文学論
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
思
(
おも
)
わぬことにほこ
先
(
さき
)
をくじいた
乙
(
おつ
)
の
軍勢
(
ぐんぜい
)
は
敗
(
ま
)
けて
退却
(
たいきゃく
)
いたしますと、
今度
(
こんど
)
は
甲
(
こう
)
の
軍勢
(
ぐんぜい
)
は
急
(
きゅう
)
に
勢
(
いきお
)
いを
盛
(
も
)
り
返
(
かえ
)
して、
逃
(
に
)
げる
乙
(
おつ
)
の
軍勢
(
ぐんぜい
)
を
追
(
お
)
ってゆきました。
酒倉
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
どえらい戦争をはじめたら、きっと日本は、しまいには
敗
(
ま
)
けるにきまってる。どえらい敗け方をするにちがいない。
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
いとしい人の美しい幻影に打ち
敗
(
ま
)
かされ、
永劫
(
えいごう
)
の迷いを抱きつゝ死んで行ったのであろうと、考えるより外はない。
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
張合つて綺麗に
敗
(
ま
)
けて、今でも兩國の水茶屋に通つて、女だてらに大酒を飮んで、男から男へと渡つて歩くやうなだらしのない生活を續けて居るのでした。
銭形平次捕物控:024 平次女難
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
はじめ
二目
(
にもく
)
三目
(
さんもく
)
より、
本因坊
(
ほんいんばう
)
膏汗
(
あぶらあせ
)
を
流
(
なが
)
し、
額
(
ひたひ
)
に
湯煙
(
ゆけむり
)
を
立
(
た
)
てながら、
得
(
え
)
たる
祕法
(
ひはふ
)
を
試
(
こゝろ
)
むるに、
僅少
(
わづかに
)
十餘子
(
じふよし
)
を
盤
(
ばん
)
に
布
(
し
)
くや、
忽
(
たちま
)
ち
敗
(
ま
)
けたり。
即
(
すなは
)
ち
踞
(
ひざまづ
)
いて
教
(
をしへ
)
を
乞
(
こ
)
ふ。
唐模様
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
そのあとからサアが刀を抜いて、攻めて来る敵を片っぱしから刀も
鎧
(
よろい
)
も
一打
(
ひとうち
)
に切って切って切りまくりましたので、敵は大
敗
(
ま
)
けに
敗
(
ま
)
けて逃げてしまいました。
奇妙な遠眼鏡
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
香倶土三鳥
(著)
「
敗
(
ま
)
け
戦
(
いくさ
)
の神と言うほうが適当だろう」と中倉先生はまた、自分が言わんと欲して言うあたわざる事を言う。
号外
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
しかし、どうしてこんな場合に、不意に悪人のことを自分は考えたのだろうか。たしかに、事は戦争の勝ち
敗
(
ま
)
けのことだけでは済みそうにないと梶は思った。
微笑
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
戦
(
いくさ
)
に
敗
(
ま
)
けて講和を求める時にそれを掲げて来るなら、その時は砲撃を中止するであろうとの言葉を残した。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
源八郎、
敗
(
ま
)
けぬ気を出したわけではない。ほかの木の根を探すよりも、早く休みたいからであったのだ。
怪異暗闇祭
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
まことにこの森林の子、ゲルマン族の
偉
(
え
)
らさは、
敗
(
ま
)
けて敗けず、むしろ焦土から倍旧の美しい、化学や芸術の花を咲かせて、敵国に復讐し、己れ甦生する所にある。
独逸の範とすべき点
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「
敗
(
ま
)
けた、敗けた。どうも、今日は調子が悪い。
甚
(
じん
)
公から、二枚落しで、四番も立ち投げを食うた」
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
男と競争しても
敗
(
ま
)
けはしないぞといったような男子に対する一種の
復讐
(
ふくしゅう
)
的な気持ちも加わっていて、自分にもはっきり意識しない
虚栄心
(
きょえいしん
)
もそれに手伝っていたのである。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
それでも結局はアデイアは五
磅
(
ポンド
)
くらいは
敗
(
ま
)
けになったろうか、——しかし彼は元来相当の財産を持っていたので、こんな敗けくらいは彼にとっては何でもないことであった。
空家の冒険
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
だからといって自軍が
敗
(
ま
)
けたことの弁解にはならないから、もちろん、
因杅
(
いんう
)
将軍の罪は許されなかったが、これを聞いた武帝が、李陵に対し激怒したことは言うまでもない。
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
身を縮めて、一生懸命に抱きしめていても、いつか自分の力の方が
敗
(
ま
)
けてゆくような——目が
覚
(
さ
)
めた時、彼は自分がおびただしい
悪寒
(
おかん
)
に襲われてがたがた
慄
(
ふる
)
えているのを知った。
六月
(新字新仮名)
/
相馬泰三
(著)
それを聞くと、僕は「
何糞
(
なにくそ
)
」と
敗
(
ま
)
けない気が出て、いきなりその帽子に飛びつこうとしましたら、帽子も僕も一緒になって学校の正門の鉄の扉を
何
(
なん
)
の苦もなくつき抜けていました。
僕の帽子のお話
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
何處の學校でも、校長は鯰髭の高麗人で、議論をすると
屹度
(
きつと
)
敗
(
ま
)
けるものと見える。
雲は天才である
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
素
(
もと
)
より女ながら一死を
賭
(
と
)
して、
暴虐
(
ぼうぎゃく
)
なる政府に抗せんと志したる
妾
(
わらわ
)
、勝てば官軍
敗
(
ま
)
くれば
賊
(
ぞく
)
と昔より相場の
極
(
きま
)
れるを、虐待の、無情のと、今更の如く
愚痴
(
ぐち
)
をこぼせしことの恥かしさよと
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
理屈において
負
(
ま
)
けたならば、一本
参
(
まい
)
ったと
綺麗
(
きれい
)
に
敗
(
ま
)
ければ男らしくもあり、かえって自分の主張に
泥
(
どろ
)
をつけないものとなるに、おのれの議論が弱いときには、その弁護に感情を
含
(
ふく
)
まして
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
「とうとう降参しましたかな。降参したなら、降参したで
宜
(
よろ
)
しい。
敗
(
ま
)
けたものを
追窮
(
ついきゅう
)
はしないから。——そこへ行くと男にはまた弱いものを
憐
(
あわ
)
れむという美点があるんだからな、こう見えても」
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
加之
(
それに
)
自分の分としては
財産
(
ざいさん
)
も幾分別になツて、生活の安全も
保證
(
ほしよう
)
されてあるから、夫人に取ツては、何方が
勝
(
か
)
ツても
敗
(
ま
)
けてもカラ平氣だ。そこで
要
(
い
)
らざるおせツかいをせぬ事として
澄
(
す
)
まし返ツてゐた。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
こりゃあイギリスの方が
敗
(
ま
)
けるんじゃあないか、と思いました。
お蝶夫人
(新字新仮名)
/
三浦環
(著)
「ところが、見す見す
敗
(
ま
)
けるという方に附く者は今の世——何時の世にも少いでござりましょう。されば損得に引廻されないような大将の方に旗の数が多くなろう理は先ず以て無いことでござれば、そこで世の中は面倒なのでござる。」
雪たたき
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
祝家荘
(
しゅくかそう
)
の祝朝奉をあいてに
大戦
(
おおいくさ
)
の最中なんでして……。しかもこっちは
敗
(
ま
)
け色です。楊林と
鄧飛
(
とうひ
)
も、じつは敵のとりこになっている始末。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私は、きっとあなたに
敗
(
ま
)
けてしまうだろう。でも強引に、むしゃぶりつくみたいにして、あなたの死を私の死にしてやるのだ。心中をしてやるのだ。
軍国歌謡集
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
張合って綺麗に
敗
(
ま
)
けて、今でも両国の水茶屋に通って、女だてらに大酒を飲んで、男から男へと渡って歩くようなだらしのない生活を続けているのでした。
銭形平次捕物控:024 平次女難
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ものはいえなくても千咲は
敗
(
ま
)
けるのがいやだと、ひろみに聞いていたが、目のあたりみるのはおもしろかった。
日めくり
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
なにもかも、話してやった——ふウン、これが、おッ母さんの恋敵か? この女から、おッ母さんが
敗
(
ま
)
けたのか?……そう思うと、あたしは、一層、決心が堅まったよ
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
それらは、訴訟の新段階には持ちこむことが許されぬという理由で、差戻されたのであり、値打ちのない
反古
(
ほご
)
なのだ。それでも訴訟はまだ
敗
(
ま
)
けときまったわけではない。
審判
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
しかし、勝っている間は、こんなに勝ちつづけて良いものだろうかという愁いがあった。それが
敗
(
ま
)
け色がつづいて襲って来てみると、愁いどころの騒ぎでは納まらなかった。
微笑
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
それ
熟々
(
つらつら
)
、史を
按
(
あん
)
ずるに、城なり、陣所、戦場なり、
軍
(
いくさ
)
は
婦
(
おんな
)
の出る方が大概
敗
(
ま
)
ける。この日、道学先生に対する語学者は勝利でなく、礼之進の靴は名誉の負傷で、揚々と引挙げた。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ゆき子は自分が
惨
(
みじ
)
めに
敗
(
ま
)
けてしまつた気で、学校時代のサージの制服を仕立てなほした
洋袴
(
ズボン
)
に、爪先きのふくらんだ、汚れた黒靴をはいてゐる事に、いまいましいものを感じてゐる。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
『
敗
(
ま
)
けてお遣りよ。昌作さんが可哀想だから。』と見物してゐたお柳が
喙
(
くちばし
)
を容れた。不快な顏をして昌作は手を引いた。靜子は氣の毒になつて、無言で昌作の札を一枚自分の方へ取つた。
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
よし
皮肉
(
ひにく
)
をもって一時勝利を得るにしても、その実は敵に
敗
(
ま
)
けたものである。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
「でも、どんなものでしょうなあ、
戦
(
いくさ
)
に
敗
(
ま
)
けて帰って来るというやつは。」
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
みんなで石っころを
投
(
ほう
)
りこんで逃出すんだ、そりゃね、時には、
外
(
おもて
)
でいじめたこともあるさ。だけれど、その時
敗
(
ま
)
けて泣いた奴の方があんなに偉くなって、わしゃチンコッきりだ。わしゃかなしい。
旧聞日本橋:11 朝散太夫の末裔
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
その小さな目には
勝
(
すぐ
)
れた才気と、
敗
(
ま
)
けぎらいらしい気象とがほとばしってはいたけれども、じじむさい
顎
(
あご
)
ひげと、伸びるままに伸ばした髪の毛とで、葉子でなければその特長は見えないらしかった。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
お母様に
敗
(
ま
)
けないように清浄な一生を送りましょう
押絵の奇蹟
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
“敗(
敗戦
)”の解説
敗戦(はいせん)は、争いごと・勝負・スポーツの試合などに負けること。
(出典:Wikipedia)
敗
常用漢字
小4
部首:⽁
11画
“敗”を含む語句
失敗
成敗
腐敗
勝敗
大失敗
敗亡
敗北
敗荷
敗軍
優勝劣敗
敗績
酸敗
零敗
敗戦
敗滅
打敗
敗壊
敗者
敗餒
敗醤花
...