)” の例文
二日ふつか眞夜中まよなか——せめて、たゞくるばかりをと、一時ひととき千秋せんしうおもひつ——三日みつか午前三時ごぜんさんじなかばならんとするときであつた。……
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
おじいさんは、来年らいねんはるになるのをったのです。ついに、そのはるがきました。すると、常夏とこなつは、ぐんぐんとおおきくなりました。
花と人間の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
もうし上げます。町はもうすっかり掃除そうじができてございます。人民じんみんどもはもう大悦おおよろこびでお布令ふれたずきれいに掃除そうじをいたしました」
四又の百合 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
こうなると、もうなんでもつよい人に加勢かせいたのむよりしかたがないとおもいまして、このあいだからはしの上にっていたのでございます。
田原藤太 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
うちよりけておもていだすは見違みちがへねどもむかしのこらぬ芳之助よしのすけはゝ姿すがたなりひとならでたぬひとおもひもらずたゝずむかげにおどろかされてもの
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
二人ふたり呉服屋ごふくや反物たんものつてた。米屋こめやからこめつてつた。けれども其他そのたには一般いつぱん社會しやくわいところきはめてすくない人間にんげんであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
おそかなおのれより三歳みつわか山田やまだすで竪琴草子たてごとざうしなる一篇いつぺんつゞつて、とうからあたへつ者であつたのは奈何どうです、さうふ物を書いたから
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
いろんな事をつてやアがる、て/\、ウームアヽ痛いウム、オイおくま躯中からだぢゆうしびれて……こつちへはいつて背中せなかを二ツ三ツたゝいてくれ。
まる年間ねんかん小言こごとはず、うらみもはず、たゞ御返事ごへんじつてります』でめられたのだからたまらない。をとこはとう/\落城らくじやうした。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
あなたが竜宮りゅうぐうへおでなさることは、かねてからお通信たよりがありましたので、こちらでもそれをたのしみにたいへんおちしていました。
船頭せんどうくら小屋こやをがらつとけてまたがらつとぢた。おつぎはしばらつててそれからそく/\とふねつないだあたりへりた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
此日雲飛はちにつた日がたので明方あけがた海岱門かいたいもんまうで見ると、はたして一人のあやしげな男が名石めいせきかついで路傍みちばたに立て居るのを見た。
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
するとあるとき、ライオンが猟人かりうどつかまつてしばられたとこへれいねづみて「おぢさん、つといで」とつてしばつたなわ噛切かみきつてやりました。
奈美子なみこしろきれあたまをくる/\いて、さびしいかれ送別そうべつせきにつれされて、別室べつしつたされてゐたことなぞも、仲間なかま話柄わへいのこされた。
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
「おまえは、じぶんの仕事しごとのことばかりかんがえていて、わるこころになっただな。ひとぬのをちのぞんでいるのはわるいことだぞや。」
牛をつないだ椿の木 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
なかにも年少ねんせう士官等しくわんら軍刀ぐんたうつかにぎめて、艦長かんちやう號令がうれいつ、舷門げんもんほとり砲門ほうもんほとり慓悍へうかん無双ぶさう水兵等すいへいらうでさすつてる。
木小屋きごやまへにはいけがあつて石垣いしがきよこいてゆきしたや、そこいらにあそんではちかへるなぞが、とうさんのあそびにくのをつてました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
上ではみんなが下男をっていましたが、いつまでたっても下男はもどってきません。そこで、主人しゅじんがおくさんにむかって
太夫たゆう、お待遠まちどおさまでござんしょうが、どうかこちらへおいでなすって、おちゃでも召上めしあがって、おちなすっておくんなまし」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
もの着物きものだって……すこしちたまえ、なにかあるだろう。が、家のものをさわがしたくないから、まにあわせだよ」
あいちやんはみづかおもふやう、『何時いつはなへるんだかわたしにはわからないわ、はなはじめもしないでてさ』しかあいちやんは我慢がまんしてつてゐました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
真理しんりは我と我の家族かぞくより大なり、この決心けつしん実行じつこうあらん教会けうくわいたゞち復興ふくこうはじむべし、れなからん乎、復興はおはりまでつもきたらざるべし。
問答二三 (新字旧仮名) / 内村鑑三(著)
道子みちこはバスのとほるのをて、その停留場ていりうぢやうまであるき、つてゐるひとみちをきいて、こんどは国府台こふのだいから京成電車けいせいでんしや上野うへのまはつてアパートにかへつた。
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
それからまた、いつもちがいのあるいいもの、菓子かしとかとかめずらしい玩具などを持っててくれるから、きだった。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
病院をでてもいく家はない。ってる人もない。安藤が自分の家へつれて帰ったものの、慰藉いしゃのあたえようもない。花前はときどき相手あいてかまわず
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
菊村宮内きくむらくないどのへ、ちょっとおいとまをつげてまいるから、おまえも、そのあいだに支度したくをして、ここにっているんだぞ」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あのをとこころしたのはわたしです。しかしをんなころしはしません。では何處どこつたのか? それはわたしにもわからないのです。まあ、おちなさい。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
……(下人に)やい、そちはヹローナぢゅう駈𢌞かけまはって(書附を渡し)こゝ名前なまへいてある人達ひとたち見附みつけて、今宵こよひわがやしきねんごろ御入來ごじゅらいをおまうすとへ。
「おや! 一番いちばんおおきいのがまだれないでるよ。まあ一体いったいいつまでたせるんだろうねえ、きしちまった。」
さびしい修道者しゆどうしや仲間なかますくな山家やまがくらしのうちにも、なにまうけるこゝろがあつて、たのしみになつてゐるものです。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
ごんはずにかれはニキタのしめした寐臺ねだいうつり、ニキタがつてつてゐるので、ぐにてゐたふくをすツぽりとて、病院服びやうゐんふく着換きかへてしまつた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
たゞ常緑樹じようりよくじゆのすぎやひのきのだけがくろずんだをつけたまゝあたゝかいはるふたゝまはつてくるのをつてゐます。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
岡町をかまち中食ちうじきをして、三國みくにから十三じふそわたしにしかゝつたときは、もうなゝごろであつた。渡船とせんつてゐるので、玄竹げんちくみち片脇かたわきつて、つてゐた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
きみ立派りつぱ書物しよもつ出來上できあがる。きみはこのほんるのをたのしみにしてゐたといふではないか。きみはなぜ、せめては、このほんるまでつてはゐなかつたのだ。
「三つの宝」序に代へて (旧字旧仮名) / 佐藤春夫(著)
と一足違いの爺さんはたった一つ残っていた椅子を占領していた。刻限を見計らって出て来たのに踏切の辰さんがたたったのである。よくよくたされる運命だ。
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
そして、ひとかど、かんがんで、眞面目まじめかほをして、一寸ちよつとつて頂戴ちやうだいつて頂戴ちやうだいつたら、と喧嘩けんくわしてゐる。
休日毎きうじつごとさそひに幻花子げんくわしつてられず。今日けふ望生ぼうせい翌日あす活子くわつしあるひは三にんそろつてうちに、土偶どぐうあしる。小土器せうどきる。大分だいぶ景氣けいきいてた。
不知庵フチアンがこのしよわが文界ぶんかい紹介せうかいしたる勇氣ゆうきをこよなくよろこぶものなり。だいかんすみやかでんことをつ。
罪と罰(内田不知庵訳) (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
同業どうぎょうのところへつて、そこからつていかなくちやならねえから、二ばかりつてくれといつたんですが、どうでも、いそいでもつてこいつていうんです。
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
すなはち一日のおくれとなるゆへ、四年目には一日して其間そのあひだ地球ちきうはしらしめ、丁度ちやうどもとところ行付ゆきつくつなり。
改暦弁 (旧字旧仮名) / 福沢諭吉(著)
幾回いくくわいものカンフル注射ちうしやほどこされて、みな彼女かのぢよ身内みうちものが、一人ひとりでもてくれることのぞんでゐたが、電報でんぱうつたにもかゝはらず、誰一人たれひとり、たうとうなかつた。
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
穰苴じやうしよすでに((君ヲ))し、莊賈さうかやくしていはく、『(六)旦日たんじつ(七)日中につちう軍門ぐんもんくわいせよ』と。穰苴じやうしよせてぐんいたり、(八)へう(九)ろうくだしてつ。
思いかけず期におくるることなどあらんも計られずと、あやぶみおもいて、須坂に在りてたんといわれし丸山氏のもとへ人をやりて謝し、いそぎて豊野の方へいでたちぬ。
みちの記 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
道のべのいつしばはらのいつもいつも人の許さむことをしたむ 〔巻十一・二七七〇〕 作者不詳
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
彼女かのぢよたのしんであとのこつた。さうして新生涯しんしやうがいゆめみながらかれからのたよりをくらした。一にち、一にちつてく。けれどもそののちかれからはなん端書はがきぽん音信おとづれもなかつた。
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
けれども南瓜かぼちやはくやしくつて、くやしくつて、たまらず、そのばん、みんなの寢靜ねじづまるのをつて、べたにほつぺたをすりつけて、造物つくりぬし神樣かみさまをうらんで男泣をとこなきにきました。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
「いや、おまえは病人びょうにんだからむりをしないでおくれ。わしがひとりでさがす。きっとさがしだしておまえのところへつれてくるから、気をもまないでっていておくれ。」
あたまでっかち (新字新仮名) / 下村千秋(著)
もなく行衞知れずなりて、其部屋そのへやの壁には日頃ひごろ手慣てなれし古桐の琴、ぬしちげに見ゆるのみ。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
かれさる案内あんないさして、大蛇おろちのでてきそうなところへ行き、そこに女の人形を立たせました。そしてさると二人で、大蛇おろちに見つからないようなかげかくれて、じっとっていました。
人形使い (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
ただ冒進ぼうしんの一事あるのみと、ひとり身をぬきんで水流をさかのぼり衆をてて又顧みず、余等つゐで是にしたがふ、人夫等之を見て皆曰く、あに坐視ざしして以ていたづらに吉田署長以下のたんやと
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)