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こうして夜明けを待っていても、自分をつつむ吉岡門の呪咀じゅそや、策や刃ものをしている気配は、全身に感じている武蔵であった。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あるいは例の消極的修養に必要な道具かも知れない。むかし或る学者が何とかいう智識をうたら、和尚おしょう両肌を抜いでかわらしておられた。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
彼は是迄これまで一冊の詩集と三冊の旅行記とを出版したがその文章と云い、観察と云い、玄人のるいしていたので
喇嘛の行衛 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
子貢曰く、詩に「せつするが如く、するが如く、たくするが如く、するが如し」と言えるは、それこのいか。
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
子貢曰く、詩に云う、せつするが如く、するが如く、たくするが如く、するが如しとは、其れれを之れ謂うかと。子曰く、や、始めてともに詩を言うべきのみ。
論語物語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
互に顔も知らねば名も知らぬ人々である、しかして、二人が呼吸のある屍骸しにがらを抱き合わないばかりによこたえているところは、高く人寰じんかんを絶し、近く天球をする雲の表の、一片の固形塊ソリッド・マッス
奥常念岳の絶巓に立つ記 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
す。りよう武帝ぶてい達磨大師だるまだいしに問ふ。如何いかんこれ仏法ぶつぽう云ふ。水中の河馬かば
動物園 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
かんし、うえしょくするはこの人格を維持するの一便法に過ぎぬ。筆をすずりするのもまたこの人格を他の面上に貫徹するの方策に過ぎぬ。——これが今の道也の信念である。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その塁をするということは、困難のように思われる。
日本探偵小説界寸評 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)