)” の例文
大きい方の男は背をげて、別に目立つふるまいもしていなかったが、ヴァランタンには、その男が六フィートはたっぷりあることがわかった。
げてのわびごとなんとしてするべきならずよしやひざげればとて我親わがおやけつしてきゝいれはなすまじく乞食こつじき非人ひにん落魄おちぶるとも新田如につたごときに此口このくちくされてもたすけを
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
軍手を穿めた手にステッキ位の黒い棒をシッカリと構えているが、腰をげているので背丈の高さはわからない。
オンチ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
彼女は火の上に身體をげて、焚火たきびの光で祈祷書のやうな小型の黒い表紙の本に讀み入つてゐるらしかつた。
その栗原山へ膝をげ礼を低うして、何度となく登った頃のあの熱意と謙虚けんきょと希望の高さとを胸にあらたにするとき、秀吉はわれながら青年の血の純情さを尊くおもった。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
親達の命令には少しぐらい無理なことがあっても自分の意をげても従うと言う風であった。
二面の箏 (新字新仮名) / 鈴木鼓村(著)
晩年はそれでも、まれに指揮することがあったが、他人の作曲を指揮するときなどは、身体を不自然にねじげて、どこか痛いところでもあるような表情をしたということである。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
それやよって、二人の間がいつも気が合わんので年中喧嘩ばかりしているけど、何でも自分の心をげて親のいうことに従うておらんならんいうて、姉さん今えろう泣いてはりました。
霜凍る宵 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
力なげ首悄然しおしおおのれがひざ気勢いきおいのなきたそうなる眼をそそぎ居るに引き替え、源太郎は小狗こいぬ瞰下みおろ猛鷲あらわしの風に臨んで千尺のいわおの上に立つ風情、腹に十分じゅうぶの強みを抱きて、背をもげねば肩をもゆがめず
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
太郎が前にとぐらくこと十三まき
鬼桃太郎 (新字新仮名) / 尾崎紅葉(著)
無茶先生は豚吉の身体からだをたたき直しますと、そのまんま火の中へ入れて、今度はヒョロ子を引きずり出して、鉄敷の上に乗せて、二つにタタきげましたので
豚吉とヒョロ子 (新字新仮名) / 夢野久作三鳥山人(著)
ガラッ八は眼の前へ持って行った食指ひとさしゆびげてみせました。
さがりて太郎たらうまへとぐら
鬼桃太郎 (旧字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
●探偵の手…………皮肉にげたり伸ばしたりして悪人を指し、嘲弄しつつ立ち上る。
と怒髪天を衝いた巨漢が、私の耳の上に一撃加えようとするのを、私はヘッドスリップ式に首をげたが、そのすきに両腕を強く振ると、左右の二人が肩の関節を外して悲鳴を上げた。
冥土行進曲 (新字新仮名) / 夢野久作(著)