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巻
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ま
ふりがな文庫
“
巻
(
ま
)” の例文
旧字:
卷
巻
(
ま
)
きゲートルをして、
地下足袋
(
じかたび
)
をはいて、
黒
(
くろ
)
い
帽子
(
ぼうし
)
を
被
(
かぶ
)
っていました。
小泉
(
こいずみ
)
くんは、ほかへ
気
(
き
)
をとられて、
僕
(
ぼく
)
に
気
(
き
)
づきませんでした。
生きぬく力
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
朝霧
(
あさぎり
)
がうすらいでくる。庭の
槐
(
えんじゅ
)
からかすかに日光がもれる。
主人
(
しゅじん
)
は
巻
(
ま
)
きたばこをくゆらしながら、
障子
(
しょうじ
)
をあけ
放
(
はな
)
して庭をながめている。
箸
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
王子は石を一つ
拾
(
ひろ
)
って、それを力まかせに
投
(
な
)
げてみました。石は
遙
(
はる
)
か下の方の
雲
(
くも
)
に
巻
(
ま
)
きこまれたまま、なんの
響
(
ひび
)
きも
返
(
かえ
)
しませんでした。
強い賢い王様の話
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
つづいて
新吉
(
しんきち
)
がファットマンの鼻へ乗ろうとすると、ファットマンはちょっと鼻を
巻
(
ま
)
きこんで、しばらく新吉の顔を見ていました。
曲馬団の「トッテンカン」
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
やがて思いついたことがあって、わたしはそれを
丸
(
まる
)
く
巻
(
ま
)
いてネクタイにした。
大将
(
たいしょう
)
がもっと
笑
(
わら
)
った。カピがまたでんぐり返しを打った。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
▼ もっと見る
籃
(
かご
)
を取り
巻
(
ま
)
いた連中は、サンドヰツチを
食
(
く
)
ひ
出
(
だ
)
した。
少
(
すこ
)
しの
間
(
あひだ
)
は静であつたが、思ひ
出
(
だ
)
した様に与次郎が又広田先生に話しかけた。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
俄盲目
(
にはかめくら
)
で
感
(
かん
)
が
悪
(
わ
)
るいけれども、
貰
(
もら
)
つた
手拭
(
てぬぐひ
)
で
傷
(
きず
)
を
二重
(
ふたへ
)
ばかり
巻
(
ま
)
いて、ギユツと
堅
(
かた
)
く
緊
(
し
)
めますと、
薬
(
くすり
)
の
効能
(
かうのう
)
か
疼痛
(
いたみ
)
がバツタリ止まりました。
大仏餅。袴着の祝。新まへの盲目乞食
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
といひかけて
衝
(
つツ
)
と
立
(
た
)
ち、つか/\と
足早
(
あしばや
)
に
土間
(
どま
)
へ
下
(
お
)
りた、
余
(
あま
)
り
身
(
み
)
のこなしが
活溌
(
くわツぱつ
)
であつたので、
其
(
そ
)
の
拍手
(
ひやうし
)
に
黒髪
(
くろかみ
)
が
先
(
さき
)
を
巻
(
ま
)
いたまゝ
頷
(
うなぢ
)
へ
崩
(
くづ
)
れた。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
まん中の大きな
釜
(
かま
)
からは
湯気
(
ゆげ
)
が
盛
(
さか
)
んにたち、農夫たちはもう
食事
(
しょくじ
)
もすんで、
脚絆
(
きゃはん
)
を
巻
(
ま
)
いたり
藁沓
(
わらぐつ
)
をはいたり、はたらきに出る
支度
(
したく
)
をしていました。
耕耘部の時計
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
行田印刷所と書いたインキに汚れた大きい
招牌
(
かんばん
)
がかかっていて、旧式な手刷りが一台、例の大きなハネを
巻
(
ま
)
き
返
(
かえ
)
し繰り返し動いているのが見える。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
頭から顔じゅうをほうたいでぐるぐる
巻
(
ま
)
き、ほうたいの白い中から
鼻
(
はな
)
だけが赤くのぞいていて、そのぶきみさは、
全身
(
ぜんしん
)
の毛がそうけ立つほどだった。
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
「お早いのには、呂宋兵衛も
舌
(
した
)
を
巻
(
ま
)
きましたよ。さすがは、
伊賀者頭
(
いがものがしら
)
でお
扶持
(
ふち
)
をもらっているだけのお
値打
(
ねう
)
ちはある」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
波止場に入りし時、翁は夢みるごときまなざしして
問屋
(
といや
)
の
燈火
(
ともしび
)
、影長く水にゆらぐを見たり。舟
繋
(
つな
)
ぎおわれば
臥席
(
ござ
)
巻
(
ま
)
きて
腋
(
わき
)
に抱き櫓を肩にして岸に
上
(
のぼ
)
りぬ。
源おじ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
村
(
むら
)
の
者
(
もの
)
が
大
(
おお
)
ぜい
鉢
(
はち
)
をかぶった
娘
(
むすめ
)
を
取
(
と
)
り
巻
(
ま
)
いて、がやがや
騒
(
さわ
)
いでいるところを
遠
(
とお
)
くから
目
(
め
)
をおつけになって
鉢かつぎ
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
こう
言
(
い
)
って、
魔女
(
まじょ
)
はラプンツェルの
美
(
うつく
)
しい
髪
(
かみ
)
を
攫
(
つか
)
んで、
左
(
ひだり
)
の
手
(
て
)
へぐるぐると
巻
(
ま
)
きつけ、
右
(
みぎ
)
の
手
(
て
)
に
剪刀
(
はさみ
)
を
執
(
と
)
って、ジョキリ、ジョキリ、と
切
(
き
)
り
取
(
と
)
って、その
見事
(
みごと
)
な
辮髪
(
べんぱつ
)
を
ラプンツェル
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
私
(
わたし
)
は
舌
(
した
)
を
巻
(
ま
)
きました、なか/\
批評
(
ひゝやう
)
どころではない、
敬服
(
けいふく
)
して
了
(
しま
)
つたのです、
因
(
そこ
)
で考へた、
彼
(
かれ
)
が二
年
(
ねん
)
晩
(
おく
)
れて
予備門
(
よびもん
)
に入つて来たのは、
意味
(
いみ
)
無くして
遅々
(
ぐづ/\
)
して
居
(
ゐ
)
たのではない
硯友社の沿革
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
春重
(
はるしげ
)
の
手
(
て
)
から、
無造作
(
むぞうさ
)
に
投
(
な
)
げ
出
(
だ
)
された
真
(
ま
)
ッ
黒
(
くろ
)
な一
束
(
たば
)
は、
松
(
まつ
)
五
郎
(
ろう
)
の
膝
(
ひざ
)
の
下
(
した
)
で、
蛇
(
へび
)
のようにひとうねりうねると、ぐさりとそのまま
畳
(
たたみ
)
の
上
(
うえ
)
へ、とぐろを
巻
(
ま
)
いて
納
(
おさ
)
まってしまった。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
花中
(
かちゅう
)
には四
雄蕊
(
ゆうずい
)
がある。その長い
葯
(
やく
)
は、
葯胞
(
やくほう
)
の
片
(
へん
)
がもとから上の方に
巻
(
ま
)
き上がって、黄色の花粉を出している特状がある。このような
葯
(
やく
)
を、植物学上では
片裂葯
(
へんれつやく
)
と称している。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
大波
(
おおなみ
)
は見るまに、たちまち
媛
(
ひめ
)
を
巻
(
ま
)
きこんでしまいました。するとそれといっしょに、今まで荒れ狂っていた海が、ふいにぱったりと静まって、急に
穏
(
おだや
)
かななぎになってきました。
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
蜥蜴の体は最早トラの胃の中にあるに、切れて落ちた
鋼鉄色
(
こうてついろ
)
の尾の一片は、小さな一疋の虫かなんぞの様にぐるっと
巻
(
ま
)
いたりほどけたりして居る。トラめは其れも
鵜呑
(
うのみ
)
にして了うた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
彼の身体は、いま針金でぐるぐる
巻
(
ま
)
きにされている。なんだか一向わからない。
大空魔艦
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
そして、せまい
谷間
(
たにま
)
に落ちこみ、
底
(
そこ
)
の岩にあたって、しぶきをあげて飛びちっています。
滝
(
たき
)
の下の、水がものすごく
渦
(
うず
)
を
巻
(
ま
)
いてあわをたてているところに、岩が二つ三つ
突
(
つ
)
きでています。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
青白い二本の手を突込んで中のものを放り出し初めた……
縮緬
(
ちりめん
)
の夜具、
緞子
(
どんす
)
の敷布団、麻のシーツ、派手なお召の
掻
(
か
)
い
巻
(
ま
)
き、美事な
朱総
(
しゅぶさ
)
のついた
括
(
くく
)
り
枕
(
まくら
)
と塗り枕、墨絵を描いた白地の蚊帳……。
あやかしの鼓
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
帯とき
前
(
まえ
)
のしだらない
己
(
おの
)
が姿。ひらいた襟のあたりの白い膚にくいいるがごとき門之丞の視線を知った萩乃は、手早く拾った帯のはしを
巻
(
ま
)
きなおし、挟みこんで、ソソクサと胸かきあわせながら
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
富士男は声をたよりに
巻
(
ま
)
きろくろとみよしのあいだにあゆみよった。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
黒
(
くろ
)
き
悩
(
なやみ
)
の
旋律
(
せんりつ
)
ぞ
渦
(
うづ
)
巻
(
ま
)
き起る。
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
しばらくすると、ほおかぶりをして、えり
巻
(
ま
)
きをした百
姓
(
しょう
)
が、その
橋
(
はし
)
の
上
(
うえ
)
を
通
(
とお
)
りかかりながら
彼
(
かれ
)
の
釣
(
つ
)
りをしているのをながめました
北の国のはなし
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
雨でも
降
(
ふ
)
ると、わたしたちは船室の中にはいって、
勢
(
いきお
)
いよく
燃
(
も
)
えた火を取り
巻
(
ま
)
いてすわる。病人の子どもがかぜをひかないためであった。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
手紙
(
てがみ
)
の
中
(
なか
)
に
巻
(
ま
)
き込めて、二百円の小切手が
這入
(
はい
)
つてゐた。代助は、しばらく、それを
眺
(
なが
)
めてゐるうちに、
梅子
(
うめこ
)
に
済
(
す
)
まない様な気がして
来
(
き
)
た。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
あの
下流
(
かりゅう
)
の赤い
旗
(
はた
)
の立っているところに、いつも
腕
(
うで
)
に赤いきれを
巻
(
ま
)
きつけて、はだかに
半天
(
はんてん
)
だけ一
枚
(
まい
)
着
(
き
)
てみんなの泳ぐのを見ている三十ばかりの男が
イギリス海岸
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
あとに
女
(
をんな
)
は
亭主
(
ていしゆ
)
が
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
たならば
飲
(
の
)
ませようと思つて買つて置いた酒をお客に
飲
(
の
)
ましてしまつたのですから、買つて置かうと
糸立
(
いとだて
)
を
巻
(
ま
)
いて
手拭
(
てぬぐひ
)
を
冠
(
かむ
)
り
鰍沢雪の夜噺(小室山の御封、玉子酒、熊の膏薬)
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
と
負惜
(
まけをし
)
みを
言
(
い
)
つたものゝ、
家来
(
けらい
)
どもと
顔
(
かほ
)
を
見合
(
みあ
)
はせて、
舌
(
した
)
を
巻
(
ま
)
いたも
道理
(
だうり
)
。
鐙
(
あぶみ
)
の
真中
(
まんなか
)
が
其
(
そ
)
のシツペイのために
凹
(
くぼ
)
んで
居
(
ゐ
)
た——と
言
(
い
)
ふのが
講釈
(
かうしやく
)
の
分
(
ぶん
)
である。
怪力
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
別室にうつって、
福島正則
(
ふくしままさのり
)
の手から
密書
(
みっしょ
)
をうけ取った
秀吉
(
ひでよし
)
は、一読して、すぐグルグルとむぞうさに
巻
(
ま
)
きながら
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして
側
(
そば
)
に
寄
(
よ
)
るが早いか、その大きな
身体
(
からだ
)
で、ぐるぐると人形に
巻
(
ま
)
きついて、力いっぱいにしめつけました。
人形使い
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
阿倍
(
あべ
)
の
家
(
いえ
)
に
昔
(
むかし
)
から
伝
(
つた
)
わって、だれも
読
(
よ
)
む
者
(
もの
)
のなかった
天文
(
てんもん
)
、
数学
(
すうがく
)
の
巻
(
ま
)
き
物
(
もの
)
から、
占
(
うらな
)
いや
医学
(
いがく
)
の
本
(
ほん
)
まで、
何
(
なん
)
ということなしにみな
読
(
よ
)
んでしまって、もう十三の
年
(
とし
)
には
葛の葉狐
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
おこのが
昼
(
ひる
)
といわず夜といわず、ひそかに
睨
(
にら
)
んだとどのつまりは、
独
(
ひと
)
り四
畳半
(
じょうはん
)
に
立籠
(
たてこ
)
もって、おせんの
型
(
かた
)
にうき
身
(
み
)
をやつす、
良人
(
おっと
)
の
胸
(
むね
)
に
巻
(
ま
)
きつけた
帯
(
おび
)
が、
春信
(
はるのぶ
)
えがくところの
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
村の
銀行
(
ぎんこう
)
の
金庫
(
きんこ
)
からも、ちょうど
片手
(
かたて
)
でつかめるほどの
金貨
(
きんか
)
と、紙できちんと
巻
(
ま
)
いた
貨幣
(
かへい
)
とが、ふいに
空中
(
くうちゅう
)
に
舞
(
ま
)
いあがり、おどろく
行員
(
こういん
)
をしり
目
(
め
)
に、ふわふわと
飛
(
と
)
んで
銀行
(
ぎんこう
)
をでてゆき
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
命はその
相模
(
さがみ
)
の
半島
(
はんとう
)
をおたちになって、お船で
上総
(
かずさ
)
へ向かってお
渡
(
わた
)
りになろうとしました。すると途中で、そこの海の神がふいに
大波
(
おおなみ
)
を
巻
(
ま
)
きあげて、海一面を
大荒
(
おおあ
)
れに荒れさせました。
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
土間を正面に見た
旦那座
(
だんなざ
)
に座っているのが鬼の
大将
(
たいしょう
)
であろう。
腰
(
こし
)
のまわりに
獣
(
けもの
)
の皮を
巻
(
ま
)
いて大あぐらをかいている。口の
両端
(
りょうはし
)
から
現
(
あらわ
)
れている
牙
(
きば
)
が炎に
照
(
て
)
らされて金の牙のように光っている。
鬼退治
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
そこで
継母
(
ままはは
)
は、
自分
(
じぶん
)
の
居室
(
いま
)
にある
箪笥
(
たんす
)
のところに
行
(
い
)
って、
手近
(
てぢか
)
の
抽斗
(
ひきだし
)
から、
白
(
しろ
)
い
手巾
(
はんけち
)
を
出
(
だ
)
して
来
(
き
)
て、
頭
(
あたま
)
を
頸
(
くび
)
に
密着
(
くっつ
)
けた
上
(
うえ
)
を、ぐるぐると
巻
(
ま
)
いて、
傷
(
きず
)
の
分
(
わか
)
らないようにし、そして
手
(
て
)
へ
林檎
(
りんご
)
を
持
(
も
)
たせて
杜松の樹
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
あとから、
雷
(
かみなり
)
の
音
(
おと
)
が
追
(
お
)
いかけるようにきこえたのです。ふり
向
(
む
)
くと、もはや
野原
(
のはら
)
のかなたは、うず
巻
(
ま
)
く
黒雲
(
くろくも
)
のうちに
包
(
つつ
)
まれていました。
曠野
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
だれももう
笑
(
わら
)
う者はなかった。空がだんだん暗くなった。あらしがどんどん来かけていた。
砂
(
すな
)
けむりがうずを
巻
(
ま
)
いて上がった。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
兄
(
あに
)
は
洋卓
(
てえぶる
)
の
上
(
うへ
)
の手紙を
取
(
と
)
つて自分で
巻
(
ま
)
き始めた。
静
(
しづ
)
かな部屋の
中
(
なか
)
に、
半切
(
はんきれ
)
の
音
(
おと
)
がかさ/\
鳴
(
な
)
つた。
兄
(
あに
)
はそれを
元
(
もと
)
の
如
(
ごと
)
くに封筒に納めて懐中した。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
蚕婆
(
かいこばばあ
)
が毒づきながら、縄のまま半助をひきずってきて、
家
(
いえ
)
の前の
柿
(
かき
)
の木へグルグル
巻
(
ま
)
きにしばってしまった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
へい、
芝居茶屋
(
しばゐぢやや
)
の若い
衆
(
しゆ
)
さんのお
世辞
(
せじ
)
だよ、うむ、
其方
(
そのはう
)
が
宜
(
よ
)
からう、エヽ
此手
(
このて
)
では
如何
(
いかゞ
)
でございます。と
機械
(
きかい
)
へ手を
掛
(
かけ
)
てギイツと
巻
(
ま
)
くと
中
(
なか
)
から
世辞
(
せじ
)
が
飛出
(
とびだ
)
しました。
世辞屋
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
そしてそれっきり
浪
(
なみ
)
はもう
別
(
べつ
)
のことばで何べんも
巻
(
ま
)
いて来ては
砂
(
すな
)
をたててさびしく
濁
(
にご
)
り、砂を
滑
(
なめ
)
らかな
鏡
(
かがみ
)
のようにして引いて行っては一きれの
海藻
(
かいそう
)
をただよわせたのです。
サガレンと八月
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
どうかして
敵
(
かたき
)
を
打
(
う
)
ちたいと
思
(
おも
)
いますが、
何分
(
なにぶん
)
向
(
む
)
こうは
三上山
(
みかみやま
)
を
七巻
(
ななま
)
き
半
(
はん
)
も
巻
(
ま
)
くという
大
(
おお
)
むかでのことでございますから、よし
向
(
む
)
かって行っても
勝
(
か
)
つ
見込
(
みこ
)
みがございません。
田原藤太
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
取
(
と
)
ると、……むら/\と
一巻
(
ひとまき
)
、
渦
(
うづ
)
を
巻
(
ま
)
くやうに
成
(
な
)
つて、
湯気
(
ゆげ
)
が、
鍋
(
なべ
)
の
中
(
なか
)
から、
朦
(
もう
)
と
立
(
た
)
つ。
続銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
庭
(
にわ
)
には木も石もなく、ただ
平
(
たい
)
らな
地面
(
じめん
)
が高い
壁
(
かべ
)
に取り
巻
(
ま
)
かれてるきりでした。
強い賢い王様の話
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
そして、あっという
間
(
ま
)
に、国じゅうを半分までも
巻
(
ま
)
き
込
(
こ
)
んでしまいました。
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
“巻”の意味
《固有名詞》
(まき) 新潟県中部西蒲原郡にかつてあった町。
《名詞》
(まき) 小説や漫画などの話の一区切り。回。章。
(出典:Wiktionary)
巻
常用漢字
小6
部首:⼰
9画
“巻”を含む語句
巻煙草
襟巻
一巻
巻莨
葉巻
紙巻煙草
渦巻
寝巻
向顱巻
腰巻
万巻
紙巻
掻巻
鉢巻
取巻
逆巻
巻雲
湯巻
合巻
画巻
...