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二百十日の蒸暑い風が口の中までジャリ/\するように砂塵埃ぼこりを吹き捲って夏けのした身体からだは、唯歩くのさえ怠儀であった。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
彼は、女にけない程度に冷静を装ったつもりだけれど、その文束を持った指先が無残にふるえていた。
ふみたば (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)