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俟
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ま
ふりがな文庫
“
俟
(
ま
)” の例文
人格は各人の精神的努力に
俟
(
ま
)
つほかなく、その成長を可能ならしめるためには社会制度をあるべきものたらしめることが必要であり
ヒューマニズムへの道:文芸時評
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
必ず坐して守り以てその
醒
(
さ
)
むるを
俟
(
ま
)
つ、その醒むるを俟つにあらず、その懼るるを俟つなり〉とある、自分を懼れぬ者を食わぬのだ。
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
もとより各国それぞれの憲法は、一面共通なる精神を基礎とすると共に、他面各々その国特有の色彩を帯びて居る事は論を
俟
(
ま
)
たない。
憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず
(新字新仮名)
/
吉野作造
(著)
この四ヶ条の仕事をよくして十分に快楽を覚ゆるは論を
俟
(
ま
)
たずといえども、今また別に求むべきの快楽あり。その快楽とは何ぞや。
家庭習慣の教えを論ず
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
手甲の上には紺地に白糸で、草模様などの刺繍が見える。もとより包むのは両手のみではなく、
頭布
(
ずきん
)
をかぶるのは言うを
俟
(
ま
)
たない。
陸中雑記
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
▼ もっと見る
地方土着の士人に至りてはなお
脾肉
(
ひにく
)
の
疲
(
や
)
せたるを慨嘆し、父祖伝来の
戎器
(
じゅうき
)
を貯蔵して時機を
俟
(
ま
)
ちたる、これ当時一般の状態にあらずや。
近時政論考
(新字新仮名)
/
陸羯南
(著)
契約は暗黙のうちに結べばいい。それで、にんじんは、今後、
督促
(
とくそく
)
を
俟
(
ま
)
たず、しかも、報酬を当てにしないで働かなければならぬ。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
佐藤一斎の集『愛日楼文』の如きまた頼山陽の『日本外史』の如き皆
予
(
あらかじ
)
め敬所の校閲を
俟
(
ま
)
って然る後刊刻せられたといわれている。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
まだこれからでも人工媒助によっていろいろの新らしい品種を作る事が出来る訳だが、それは園芸家の技倆に
俟
(
ま
)
つべきものである。
植物記
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
これは後世の批判を
俟
(
ま
)
って論ぜらるべきで、単に好き嫌いを以て云々すべきではないが、私自身は、バッハ以後の編曲を好まない。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
「之れ独り我が吾妻村のみならず、渡良瀬川沿岸の各村落は同一の害を被り、多年を
俟
(
ま
)
たずして荒蕪の一原野となり、村民悉く離散せん」
渡良瀬川
(新字新仮名)
/
大鹿卓
(著)
文章は如何にも平易である。何人も理解に苦しまぬ。しかしその底にはやはり居士を
俟
(
ま
)
たなければならぬものが横たわっている。
「俳諧大要」解説
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
第三がずきんと私の胸を
衝
(
つ
)
いたこというまでもない。すなわち、あえて依頼を
俟
(
ま
)
たずとも急遽一読すべく充分以上に親切である。
踊る地平線:04 虹を渡る日
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
かく平然自若たるを見て如何にも感嘆の情を
禁
(
とど
)
めることが出来なかったが、やがてソクラテスの眠より覚めるのを
俟
(
ま
)
って、脱獄を勧めた。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
インクナブラ以前の木版物は、クシログラフと呼ばれる書籍の一団であるが、「おしめ本」と相
俟
(
ま
)
って稀覯書中の重鎮である。
愛書癖
(新字新仮名)
/
辰野隆
(著)
朝鮮語での述作がこの人達に文化の光を与える為にも、はた又彼等を
愉
(
たの
)
しませるためにも、絶対的に必要なのは論を
俟
(
ま
)
たぬことではないか。
天馬
(新字新仮名)
/
金史良
(著)
「ええ、冬は蛇がいなくなるから、いいわね。あゝ、も来ちゃった。ちょっと
俟
(
ま
)
ってて、おじさまがいるかどうか見るから。」
蜜のあわれ
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
それで
被害者
(
ひがいしや
)
の
方
(
はう
)
の
噺
(
はなし
)
も
極
(
きま
)
つたのだから
此
(
こ
)
の
上
(
うへ
)
は
警察
(
けいさつ
)
の
手加減
(
てかげん
)
に
俟
(
ま
)
つより
外
(
ほか
)
に
道
(
みち
)
は
無
(
な
)
いのであるが、
不在
(
ふざい
)
であつた
主人
(
しゆじん
)
は
其
(
そ
)
の
日
(
ひ
)
も
歸
(
かへ
)
らない。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
奇刀乾雲丸は、不可解の一団に持ち去られたと称して手もとにないものの、剣狂左膳の技能は、あえて乾雲を
俟
(
ま
)
たなくても自在に
奔駆
(
ほんく
)
した。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
夫は田畑を打つ、妻は雑草を抜くという有様で、小農組織の我が国に於ては、過半は女子の労力に
俟
(
ま
)
たねばならぬのである。
夫婦共稼ぎと女子の学問
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
まして
御簾
(
みす
)
もない
咫尺
(
しせき
)
にまかるなどは、時なればこそだと思った。伝奏にも
俟
(
ま
)
たず、後醍醐はじかにおことばをかけられた。
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
此根本問題の解決は、勿論社会主義に
俟
(
ま
)
たざる可らずと雖も、而も我等婦人は尚
夫
(
それ
)
以外に、此我儘勝手なる男子閥とも戦はざる可からざるなり。
肱鉄砲
(新字旧仮名)
/
管野須賀子
(著)
「この二人が少し前に会いに来たそうだ」友は私の見終るのを
俟
(
ま
)
って云った。「
恰度
(
ちょうど
)
僕が留守だったので後程伺うと云い置いて帰ったそうだよ」
真珠塔の秘密
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
いや、その不具な部分を
俟
(
ま
)
ってこそ、殺人を犯すことが出来たのですよ。僕は貴方の肉体でなく、その手働四輪車と
敷物
(
カーペット
)
だけを見ているのです。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
宮はその
梗概
(
あらまし
)
を語れり。聴ゐる母は、彼の事無くその場を
遁
(
のが
)
れ得てし始末を
詳
(
つまびら
)
かにするを
俟
(
ま
)
ちて、始めて重荷を下したるやうに
哱
(
ほ
)
と息を
咆
(
つ
)
きぬ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
もしそれ真に学に志さんとするものはもとより遠く
塵寰
(
じんかん
)
を脱して世潮の浮沈を度外に置くを要するや言を
俟
(
ま
)
たざるなり。
史論の流行
(新字旧仮名)
/
津田左右吉
(著)
いずれも色彩美のよろこびに
溢
(
あふ
)
れたものであって、壁画掛幅のような建築との色彩調和に
俟
(
ま
)
つものは当然の事としても
美の日本的源泉
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
その各々のエッセンスを
擢
(
ぬき
)
んで、理解し、其専門化して歪められたる方向を正しきに引き戻すのは、文学者の綜合的知識と批判を
俟
(
ま
)
つの他は無い。
大衆文芸作法
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
茶山は書を槐庵に与へた後、又一箇月の間忍んで蘭軒の信書を
俟
(
ま
)
つてゐた。気の毒な事にはそれはそらだのめであつた。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
フライタハはクラウゼウィッツ研究の大家である。クラウゼウィッツの思想は全独軍を支配している事言を
俟
(
ま
)
たない。
戦争史大観
(新字新仮名)
/
石原莞爾
(著)
「そんなに
何時
(
いつ
)
までも何時までも
俺
(
わし
)
の
援助
(
たすけ
)
に
俟
(
ま
)
たなければならないやうなものなら、何もかも
止
(
よ
)
して、地面を俺にかへして
貰
(
もら
)
はなければならない。」
新らしき祖先
(新字旧仮名)
/
相馬泰三
(著)
あえて岡本綺堂先生の「世話狂言の嘘」に
俟
(
ま
)
つ迄もなかろう、江戸時代にはお歴々の士分といえども十両以上の大金は決して肌にしてはいなかった。
我が円朝研究:「怪談牡丹灯籠」「江島屋騒動」「怪談乳房榎」「文七元結」「真景累ヶ淵」について
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
ここを踏ん張ろうという
肚
(
はら
)
もあるのですから、愚痴などは一つもいわず、涼風の吹いて来るのを
俟
(
ま
)
っておりました。
幕末維新懐古談:64 大仏の末路のあわれなはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
否、一般的に云つて、ビルドゥングといふ思想は、有機体説的世界観の基礎を
俟
(
ま
)
つて初めて、その固有な且つ十分な意味において成立するものである。
ゲーテに於ける自然と歴史
(新字旧仮名)
/
三木清
(著)
凡そ中層階級が自らも他からも健全なりと
見做
(
みな
)
さるる理由は、自らその生活を保持し、これを充実し向上せしめ、他の施設恩恵を
俟
(
ま
)
たぬがためである。
平塚・山川・山田三女史に答う
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
皮膚の色沢については、ある限度までは、電気的又は薬品施術によって、改めることが出来るが、それ以上は、やはり外用の化粧料を
俟
(
ま
)
たねばならぬ。
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
自分はきっと
天寿
(
てんじゅ
)
を
俟
(
ま
)
つ迄もなく
殺害
(
さつがい
)
せられてしまうに決っていると確信しているのだから、実に困ったものだ。
電気看板の神経
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
然し、連続的に襲って来る悪夢は、京子の激しい愛撫を
俟
(
ま
)
つまでもなく、独りでに、彼の頭の中で麻痺して来た。
鉄路
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
手
慣
(
な
)
れてゐるばかりでなく、
割
(
わり
)
によく
寫
(
うつ
)
る
寫眞器
(
しやしんき
)
で、一ダースが一ダース、めつたに
失敗
(
しつはい
)
もないといふやうなことが、
買
(
か
)
ふまでの
苦
(
く
)
心の
思
(
おも
)
ひ出と相
俟
(
ま
)
つて
写真と思ひ出:――私の写真修行――
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
同じ汚物掃除でありながら、どうしてかくも多額の差があるかということについては、識者の判断に
俟
(
ま
)
ちたい。
糞尿譚
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
苟
(
いやし
)
くも事勢を
揣摩
(
しま
)
するものは、天子親政の禁ずべからざる、藤田東湖を
俟
(
ま
)
ちて、
而
(
しこう
)
して後これを知らざるなり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
「僕は人事を尽して天意を
俟
(
ま
)
つ。しかし先方が余りひどい人事を尽すから癪に
障
(
さわ
)
る。斯ういうことは何うも面白くない。僕は君にだって随分失敬している」
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
而
(
しか
)
も景隆の
器
(
き
)
の小なる、能の功を成すを喜ばず、大軍の至るを
俟
(
ま
)
ちて
倶
(
とも
)
に進めと令し、機に乗じて突至せず。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
殊に我が国の現今の状態は、決して貴僧の本籍を明らかにすべき時機ではありません。ですから一時帰郷せられて他日の好時機を
俟
(
ま
)
つより外にしようがない。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
ところで
一
(
いっ
)
たい、天然の災害に対して剣つき銃の出動を
俟
(
ま
)
たざるを得ざるかの如きは、その理由が何から発しているかを知らず最も不泰平の象ではあるまいか。
サーベル礼讃
(新字新仮名)
/
佐藤春夫
(著)
芭蕉が創造の功は俳諧史上特筆すべき者たること論を
俟
(
ま
)
たず。この点において
何人
(
なんぴと
)
か
能
(
よ
)
くこれに
凌駕
(
りょうが
)
せん。
俳人蕪村
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
又、この同じ人は、『自然を深めよ』と言ふことを言つてゐる。そんなことは言ふを
俟
(
ま
)
たないことである。
エンジンの響
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
清洲会議の結果、三法師丸を織田家の相続とし、信雄、信孝が後見と
定
(
きま
)
って居たのであるが、秀吉は、安土城の修復を
俟
(
ま
)
って、三法師丸を迎え入れようとした。
賤ヶ岳合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
この場面に運び入れる舞踊は、舞踊本来の持つ「夢」をあく迄も保ち度い。かくて双者を美によって協調諧和させる。これは
偏
(
ひとえ
)
に芸術家の「表現」の力に
俟
(
ま
)
つ。
阿難と呪術師の娘
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
これらは
若
(
も
)
し仏教徒ならば論を
俟
(
ま
)
たず、仏教徒ならざるも又
大
(
おおい
)
に参考に資すべきである。更に釈迦は集り
来
(
きた
)
れる多数の信者に対して決して肉食を禁じなかった。
ビジテリアン大祭
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
俟
漢検1級
部首:⼈
9画