“御簾”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
みす89.7%
ぎょれん10.3%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
東の対の南側の縁に立って、中央の寝殿を見ると、格子が二間ほどだけ上げられて、まだほのかな朝ぼらけに御簾みすを巻き上げて女房たちが出ていた。
源氏物語:28 野分 (新字新仮名) / 紫式部(著)
正成が南庭なんてい寝殿しんでんをそこに仰いだとき、はや後醍醐は彼をみそなわして、この日特に、御簾みすを高くあげさせておいでになった。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すでに、御簾みすの蔭からうかがうこの席の見物の中には、頭巾ずきんを取らない武士さむらいもあれば、御殿女中かと見られる女の一団もあります。
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
突き当りには御簾みすが下りていて、中には何かるらしい気色けしきだけれども、奥の全く暗いため何物をも髣髴ほうふつする事ができなかった。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
年をとった巫女が白い衣にはかまをはいて御簾みすの陰にさびしそうにひとりですわっているのを見た。そうして私もなんとなくさびしくなった。
日光小品 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
と、みな色を失い、彼ら衣冠いかんのつつしみぶかい眸も、せつな、こぞって御簾ぎょれんのうちの御気色みけしきへ、思わずうごいたほどである。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「あははは、相変らず粗暴な男ではある、此方の口からいいわけはせぬ。二夫人の御簾ぎょれんを拝して、とくと、許都の事情をうけたまわるがよい」
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わけて、こがらしの吹きすさぶ夜は、大岳たいがくの木の葉が、御簾ぎょれんのあたりを打ッて、ともしのささえようすらないのであった。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
御簾ぎょれんの彼方に誰やらくつの音がした。帝も皇后もはっとお口をとじた。——が、幸いに案じた人ではなかった。伏皇后の父の伏完ふくかんであった。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
——また御簾ぎょれんをはさんで居ながれている公卿たちの目も、みな息をためて、正成の容子に、洞察をはたらかせているふうだった。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)