“みす”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ミス
語句割合
御簾43.6%
見捨10.9%
見据10.5%
見透9.1%
8.7%
見棄7.6%
身過1.8%
見澄1.5%
看過1.1%
御廉0.7%
看透0.7%
視据0.7%
視透0.7%
三栖0.4%
御巣0.4%
神簾0.4%
見濟0.4%
見素0.4%
観澄0.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
すでに、御簾みすの蔭からうかがうこの席の見物の中には、頭巾ずきんを取らない武士さむらいもあれば、御殿女中かと見られる女の一団もあります。
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
来たら留めて置いてくれとのはがきに接した時、いさゝか不審に思いは思いながら、まさか彼がせい見捨みすてようとは思わなかった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「四宮さんは二階に殺されていてよ」とミチ子が耳のそばささやいた。サテは、と思って僕がミチ子を見据みすえた時、階上で叫ぶ声が聞えた。
階段 (新字新仮名) / 海野十三(著)
本当に愛の実体を認めた事のないお秀は、彼女のいたずらに使う胡乱うろんな言葉を通して、鋭どいお延からよく見透みすかされたのみではなかった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
私はみすごしに、だんだんしょげたようになって私の言葉を聞いていらっしゃる頭の君を見透しながら、更らにすげなく言い続けていた。……
ほととぎす (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
しかし私はそう容易たやすく彼を見棄みすてるほどに、兄さんを軽んじてはいませんでした。私はとうとう兄さんを底まで押しつめました。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
贔負目ひいきめには雪中せつちゆううめ春待はるまつまの身過みす世過よす小節せうせつかゝはらぬが大勇だいゆうなり辻待つじまちいとま原書げんしよひもといてさうなものと色眼鏡いろめがねかけて世上せじやうものうつるは自己おのれ眼鏡めがねがらなり
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
吸血鬼は学生がひとりになったところを見澄みすまして、背後うしろから咽喉を絞め、つづいて咽喉笛をザクリとやって血を吸ったというのだネ
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そういう和尚は半蔵のために、もうすこしでこの寺の本堂を焼かれようとした当面の人であるだけに、半蔵の不思議な行為をなぞとしてのみ看過みすごすことはできなかったと訴えるのであった。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
ほんのりと庭のあかりを射返す金襖きんぶすまの一と間にめて、御廉みすのかげから外のけはいを音もなくうかゞいながら、しずかに脇息きょうそくもたれているであろうその冷やかな美しい目鼻立ちをくうに描いた。
免職と聞くより早くガラリと変る人の心のさもしさは、道理もっともらしい愚痴のふた隠蔽かくそうとしても看透みすかされる。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
時平はそう云って、愕然がくぜんとしている老人の眼の中を視据みすえた。
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
また余りのしずかさに、自分の身体からだが消えてしまいはせぬか、という懸念がし出して、押瞑おしつぶった目を夢から覚めたように恍惚うっとりと、しかもつぶらに開けて、真直まっすぐな燈心を視透みすかした時であった。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
紀州西牟婁むろ郡上三栖みすの米作という人は、神に隠されて二昼夜してからかえってきたが、その間に神に連れられ空中を飛行し、諸処の山谷を経廻へめぐっていたと語った。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
ただ僕が住所すみかは、天つ神の御子の天つ日繼知らしめさむ、富足とだる天の御巣みすの如一五、底つ石根に宮柱太しり、高天の原に氷木ひぎ高しりて治めたまはば、もも足らず一六八十坰手やそくまでに隱りてさもらはむ一七
拝殿の神簾みすのかげに、今二つの御灯みあかしがついた。榊葉さかきばのかげに光る鏡をかすめて、下げ髪水干すいかん巫女みこが廊下の上へ静かに姿を立たせた。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
思ふにコロボックルは數人連合し互にあひたすけて獸獵に從事し、此所彼所ここかしこより多くの矢を射掛ゐかけ、鹿なり猪なり勢おとろへて充分じうぶんはしる事能はざるに至るを見濟みすまし
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
此間こないだ、有楽座に行った時には、此座ここへお宮を連れて来たら、さぞ見素みすぼらしいであろう、と思ったが、此席ここでは何うであろうか、と、思いながら、便所に行った時、向側の階下したの処から
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
兵法の場合でいえば——相手の器量を、剣と剣の先でじっと観澄みすましているような——阿呍あうんの息をこらしている時にも似ている。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)