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見棄
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みす
ふりがな文庫
“
見棄
(
みす
)” の例文
それから数分後に、私はその
巨
(
おお
)
きな岩を
目
(
ま
)
のあたりに見ることのできる、例の
見棄
(
みす
)
てられたヴィラの庭のなかに自分自身を
見出
(
みいだ
)
した。
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
しかし私はそう
容易
(
たやす
)
く彼を
見棄
(
みす
)
てるほどに、兄さんを軽んじてはいませんでした。私はとうとう兄さんを底まで押しつめました。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
世間の者から
見棄
(
みす
)
てられてしまったって、俺にはなよたけがついている。清原や小野に裏切られてしまったって、俺にはなよたけがついている。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
「
俺
(
お
)
れがよ
心
(
こゝろ
)
はこうなれど、
怒
(
おこ
)
るまえぞえ
見棄
(
みす
)
てまえ、
互
(
たがひ
)
に
顏
(
かほ
)
も
合
(
あは
)
せたら、
言辭
(
ことば
)
も
掛
(
か
)
けてくだされよう……」
巫女
(
くちよせ
)
は
時々
(
とき/″\
)
調子
(
てうし
)
を
張
(
は
)
り
上
(
あ
)
げていつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
事に依ったらあいつは逃げたのではあるまいか。長く
己
(
おれ
)
を
見棄
(
みす
)
てて行ってしまったのではあるまいか。もう己の側で暮しているのが我慢しにくくなったのだ。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
▼ もっと見る
「よしや
富貴
(
ふうき
)
になりたもう日はありとも、われをば
見棄
(
みす
)
てたまわじ。わが病は母の
宣
(
のたも
)
うごとくならずとも」
舞姫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
いま
見棄
(
みす
)
てられて
成
(
な
)
るものか、
待
(
ま
)
ちたまへ、あやまるよ。しかしね、
仙臺堀
(
せんだいぼり
)
にしろ、こゝにしろ、
殘
(
のこ
)
らず、
川
(
かは
)
といふ
名
(
な
)
がついてゐるのに、
何
(
なに
)
しろひどくなつたね。
深川浅景
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
ヂュリ
大空
(
おほぞら
)
の
雲
(
くも
)
の
中
(
なか
)
にも
此
(
この
)
悲痛
(
かなしみ
)
の
底
(
そこ
)
を
見透
(
みとほ
)
す
慈悲
(
じひ
)
は
無
(
な
)
いか? おゝ、
母
(
かゝ
)
さま、わたしを
見棄
(
みす
)
てゝ
下
(
くだ
)
さりますな!
此
(
この
)
婚禮
(
こんれい
)
を
延
(
のば
)
して
下
(
くだ
)
され、せめて
一月
(
ひとつき
)
、一
週間
(
しうかん
)
。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
「諸国は広い、木曽ばかりに、陽が射すものとも限っていまい。土地を
見棄
(
みす
)
てて立ち去るがよいぞ」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
寛大にも
見棄
(
みす
)
てられることに同意する。障害に対しては不屈であり、忘恩に対しては柔和である。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
彼はそれを
見棄
(
みす
)
てて帰ることもできかね、つい
憂鬱
(
ゆううつ
)
な日を一日々々と
徒
(
いたず
)
らに送っていた。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
それが貧しい
煤
(
すす
)
けた家の奥までも、ほとんと何の代償も無しに、容易に配給せられる新たな幸福となったのも時勢であって、この点においては木綿のために麻布を
見棄
(
みす
)
てたよりも
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
人に
見棄
(
みす
)
てられた家と、葉の落ち尽した
木立
(
こだち
)
のある、広い庭とへ、沈黙が抜足をして尋ねて来る。その時エルリングはまた昂然として頭を挙げて、あの
小家
(
こいえ
)
の中の
卓
(
たく
)
に
靠
(
よ
)
っているのであろう。
冬の王
(新字新仮名)
/
ハンス・ランド
(著)
その園絵さま故に、それほどの苦労を遊ばす喬さまが、どんな事があっても、園絵さまをお
見棄
(
みす
)
てなされて自分にお心をお向けになろうとは……いいえ、そういうことを考えてはなりませぬ。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
井上でも大橋でも脱会の決心を
飜
(
ひるが
)
へしたのは、篠田さんに
懇々
(
こん/\
)
説諭されたからでもありますが、姉さん、篠田さんの居ない教会に、寂しく残つて居なさる貴嬢を
見棄
(
みす
)
てるに忍びないと云ふのが
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
今までこれらのものの存在を
見棄
(
みす
)
てたのは自覚の不足に
依
(
よ
)
る。どの公な物産陳列所も、申し合せでもしたかのようにその地方の固有のものを
陳
(
なら
)
べない。そうして
都風
(
みやこふう
)
を
摸
(
も
)
したものを目指している。
地方の民芸
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
私はよっぽどそのまま引っ返そうかと思った時分になって、
雑木林
(
ぞうきばやし
)
の中からその
見棄
(
みす
)
てられた家が不意に私の目の前に立ち現れたのであった。
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
あれにはもうこの儂が必要ではなくなったのじゃ。なよたけのかぐやは竹取翁を見離して行きまする。この儂を
見棄
(
みす
)
てて、貴方のものになるのじゃ。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
「なに。お前を疑っているのではない。お前の己を愛していてくれる事は、己も
好
(
よ
)
く知っている、お前はあたりまえで己を
見棄
(
みす
)
てるような事はない。しかし。」
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
彼
(
かれ
)
は
只管
(
ひたすら
)
恐怖
(
きようふ
)
した。
然
(
しか
)
し
二人
(
ふたり
)
の
子
(
こ
)
を
見棄
(
みす
)
てゝ
行
(
ゆ
)
くことが
出來
(
でき
)
ないので、どうしていゝか
判斷
(
はんだん
)
もつかなかつた。さうする
内
(
うち
)
にお
品
(
しな
)
の七日も
過
(
す
)
ぎた。
彼
(
かれ
)
は
煩悶
(
はんもん
)
した。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
唯
(
たゞ
)
挨拶
(
あいさつ
)
をしたばかりの
男
(
をとこ
)
なら、
私
(
わし
)
は
実
(
じつ
)
の
処
(
ところ
)
、
打棄
(
うつちや
)
つて
置
(
お
)
いたに
違
(
ちが
)
ひはないが、
快
(
こゝろよ
)
からぬ
人
(
ひと
)
と
思
(
おも
)
つたから、
其
(
その
)
まゝに
見棄
(
みす
)
てるのが、
故
(
わざ
)
とするやうで、
気
(
き
)
が
責
(
せ
)
めてならなんだから
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
ぽっと出の女中の手に成った、どうにも我慢のならない晩飯も一つの原因であったが、時のジャアナリズムから
見棄
(
みす
)
てられた
侘
(
わび
)
しさも、とかく彼を書斎に落ち着かせようとはしなかった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
道すがら
枝折
(
しおり
)
々々と
折
(
お
)
り
柴
(
しば
)
はわが身
見棄
(
みす
)
てて帰る子のため
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
……そんな
空
(
むな
)
しい努力の後、やっと私の頭に
浮
(
うか
)
んだのは、あのお
天狗
(
てんぐ
)
様のいる
丘
(
おか
)
のほとんど頂近くにある、あの
見棄
(
みす
)
てられた、古いヴィラであった。
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
勘次
(
かんじ
)
は
主人
(
しゆじん
)
の
爲
(
ため
)
に一
所懸命
(
しよけんめい
)
働
(
はたら
)
いた。
其
(
そ
)
の
以前
(
いぜん
)
からも
彼
(
かれ
)
は
只
(
たゞ
)
隣
(
となり
)
の
主人
(
しゆじん
)
から
見棄
(
みす
)
てられないやうと
心
(
こゝろ
)
には
思
(
おも
)
つて
居
(
ゐ
)
るのであつた。
然
(
しか
)
し
非常
(
ひじやう
)
な
勞働
(
らうどう
)
は
傭人
(
やとひにん
)
の
仲間
(
なかま
)
には
忌
(
い
)
まれた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
まく
鹽
(
しほ
)
も
手
(
て
)
に
持
(
も
)
つたのに、……あゝ、ながわづらひゆゑ
店
(
みせ
)
も
寂
(
さび
)
れた、……
小兒
(
こども
)
の
時
(
とき
)
から
私
(
わたし
)
も
贔屓
(
ひいき
)
、あちらでも
御贔屓
(
ごひいき
)
の
御神輿
(
おみこし
)
も
見棄
(
みす
)
てて
行
(
ゆ
)
くか、と
肩
(
かた
)
を
落
(
おと
)
して、ほろりとしつゝ
見送
(
みおく
)
ると
祭のこと
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
小野 (意を決したように、
悲壮
(
ひそう
)
な顔)石ノ上! 俺は失敬する! 君を
見棄
(
みす
)
てるのは忍びないが、俺は気違いと行動を共にするのはまっぴら御免だ! 君がなよたけの唄と聞いているのは
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
母はまだまだ葉子を
見棄
(
みす
)
ててはいなかった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
さすれば
無用
(
むよう
)
の
費
(
つひえ
)
を
節
(
せつ
)
せむ、
汝
(
なんぢ
)
一人
(
いちにん
)
の
奉公
(
ほうこう
)
にて
萬人
(
ばんにん
)
のためになりたるは、
多
(
おほ
)
く
得難
(
えがた
)
き
忠義
(
ちうぎ
)
ぞかし、
罪
(
つみ
)
無
(
な
)
き
汝
(
なんぢ
)
を
辱
(
はづか
)
しめつ、
嘸
(
さぞ
)
心外
(
しんぐわい
)
に
思
(
おも
)
ひつらむが、
予
(
よ
)
を
見棄
(
みす
)
てずば
堪忍
(
かんにん
)
して、また
此後
(
このご
)
を
頼
(
たの
)
むぞよ
十万石
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
其
(
それ
)
を
見棄
(
みす
)
てて、
御堂
(
おだう
)
に
向
(
むか
)
つて
起
(
た
)
ちました。
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
見
常用漢字
小1
部首:⾒
7画
棄
常用漢字
中学
部首:⽊
13画
“見”で始まる語句
見
見惚
見物
見出
見下
見上
見送
見透
見做
見当