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みす
ふりがな文庫
“
見透
(
みす
)” の例文
するさへ邪魔なのに、その家の内部まで
見透
(
みす
)
かしたやうなことを言ひふらすのはけしからん……。警察で取りしまつて貰はなければならん。
ある僧の奇蹟
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
本当に愛の実体を認めた事のないお秀は、彼女のいたずらに使う
胡乱
(
うろん
)
な言葉を通して、鋭どいお延からよく
見透
(
みす
)
かされたのみではなかった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
眼の見えるつもりでいた自分は、眼の見えない峰阿弥になにもかも
見透
(
みす
)
かされていた。彼のいう通り自分は今おそろしい心の
顛倒
(
てんとう
)
を支えている。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この
素寒貧
(
すかんぴん
)
姿を見上げ見下ろされては、
腸
(
はらわた
)
のドン底まで
見透
(
みす
)
かされざるを得ない。純色透明にならざるを得ない。吾輩は黙って一つ大きくうなずいた。
山羊髯編輯長
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
わたくしが少し詞を控へてゐるのを見て、相手は直ぐにわたくしの腹の中を
見透
(
みす
)
かしてしまひました。
樺太脱獄記
(新字旧仮名)
/
ウラジミール・ガラクティオノヴィチ・コロレンコ
(著)
▼ もっと見る
自分は強情張りやよってどない苦しいことあっても人に
見透
(
みす
)
かされんように努めて来てんけど、そいでも姉ちゃんいうもんなかったらもっと陰気になってたやろのんに
卍
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
与吉は、一人谷のドン底に居るようで、心細くなったから、
見透
(
みす
)
かす如く日の光を仰いだ。
三尺角
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
なか/\他人の中へ突出されて、
内兜
(
うちかぶと
)
を
見透
(
みす
)
かされねえやうに
遂行
(
やりと
)
げるのは容易ぢやねえ。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
見透
(
みす
)
かしても旦那の前は
庇護
(
かぼ
)
うてくるるであろう、おお朝飯がまだらしい、三や何でもよいほどに
御膳
(
ごぜん
)
を
其方
(
そち
)
へこしらえよ、湯豆腐に
蛤鍋
(
はまなべ
)
とは行かぬが新漬に煮豆でも構わぬわのう
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
そうすればその人の心の状態までが
見透
(
みす
)
かされでもするかのように。その小さな茂みはまだ
硬
(
かた
)
い小さな
莟
(
つぼみ
)
を一ぱいにつけながら、何か私に
訴
(
うった
)
えでもしたいような眼つきで私を見上げた。
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
「それもこのごろでは張合いがないわい、甲府の女どもにまで
懐都合
(
ふところつごう
)
を
見透
(
みす
)
かされるような
強
(
こわ
)
もてで、騒いでみたところがはじまらない、やっぱり貴様の
面
(
かお
)
を見ながら飲んでいる方がよい」
大菩薩峠:08 白根山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
十分ばかり
経
(
た
)
つた
後
(
のち
)
、僕は息を切らしながら、当時僕等の借りてゐた、
宿
(
やど
)
の
離室
(
はなれ
)
に帰つて来た。離室はたつた
二間
(
ふたま
)
しかない。だから
見透
(
みす
)
かし同様なのだが、どこにも久米の姿は見えなかつた。
微笑
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
細君の
詞
(
ことば
)
は己の
行
(
おこない
)
を一いち
見透
(
みす
)
かしているようであった。
一握の髪の毛
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
もし人声が
賑
(
にぎや
)
かであるか、座敷から
見透
(
みす
)
かさるる恐れがあると思えば池を東へ廻って
雪隠
(
せついん
)
の横から知らぬ
間
(
ま
)
に
椽
(
えん
)
の下へ出る。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
アッ——と欄干を
楯
(
たて
)
にして
見透
(
みす
)
かすと、左の片腕を
繃帯
(
ほうたい
)
して、白布で首に吊り下げている。これ、天堂一角であった。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
軽蔑なさるからコンナ事になるのです。伜には
内兜
(
うちかぶと
)
を
見透
(
みす
)
かされる、女将には冷やかされる……
超人鬚野博士
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
それに南蛮胴の鎧と云い、水牛の
抱角
(
だきづの
)
に
帝釈天
(
たいしゃくてん
)
の兜と云い、邪推をすれば、内面の弱点を人に
見透
(
みす
)
かされまいとして、
強
(
し
)
いてそう云う威嚇的な
扮装
(
ふんそう
)
をしたと思われぬでもない。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
與吉
(
よきち
)
は、
一人
(
ひとり
)
谷
(
たに
)
のドン
底
(
ぞこ
)
に
居
(
ゐ
)
るやうで、
心細
(
こゝろぼそ
)
くなつたから、
見透
(
みす
)
かす
如
(
ごと
)
く
日
(
ひ
)
の
光
(
ひかり
)
を
仰
(
あふ
)
いだ。
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
と言うのは彼女の感情を、——かなり複雑な陰影を帯びた好奇心だの非難だのあるいはまた同情だのを
見透
(
みす
)
かされないためもあれば、被告じみた妹の心もちを
楽
(
らく
)
にしてやりたいためもあったのだった。
春
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
お秀の顔に
軽蔑
(
けいべつ
)
の色が現われた。その奥には何という理解力に乏しい女だろうという意味がありありと
見透
(
みす
)
かされた。お延はむらむらとした。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
武蔵は、やや
焦心
(
あせ
)
った。これで帰ることが無念だった。自分の底の底までを
見透
(
みす
)
かされてしまった気がする。
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
……自分自身に、自分自身を
見透
(
みす
)
かされたような、
狼狽
(
ろうばい
)
した気持ちのまま……。
冗談に殺す
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
そこにまた妙な
見透
(
みす
)
かせない心の存在が
仄
(
ほの
)
めくので、彼女は昔から僕を全然知り抜く事のできない、したがって軽蔑しながらもどこかに恐ろしいところを有った男として
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
いずれ又……とか何とかいうので最初の意気組にも似合わない、恐ろしくアッサリとした別れ方であったが……しかし内実は決してアッサリでない事を、お互いにチャンと
見透
(
みす
)
かし合っていた。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
焦々
(
いらいら
)
とする気持は自から剣に出て、敵の一学はそれを
見透
(
みす
)
かし
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
新九郎は、胸の裡を
見透
(
みす
)
かされて、思わずはッと
頭
(
ず
)
を下げた。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
見
常用漢字
小1
部首:⾒
7画
透
常用漢字
中学
部首:⾡
10画
“見”で始まる語句
見
見惚
見物
見出
見下
見上
見送
見做
見当
見廻