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蒔
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ま
ふりがな文庫
“
蒔
(
ま
)” の例文
試合の催しがあると、シミニアンの太守が二十四頭の白牛を駆って
埒
(
らち
)
の内を奇麗に地ならしする。ならした後へ三万枚の黄金を
蒔
(
ま
)
く。
幻影の盾
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
相接する機会が多く、じっさい、何だかんだとしじゅう一しょに噂の種を
蒔
(
ま
)
いて世間の
脚下灯
(
きゃっかとう
)
に立っているんだから、
止
(
や
)
むを得ない。
踊る地平線:07 血と砂の接吻
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
新しい妻を
讃美
(
さんび
)
しながら、日本中で、一番得意な人間として、後から後からと続いて来る客に、
平素
(
いつも
)
に似ない
愛嬌
(
あいきょう
)
を振り
蒔
(
ま
)
いていた。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
怪我をした時に赤土を押し当てて血を止める事。渋柿を吊して
露柿
(
ほしがき
)
を造る事。
胡栗
(
くるみ
)
を石で割って喰べる事。
種子
(
たね
)
を
蒔
(
ま
)
いて
真瓜
(
うり
)
を造る事。
猿小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
萠円山人
(著)
それは百姓が彼岸になるといろいろの種を
蒔
(
ま
)
きますその準備のために畑を打ち返すのであります。俳句ではそれを畑打と申します。
俳句とはどんなものか
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
▼ もっと見る
善根を
蒔
(
ま
)
く
為
(
ため
)
につかふといふのか、これはしたり、それはまた大したこつたな、さうともそれなら、うつちやるもんぢやないとも。
黄金機会
(新字旧仮名)
/
若松賤子
(著)
飜
(
ひるがへ
)
つて考へて見なければならない余地はないか否か。かれ等は少くとも犬死ではなかつた。すぐれた
芽
(
め
)
を
蒔
(
ま
)
いたには相違なかつた。
ある僧の奇蹟
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
まして、軽がるしく人の名をあげ、臆測に類することをお口に出されることこそ、却って御家の内に不穏の種を
蒔
(
ま
)
くことになります
樅ノ木は残った:03 第三部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
その時彼らは彼ら自らではなし得ない異常な仕事をなし遂げるであろう。種
蒔
(
ま
)
く者は彼らであるとも、刈り入れる者は民衆である。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
瞿麦
(
なでしこ
)
の花を
栽
(
う
)
えると天人が降りるということを聞いて、庭にその種子を
蒔
(
ま
)
いて見ると、果して天人が降りて来て水に浴して遊んだ。
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
幾つ思い出の数にのぼりましょう、第二の故郷である安房の国へ帰ることは、第二の煩悩の種子を
蒔
(
ま
)
きに行くようなものでございます。
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
彼
(
かれ
)
は
前年
(
ぜんねん
)
寒
(
さむ
)
さが
急
(
きふ
)
に
襲
(
おそ
)
うた
時
(
とき
)
、
種
(
たね
)
蒔
(
ま
)
く
日
(
ひ
)
が
僅
(
わづか
)
に
二日
(
ふつか
)
の
相違
(
さうゐ
)
で
後
(
おく
)
れた
麥
(
むぎ
)
の
意外
(
いぐわい
)
に
收穫
(
しうくわく
)
の
減少
(
げんせう
)
した
苦
(
にが
)
い
經驗
(
けいけん
)
を
忘
(
わす
)
れ
去
(
さ
)
ることが
出來
(
でき
)
なかつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
レタスなどつくってみれば、何でもないもので、デパートから買ってきた種を
蒔
(
ま
)
き、油かすを入れておけば、結構立派なレタスが出来た。
サラダの謎
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
それでどうしたかというと、川辺の誰も知らないところへ行きまして、
菜種
(
なたね
)
を
蒔
(
ま
)
いた。一ヵ年かかって菜種を五、六升も取った。
後世への最大遺物
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
私の四畳半に置く机の
抽斗
(
ひきだし
)
の中には、太郎から来た手紙やはがきがしまってある。その中には、もう麦を
蒔
(
ま
)
いたとしたのもある。
嵐
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
重い作切鍬よりも軽いハイカラなワーレンホーで無造作に
畝
(
うね
)
を作って、原肥無し季節御構いなしの
人蔘
(
にんじん
)
二十日大根
(
はつかだいこん
)
など
蒔
(
ま
)
くのを
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
あゝこれらの
最
(
いと
)
も富める
櫃
(
はこ
)
に——こは下界にて種を
蒔
(
ま
)
くに
適
(
ふさ
)
はしき地なりき——收めし物の豐かなることいかばかりぞや 一三〇—一三二
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
そしてまた、こゝにも、あらゆるまどはしの麦は芽を噴いてゐる。
性
(
しやう
)
こりもなく、情緒に誘はれるアダム……。神は無数に種子を
蒔
(
ま
)
いた。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
夏の頃、彼は窓の下にへちまの種を
蒔
(
ま
)
いて、
痩土
(
やせつち
)
に生長して行く植物の姿を、つくづくと、まるで
憑
(
つ
)
かれたように眺めていた。
冬日記
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
蒔
(
ま
)
かないで呉れると、もっと働けて、そんなお金が
溜
(
たま
)
るかもしれない。これ御覧、お父様の頭なんざ、こんなに毛が薄くなった
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
すっかり涙で洗われた顔は、新鮮な
李
(
すもも
)
のように紅くなって、十九娘のむせ返るような魅力が何んとも言いようの無い匂いを
蒔
(
ま
)
き散らします。
黄金を浴びる女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
女中たちなどにも満遍なく
愛嬌
(
あいきょう
)
を振り
蒔
(
ま
)
き、今に
御寮人
(
ごりょうん
)
さんにお願いしてお春どんをお嫁に貰うのだなどと冗談を云っていた。
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
一度は紅き薔薇の花、二度は月夜の罌粟畑、三度は今や桂の冠! (間)紅き薔薇ではものを思わせ、憂いと恋を心に
蒔
(
ま
)
いた。
レモンの花の咲く丘へ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
うなわれた畑には化学肥料が
施
(
ほどこ
)
された。それからその次ぎには
種子
(
たね
)
が
蒔
(
ま
)
かれた。先生が自分の畑でして見せるように生徒達はそれを
真似
(
まね
)
た。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
人間から出る肥料のお陰で、支那の土地は今日なおアブラハム時代のように若々しい。支那では小麦が、種を一粒
蒔
(
ま
)
けば百二十粒得らるる。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
尊氏はまだ六波羅のころから、筑紫の
少弐
(
しょうに
)
や大友の族党へはいちばい恩義をかけていた。そのほか、
蒔
(
ま
)
いておいた
胚子
(
たね
)
も多い。
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そこらの畑では
燕麦
(
えんばく
)
もライ麦ももう芽をだしていましたし、これから何か
蒔
(
ま
)
くとこらしくあたらしく掘り起こされているところもありました。
ポラーノの広場
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
十五人の男の歩く足音は、
穹窿
(
きゅうりゅう
)
になっている廊下に反響を呼び起して、丁度大きな鉛の弾丸か何かを
蒔
(
ま
)
き散らすようである。
罪人
(新字新仮名)
/
ミハイル・ペトローヴィチ・アルチバシェッフ
(著)
箔にも種類があって、一つの製品を金にするにも金箔を使うのと、同じ金であっても、金粉を
蒔
(
ま
)
いて金にするのと
二色
(
ふたいろ
)
ある。
幕末維新懐古談:07 彫刻修業のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
蒔
(
ま
)
くものは、
穫
(
か
)
らざるべからず。今や徳川幕府も、二百年来の悪因果たる鎖国の
苦
(
に
)
がき経験を
嘗
(
な
)
めねばならぬ時とはなれり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
プロレタリア文学雑誌「種
蒔
(
ま
)
く人」の同人で二十五歳、病弱な為めW大学中途退学の青年だが病身で小柄でも声が妙にかん高で元気に話す男だ。
鶴は病みき
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
人の生ずるは草木の
萌生
(
ほうせい
)
するがごとし。その死するは枯るるがごとし。また、その子あるは種実を
蒔
(
ま
)
きて生ずるがごとし。
通俗講義 霊魂不滅論
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
花がすむと堅き粒状の小実を宿存蕚の中心に結び平滑で遂に真珠色を呈するに至るが、採ってこれを
蒔
(
ま
)
けばよく生える。
植物記
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
関西にては稲を刈りたる後の田は水を乾して畑となし麦などを
蒔
(
ま
)
くならひなれば春になりても打ち返すべき田なきなり。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
今日は天気もよくなりましたし、ひとつ、婆さんと一緒に不尽山を眺めながら、瓜の種を
蒔
(
ま
)
いてやろうと思っています。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
田面
(
たづら
)
の氷もようやく
融
(
と
)
けて、彼岸の種
蒔
(
ま
)
きも始まって、
背戸
(
せど
)
の桃もそろそろ笑い出した頃になると、次郎左衛門はそわそわして落ち着かなくなった。
籠釣瓶
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
南瓜
(
かぼちや
)
と
甜瓜
(
まくはうり
)
と、おなじ
畑
(
はたけ
)
にそだちました。
種子
(
たね
)
を
蒔
(
ま
)
かれるのも一しよでした。それでゐて
大
(
たい
)
へん
仲
(
なか
)
が
惡
(
わる
)
かつたのです。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
蒔
(
ま
)
き散らしてあったお金をそのままにして置いて、檀那衆がお
逃
(
にげ
)
なさると、お辰さんはそれを持ってお
帰
(
かえり
)
なさいました
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
それかといって余りあちこち見に歩くのも疑いを受ける種を
蒔
(
ま
)
くようなものですから、
殊更
(
ことさら
)
に司令長官に願いを出して
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
彼女の心に悲哀の種を
蒔
(
ま
)
いたことを、心苦しく思いながら、私は彼女を愛して書物など送ってやったりしています。
青春の息の痕
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
すると、三日もすれば、豚どもは食物を探して、隅から隅まで掘り返すし、それに、豚の糞が肥料になるので、あとはもう種を
蒔
(
ま
)
けばいゝばかりです。
ガリバー旅行記
(新字新仮名)
/
ジョナサン・スウィフト
(著)
美しい青田の
山城
(
やましろ
)
平野、それに続く
摂津
(
せっつ
)
平野の向うに、くっきり
播但
(
ばんたん
)
の山脈が見えるようになると、野原に
蒔
(
ま
)
き散らされた家の数がだんだん多くなる。
急行十三時間
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
みんな泥まみれになり、ヴェランダは
愛蘭土
(
アイルランド
)
泥炭沼の如し。ココアは始めココア樹の葉で編んだ
籠
(
かご
)
に
蒔
(
ま
)
く。十人の土人が裏の森の小舎で此の籠を編む。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
が、ふだんの彼なら、藤左衛門や忠左衛門と共に、笑ってすませる筈のこの事実が、その時の満足しきった彼の心には、ふと不快な種を
蒔
(
ま
)
く事になった。
或日の大石内蔵助
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
身をもむような精神の苦しみの中でさえ季節を忘れずに
蒔
(
ま
)
いた閑子のえんどうは、閑子の性格をそのまま、きちんとした間隔でみどりの葉を出している。
妻の座
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
かれらは冬のライ麦を
蒔
(
ま
)
きにきたのか、それともアイスランドから近年持ち込まれた他の種類の穀物を蒔きにきたのか、わたしには見当がつかなかった。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
この句はそういう虫の声さえなくなった冬枯の野で、百姓が折角
蒔
(
ま
)
いた麦を烏が掘りに来る、という意味らしい。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
十世紀にできた
宇治
(
うじ
)
の
鳳凰堂
(
ほうおうどう
)
には今もなお昔の壁画彫刻の遺物はもとより、
丹精
(
たんせい
)
をこらした
天蓋
(
てんがい
)
、金を
蒔
(
ま
)
き鏡や真珠をちりばめた
廟蓋
(
びょうがい
)
を見ることができる。
茶の本:04 茶の本
(新字新仮名)
/
岡倉天心
、
岡倉覚三
(著)
買ってもらって、
人通
(
ひとどおり
)
の少い方へ
蒔
(
ま
)
きますと、山門の上から見下していた鳩が、一度にぱっと羽音を立てて下りて来て、人に踏まれそうな処まで集ります。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
多くの人の見る前で、砂を盛つた植木鉢へコスモスの
種子
(
たね
)
などを
蒔
(
ま
)
いて、じつと
祈祷
(
きたう
)
を
凝
(
こら
)
す。すると
種子
(
たね
)
が
弾
(
はじ
)
けて芽はぐん/\砂を持上げて頭を出して来る。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
蒔
漢検準1級
部首:⾋
13画
“蒔”を含む語句
蒔絵
金蒔絵
遅蒔
高蒔絵
蒔繪
蒔直
稗蒔
種蒔
麦蒔
金高蒔絵
蒔付
豆蒔
頻蒔
夜蒔
蒔絵師
晩蒔
蒔繪師
金蒔繪
高蒔繪
蒔田
...