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卷
>
ま
ふりがな文庫
“
卷
(
ま
)” の例文
新字:
巻
是
(
これ
)
は
偉
(
えら
)
い!……
畫伯
(
ぐわはく
)
の
自若
(
じじやく
)
たるにも
我折
(
がを
)
つた。が、
御當人
(
ごたうにん
)
の、すまして、これから
又
(
また
)
澁谷
(
しぶや
)
まで
火
(
か
)
を
潛
(
くゞ
)
つて
歸
(
かへ
)
ると
言
(
い
)
ふには
舌
(
した
)
を
卷
(
ま
)
いた。
露宿
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「
御蔭
(
おかげ
)
で
取
(
と
)
られた
品物
(
しなもの
)
が
又
(
また
)
戻
(
もど
)
りましたよ」と
云
(
い
)
ひながら、
白縮緬
(
しろちりめん
)
の
兵兒帶
(
へこおび
)
に
卷
(
ま
)
き
付
(
つ
)
けた
金鎖
(
きんぐさり
)
を
外
(
はづ
)
して、
兩葢
(
りやうぶた
)
の
金時計
(
きんどけい
)
を
出
(
だ
)
して
見
(
み
)
せた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
なんと、
飴屋
(
あめや
)
さんの
上手
(
じやうず
)
に
笛
(
ふえ
)
を
吹
(
ふ
)
くこと。
飴屋
(
あめや
)
さんは
棒
(
ぼう
)
の
先
(
さき
)
に
卷
(
ま
)
きつけた
飴
(
あめ
)
を
父
(
とう
)
さんにも
賣
(
う
)
つて
呉
(
く
)
れまして、それから
斯
(
か
)
う
言
(
い
)
ひました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
一
週
(
しう
)
一
度
(
ど
)
來
(
く
)
ることになつて
居
(
ゐ
)
ました、
彼
(
かれ
)
は
私
(
わたし
)
どもに
懶聲
(
なまけごゑ
)
を
出
(
だ
)
すことゝ、
伸
(
の
)
びをすることゝ、それから
蜷局
(
とぐろ
)
を
卷
(
ま
)
くことゝを
教
(
をし
)
へました
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
「
此
(
こ
)
の
婆奴等
(
ばゝあめら
)
、そつちの
方
(
はう
)
で
偸嘴
(
ぬすみぐひ
)
してねえで、
佳味
(
うめ
)
え
物
(
もの
)
有
(
あ
)
つたら
此方
(
こつち
)
へ
持
(
も
)
つて
來
(
こ
)
う」
先刻
(
さつき
)
の
首
(
くび
)
へ
珠數
(
じゆず
)
を
卷
(
ま
)
いた
小柄
(
こがら
)
な
爺
(
ぢい
)
さんが
呶鳴
(
どな
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
▼ もっと見る
そこで、
外國人
(
ぐわいこくじん
)
が
吾等
(
われら
)
の
立去
(
たちさ
)
つた
後
(
あと
)
で、
此
(
この
)
島
(
しま
)
へ
上陸
(
じやうりく
)
して、
此處
(
こゝ
)
は
自分
(
じぶん
)
が、
第一
(
だいいち
)
に
發見
(
はつけん
)
した
島
(
しま
)
だなんかと、
管
(
くだ
)
を
卷
(
ま
)
ひたつて
無益
(
だめ
)
と
申
(
もう
)
すのだ。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
それから、くる/\と
卷
(
ま
)
いてポケツトにさし込んで來た
週
(
しう
)
刊
雜誌
(
ざつし
)
をひろげて、この春に來る外國
映
(
えい
)
畫のスチルを
眺
(
なが
)
めはじめた。
坂道
(旧字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
けれども三
人
(
にん
)
とも
手
(
て
)
も
足
(
あし
)
も
動
(
うご
)
かさない。そして五六
人
(
にん
)
の
同
(
おな
)
じ
年頃
(
としごろ
)
の
小供
(
こども
)
がやはり
身動
(
みうご
)
きもしないで
婆
(
ばあ
)
さん
達
(
たち
)
の
周圍
(
まはり
)
を
取
(
と
)
り
卷
(
ま
)
いて
居
(
ゐ
)
るのである。
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
證明書
(
しようめいしよ
)
とか、
寄留屆
(
きりうとゞけ
)
とか、
入院料
(
にふゐんれう
)
とか、さうした
鎖
(
くさり
)
に
取
(
と
)
り
卷
(
ま
)
かれてゐる
事
(
こと
)
を、
彼女
(
かのぢよ
)
は
少
(
すこ
)
しも
知
(
し
)
らなかつたのである。
彼女こゝに眠る
(旧字旧仮名)
/
若杉鳥子
(著)
卷
(
ま
)
き恐れ其不敵なるを感じ世に
類
(
たぐ
)
ひなき
惡者
(
わるもの
)
も有れば有る者とます/\心を
傾
(
かたぶ
)
けて兩人とも一味なして寶澤が
運
(
うん
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
今川橋
(
いまがはばし
)
の
際
(
きは
)
に
夜明
(
よあか
)
しの
蕎麥掻
(
そばが
)
きを
賣
(
う
)
り
初
(
そめ
)
し
頃
(
ころ
)
の
勢
(
いきほ
)
ひは千
鈞
(
きん
)
の
重
(
おも
)
きを
提
(
ひつさ
)
げて
大海
(
たいかい
)
をも
跳
(
おど
)
り
越
(
こ
)
えつべく、
知
(
し
)
る
限
(
かぎ
)
りの
人
(
ひと
)
舌
(
した
)
を
卷
(
ま
)
いて
驚
(
おどろ
)
くもあれば、
猪武者
(
いのしゝむしや
)
の
向
(
むか
)
ふ
見
(
み
)
ず
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
革
(
かは
)
を
卷
(
ま
)
いた
弓
(
ゆみ
)
、
黒塗
(
くろぬ
)
りの
箙
(
えびら
)
、
鷹
(
たか
)
の
羽
(
は
)
の
征矢
(
そや
)
が十七
本
(
ほん
)
、——これは
皆
(
みな
)
、あの
男
(
をとこ
)
が
持
(
も
)
つてゐたものでございませう。はい、
馬
(
うま
)
も
仰有
(
おつしや
)
る
通
(
とほ
)
り、
法師髮
(
ほふしがみ
)
の
月毛
(
つきげ
)
でございます。
藪の中
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「またお邪魔をいたします。私も
漸
(
やうや
)
く甲府の旅から戻りましたので、
新規
(
しんき
)
卷
(
ま
)
き直しで、佐野松さん殺しの下手人を搜したいと思ひます。何彼と、おうるさいことでせうが」
銭形平次捕物控:314 美少年国
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その
音
(
おと
)
づれにすつかり
目
(
め
)
を
覺
(
さま
)
した
地上
(
ちじやう
)
の
雪
(
ゆき
)
は、
煽
(
あふ
)
られ/\て
來
(
く
)
る
風
(
かぜ
)
の
中
(
なか
)
にさら/\と
舞
(
ま
)
ひ
上
(
あが
)
り、くる/\と
卷
(
ま
)
かれてはさあつと
人
(
ひと
)
の
家
(
いへ
)
の
雨戸
(
あまど
)
や
屋根
(
やね
)
を
打
(
う
)
つ
事
(
こと
)
に
身
(
み
)
を
委
(
まか
)
してゐる。
日の光を浴びて
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
ですから
地球
(
ちきゆう
)
が、かりに
山
(
やま
)
がなくて
一面
(
いちめん
)
の
平地
(
へいち
)
であつたならば、それらの
緑
(
みどり
)
の
地帶
(
ちたい
)
は、
赤道
(
せきどう
)
を
中心
(
ちゆうしん
)
にこれに
並行
(
へいこう
)
して、
北
(
きた
)
と
南
(
みなみ
)
とへ
美
(
うつく
)
しい
環
(
わ
)
をえがいて、
地球
(
ちきゆう
)
を
取
(
と
)
り
卷
(
ま
)
いてゐるはずですが
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
煙
(
けむり
)
に
卷
(
ま
)
かれたら、
地面
(
ぢめん
)
に
這
(
は
)
ふこと、
濕
(
ぬ
)
れ
手拭
(
てぬぐひ
)
にて
鼻口
(
はなくち
)
を
被
(
おほ
)
ふこと。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
係官
(
かゝりくわん
)
を
烟
(
けむり
)
に
卷
(
ま
)
いたといふ一
插話
(
さふわ
)
もある。
麻雀を語る
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
盤渦
(
うづ
)
卷
(
ま
)
きかへり
迸
(
ほとばし
)
り
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
私
(
わたし
)
の
居
(
ゐ
)
た、
草
(
くさ
)
にも、しつとりと
其
(
そ
)
の
靄
(
もや
)
が
這
(
は
)
ふやうでしたが、
袖
(
そで
)
には
掛
(
かゝ
)
らず、
肩
(
かた
)
にも
卷
(
ま
)
かず、
目
(
め
)
なんぞは
水晶
(
すゐしやう
)
を
透
(
とほ
)
して
見
(
み
)
るやうに
透明
(
とうめい
)
で。
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
彼
(
かれ
)
はそれを四つに
裂
(
さ
)
いて、
醫者
(
いしや
)
がしたやうに
白
(
しろ
)
い
練藥
(
ねりぐすり
)
を
腿
(
もゝ
)
の
上
(
うへ
)
でガーゼへ
塗
(
ぬ
)
つて、
卯平
(
うへい
)
の
横頬
(
よこほゝ
)
へ
貼
(
は
)
つた
曝木綿
(
さらしもめん
)
でぐる/\と
卷
(
ま
)
いた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
大日本帝國
(
だいにつぽんていこく
)
海軍大佐櫻木重雄
(
かいぐんたいささくらぎしげを
)
本島
(
ほんとう
)
を
發見
(
はつけん
)
す、
今
(
いま
)
は
大日本帝國
(
だいにつぽんていこく
)
の
占領地
(
せんりようち
)
なり、
後
(
おく
)
れて
此
(
この
)
島
(
しま
)
に
上陸
(
じやうりく
)
する
者
(
もの
)
は、
速
(
すみや
)
かに
旗
(
はた
)
を
卷
(
ま
)
いて
立去
(
たちさ
)
れ
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
二重
(
ふたへ
)
に
細
(
ほそ
)
い
咽喉
(
のど
)
を
卷
(
ま
)
いてゐる
胞
(
えな
)
を、あの
細
(
ほそ
)
い
所
(
ところ
)
を
通
(
とほ
)
す
時
(
とき
)
に
外
(
はづ
)
し
損
(
そく
)
なつたので、
小兒
(
こども
)
はぐつと
氣管
(
きくわん
)
を
絞
(
し
)
められて
窒息
(
ちつそく
)
して
仕舞
(
しま
)
つたのである。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
父
(
とう
)
さんも、そんな
大
(
おほ
)
きな
川
(
かは
)
を
見
(
み
)
るのは
初
(
はじ
)
めてでした。
青
(
あを
)
い、どろんとした
水
(
みづ
)
は
渦
(
うづ
)
を
卷
(
ま
)
いて、
大
(
おほ
)
きな
岩
(
いは
)
の
間
(
あひだ
)
を
流
(
なが
)
れて
居
(
ゐ
)
ました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
あくる
朝
(
あさ
)
風
(
かぜ
)
すゞしきほどに
今
(
いま
)
一人
(
ひとり
)
車
(
くるま
)
に
乘
(
の
)
りつけゝる
人
(
ひと
)
のありけり、
紬
(
つむぎ
)
の
單衣
(
ひとへ
)
に
白
(
しろ
)
ちりめんの
帶
(
おび
)
を
卷
(
ま
)
きて、
鼻
(
はな
)
の
下
(
した
)
に
薄
(
うす
)
ら
髯
(
ひげ
)
のある
三十位
(
さんじふぐらゐ
)
のでつぷりと
肥
(
ふと
)
りて
見
(
み
)
だてよき
人
(
ひと
)
うつせみ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
谷
(
たに
)
の
奧
(
おく
)
には
墓場
(
はかば
)
もあるだらう、
人生
(
じんせい
)
悠久
(
いうきう
)
の
流
(
ながれ
)
が
此處
(
こゝ
)
でも
泡立
(
あわだた
)
ぬまでの
渦
(
うづ
)
を
卷
(
ま
)
ゐて
居
(
ゐ
)
るのである。
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
……
何處
(
どこ
)
ともなしに
見
(
み
)
る
内
(
うち
)
に、
潰
(
つぶ
)
しの
島田
(
しまだ
)
に
下村
(
しもむら
)
の
丈長
(
たけなが
)
で、
白
(
しろ
)
のリボンが
何
(
なん
)
となく、
鼈甲
(
べつかふ
)
の
突通
(
つきとほ
)
しを、しのぎで
卷
(
ま
)
いたと
偲
(
しの
)
ばれる。
松の葉
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
法被
(
はつぴ
)
を
着
(
き
)
た
寺
(
てら
)
の
供
(
とも
)
が
棺桶
(
くわんをけ
)
を
卷
(
ま
)
いた
半反
(
はんだん
)
の
白木綿
(
しろもめん
)
をとつて
挾箱
(
はさんばこ
)
に
入
(
いれ
)
た。
軈
(
やが
)
て
棺桶
(
くわんをけ
)
は
荒繩
(
あらなは
)
でさげて
其
(
そ
)
の
赤
(
あか
)
い
土
(
つち
)
の
底
(
そこ
)
に
踏
(
ふ
)
みつけられた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
「
斯
(
こ
)
んな
紙
(
かみ
)
ぢや、
又
(
また
)
すぐ
破
(
やぶ
)
けますね」と
云
(
い
)
ひながら、
小六
(
ころく
)
は
卷
(
ま
)
いた
小口
(
こぐち
)
を一
尺
(
しやく
)
ほど
日
(
ひ
)
に
透
(
す
)
かして、二三
度
(
ど
)
力任
(
ちからまか
)
せに
鳴
(
な
)
らした。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
いよいよ
胸
(
むね
)
わるく
憎
(
に
)
くらしく
思
(
おも
)
ひ、
然
(
しか
)
るべき
縁
(
えん
)
にもつけず
生殺
(
なまごろ
)
しにして、
他處目
(
よそめ
)
ばかりは
何處
(
どこ
)
までも
我儘
(
わがまヽ
)
らしき
氣隨
(
きずゐ
)
ものに
言
(
い
)
ひ
立
(
た
)
て、
其長
(
そのなが
)
き
舌
(
した
)
に
父君
(
ちヽぎみ
)
をも
卷
(
ま
)
き
込
(
こ
)
みしか
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
今
(
いま
)
は
早
(
は
)
や
殘
(
のこ
)
る
賊船
(
ぞくせん
)
只
(
たゞ
)
一
隻
(
せき
)
!
之
(
こ
)
れぞ
二本
(
にほん
)
煙筒
(
ゑんとう
)
に
二本
(
にほん
)
檣
(
マスト
)
の
海蛇丸
(
かいだまる
)
!
海蛇丸
(
かいだまる
)
は
最早
(
もはや
)
叶
(
かな
)
はじとや
思
(
おも
)
ひけん、
旗
(
はた
)
を
卷
(
ま
)
き、
黒煙
(
こくゑん
)
團々
(
だん/\
)
橄欖島
(
かんらんたう
)
の
方向
(
ほうかう
)
へ
逃
(
に
)
げて
行
(
ゆ
)
くを、
海底戰鬪艇
(
かいていせんとうてい
)
今
(
いま
)
は
波
(
なみ
)
に
沈
(
しづ
)
む
迄
(
まで
)
もなく
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
卷
(
ま
)
きては開く波の上の
藤村詩抄:島崎藤村自選
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
餘
(
あま
)
りの
不状
(
ぶざま
)
に、
娘
(
むすめ
)
の
方
(
はう
)
が、
優
(
やさし
)
い
顏
(
かほ
)
をぽつと
目瞼
(
まぶた
)
に
色
(
いろ
)
を
染
(
そ
)
め、
膝
(
ひざ
)
まで
卷
(
ま
)
いて
友禪
(
いうぜん
)
に、ふくら
脛
(
はぎ
)
の
雪
(
ゆき
)
を
合
(
あ
)
はせて、
紅絹
(
もみ
)
の
影
(
かげ
)
を
流
(
ながれ
)
に
散
(
ち
)
らして
立
(
た
)
つた。
城崎を憶ふ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
總領
(
そうりよう
)
と
名
(
な
)
のる
火
(
ひ
)
の
玉
(
たま
)
がころがるとは
知
(
し
)
らぬか、やがて
卷
(
ま
)
きあげて
貴樣
(
きさま
)
たちに
好
(
よ
)
き
正月
(
しやうぐわつ
)
をさせるぞと、
伊皿子
(
いさらご
)
あたりの
貧乏人
(
びんぼうにん
)
を
喜
(
よろこ
)
ばして、
大晦日
(
おほみそか
)
を
當
(
あ
)
てに
大呑
(
おほの
)
みの
塲處
(
ばしよ
)
もさだめぬ。
大つごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
火
(
ひ
)
の
氣
(
け
)
を
考
(
かんが
)
へ、
考
(
かんが
)
へつゝ、
雨戸
(
あまど
)
を
繰
(
く
)
つて、
衝
(
つ
)
と
裏窓
(
うらまど
)
をあけると、
裏手
(
うらて
)
の
某邸
(
ぼうてい
)
の
廣
(
ひろ
)
い
地尻
(
ぢじり
)
から、ドス
黒
(
ぐろ
)
いけむりが
渦
(
うづ
)
を
卷
(
ま
)
いて、もう/\と
立
(
た
)
ちのぼる。
十六夜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
信如
(
しんによ
)
が
何時
(
いつ
)
も
田町
(
たまち
)
へ
通
(
かよ
)
ふ
時
(
とき
)
、
通
(
とほ
)
らでも
事
(
こと
)
は
濟
(
す
)
めども
言
(
い
)
はゞ
近道
(
ちかみち
)
の
土手々前
(
どてゝまへ
)
に、
假初
(
かりそめ
)
の
格子門
(
かうしもん
)
、のぞけば
鞍馬
(
くらま
)
の
石燈籠
(
いしどうろ
)
に
萩
(
はぎ
)
の
袖垣
(
そでがき
)
しをらしう
見
(
み
)
えて、
縁先
(
ゑんさき
)
に
卷
(
ま
)
きたる
簾
(
すだれ
)
のさまもなつかしう
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
尾
(
を
)
と
頭
(
あたま
)
を
以
(
も
)
つて
撃
(
う
)
つた
炎
(
ほのほ
)
の
大蛇
(
おろち
)
は、
黒蛇
(
くろへび
)
に
變
(
へん
)
じて
剩
(
あまつさ
)
へ
胴中
(
どうなか
)
を
蜿
(
うね
)
らして
家々
(
いへ/\
)
を
卷
(
ま
)
きはじめたのである。それから
更
(
さら
)
に
燃
(
も
)
え
續
(
つゞ
)
け、
焚
(
や
)
け
擴
(
ひろ
)
がりつゝ
舐
(
な
)
め
近
(
ちか
)
づく。
露宿
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
又
(
また
)
御贔負
(
ごひいき
)
をの
嬌音
(
きやうおん
)
これたやすくは
買
(
か
)
ひがたし、
彼
(
あ
)
れが
子供
(
こども
)
の
處業
(
しわざ
)
かと
寄集
(
よりあつま
)
りし
人
(
ひと
)
舌
(
した
)
を
卷
(
ま
)
いて
太夫
(
たゆう
)
よりは
美登利
(
みどり
)
の
顏
(
かほ
)
を
眺
(
なが
)
めぬ、
伊達
(
だて
)
には
通
(
とほ
)
るほどの
藝人
(
げいにん
)
を
此處
(
こゝ
)
にせき
止
(
と
)
めて、
三味
(
さみ
)
の
音
(
ね
)
、
笛
(
ふゑ
)
の
音
(
ね
)
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
一瀬
(
ひとせ
)
造
(
つく
)
れる
件
(
くだん
)
の
石
(
いし
)
に、はた
其
(
そ
)
の
桂
(
かつら
)
の
枝
(
えだ
)
まつはりたるに、
衣
(
ころも
)
の
裾
(
すそ
)
を
卷
(
ま
)
き
込
(
こ
)
まれ、
辛
(
から
)
くも
其
(
そ
)
の
身
(
み
)
をせき
留
(
と
)
めつ。
妙齢
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
父
(
ちゝ
)
は
歎息
(
たんそく
)
して、
無理
(
むり
)
は
無
(
な
)
い、
居愁
(
ゐづ
)
らくもあらう、
困
(
こま
)
つた
中
(
なか
)
に
成
(
な
)
つたものよと
暫時
(
しばらく
)
阿關
(
おせき
)
の
顏
(
かほ
)
を
眺
(
なが
)
めしが、
大丸髷
(
おほまるまげ
)
に
金輪
(
きんわ
)
の
根
(
ね
)
を
卷
(
ま
)
きて
黒縮緬
(
くろちりめん
)
の
羽織
(
はをり
)
何
(
なん
)
の
惜
(
を
)
しげもなく、
我
(
わ
)
が
娘
(
むすめ
)
ながらもいつしか
調
(
とゝの
)
ふ
奧樣風
(
おくさまふう
)
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
何
(
なん
)
だか
此池
(
このいけ
)
を
仕切
(
しき
)
つた
屋根
(
やね
)
のあたりで
頻
(
しきり
)
に
礫
(
つぶて
)
を
打
(
う
)
つやうな
音
(
おと
)
がしたが、ぐる/\
渦
(
うづ
)
を
卷
(
ま
)
いちやあ
屋根
(
やね
)
の
上
(
うへ
)
を
何十
(
なんじふ
)
ともない
礫
(
つぶて
)
がひよい/\
駈
(
か
)
けて
歩行
(
ある
)
く
樣
(
やう
)
だつた。
怪談女の輪
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
見
(
み
)
れば
扨
(
さて
)
も
美男子
(
びなんし
)
色
(
いろ
)
こそは
黒
(
くろ
)
みたれ
眉目
(
びもく
)
やさしく
口元
(
くちもと
)
柔和
(
にゆうわ
)
に
歳
(
とし
)
は
漸
(
やうや
)
く
二十
(
はたち
)
か
一
(
いち
)
か
繼々
(
つぎ/\
)
の
筒袖
(
つゝそで
)
着物
(
ぎもの
)
糸織
(
いとおり
)
ぞろへに
改
(
あらた
)
めて
帶
(
おび
)
に
卷
(
ま
)
く
金鎖
(
きんぐさ
)
りきらびやかの
姿
(
なり
)
させて
見
(
み
)
たし
流行
(
りうかう
)
の
花形俳優
(
はながたやくしや
)
何
(
なん
)
として
及
(
およ
)
びもないこと
大家
(
たいけ
)
の
若旦那
(
わかだんな
)
それ
至當
(
したう
)
の
役
(
やく
)
なるべし
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
歴乎
(
れつき
)
とした
役者
(
やくしや
)
が、ゴム
底
(
そこ
)
の
足袋
(
たび
)
に
卷
(
ま
)
きゲートル、ゆかたの
尻
(
しり
)
ばしよりで、
手拭
(
てぬぐひ
)
を
首
(
くび
)
にまいてやつて
來
(
き
)
た。
十六夜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
私
(
わたし
)
が
手
(
て
)
をついて
畏
(
かしこ
)
まると、
先生
(
せんせい
)
にはお
客分
(
きやくぶん
)
で
仔細
(
しさい
)
ないのに、
宙外
(
ちうぐわい
)
さんも
煙
(
けむ
)
に
卷
(
ま
)
かれて、
肩
(
かた
)
を
四角
(
しかく
)
に
坐
(
すわ
)
り
直
(
なほ
)
つて、
酒
(
さけ
)
のいきを、はあはあと、
專
(
もつぱ
)
らピンと
撥
(
は
)
ねた
髯
(
ひげ
)
を
揉
(
も
)
んだ。
春着
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
遣手
(
やりて
)
も、
仲居
(
なかゐ
)
も、
女
(
をんな
)
どもも
驅
(
か
)
けつけたが、あきれて
廊下
(
らうか
)
に
立
(
た
)
つばかり、
話
(
はなし
)
に
聞
(
き
)
いた
芝天狗
(
しばてんぐ
)
と、
河太郎
(
かはたらう
)
が、
紫川
(
むらさきがは
)
から
化
(
ば
)
けて
來
(
き
)
たやうに
見
(
み
)
えたらう。
恐怖
(
おそれ
)
をなして
遠卷
(
とほまき
)
に
卷
(
ま
)
いてゐる。
火の用心の事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
それが
次第
(
しだい
)
に
激
(
はげ
)
しく
成
(
な
)
つて、
六
(
む
)
ツ
四
(
よ
)
ツ
數
(
かぞ
)
へて
七
(
なゝ
)
ツ
八
(
や
)
ツ、
身體
(
からだ
)
の
前後
(
ぜんご
)
に
列
(
れつ
)
を
作
(
つく
)
つて、
卷
(
ま
)
いては
飛
(
と
)
び、
卷
(
ま
)
いては
飛
(
と
)
びます。
巖
(
いは
)
にも
山
(
やま
)
にも
碎
(
くだ
)
けないで、
皆
(
みな
)
北海
(
ほくかい
)
の
荒波
(
あらなみ
)
の
上
(
うへ
)
へ
馳
(
はし
)
るのです。
雪霊記事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
祭
(
まつり
)
の
時
(
とき
)
のお
小遣
(
こづかひ
)
を
飴買錢
(
あめかひぜに
)
と
云
(
い
)
ふ。
飴
(
あめ
)
が
立
(
た
)
てものにて、
鍋
(
なべ
)
にて
暖
(
あたゝ
)
めたるを、
麻殼
(
あさがら
)
の
軸
(
ぢく
)
にくるりと
卷
(
ま
)
いて
賣
(
う
)
る。
飴
(
あめ
)
買
(
か
)
つて
麻
(
あさ
)
やろか、と
言
(
い
)
ふべろんの
言葉
(
ことば
)
あり。
饅頭
(
まんぢう
)
買
(
か
)
つて
皮
(
かは
)
やろかなり。
寸情風土記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
私
(
わたし
)
は
最
(
も
)
う、それまでに、
幾度
(
いくたび
)
も
其
(
そ
)
の
渦
(
うづ
)
にくる/\と
卷
(
ま
)
かれて、
大
(
おほき
)
な
水
(
みづ
)
の
輪
(
わ
)
に、
孑孑蟲
(
ぼうふらむし
)
が
引
(
ひつ
)
くりかへるやうな
形
(
かたち
)
で、
取
(
と
)
つては
投
(
な
)
げられ、
掴
(
つか
)
んでは
倒
(
たふ
)
され、
捲
(
ま
)
き
上
(
あ
)
げては
倒
(
たふ
)
されました。
雪霊続記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
暑
(
あつ
)
くるしいね、
絣
(
かすり
)
の、
大島
(
おほしま
)
か
何
(
なに
)
かでせう、
襟垢
(
えりあか
)
の
着
(
つ
)
いた
袷
(
あはせ
)
に、
白縮緬
(
しろちりめん
)
の
兵子帶
(
へこおび
)
を
腸
(
はらわた
)
のやうに
卷
(
ま
)
いて、
近頃
(
ちかごろ
)
誰
(
だれ
)
も
着
(
き
)
て
居
(
ゐ
)
ます、
鐵無地
(
てつむぢ
)
の
羽織
(
はおり
)
を
着
(
き
)
て、
此
(
こ
)
の
温氣
(
うんき
)
に、めりやすの
襯衣
(
しやつ
)
です。
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
ヒガネと
讀
(
よ
)
む、
西風
(
にしかぜ
)
の
寒
(
さむ
)
きが
當
(
たう
)
熱海
(
あたみ
)
の
名物
(
めいぶつ
)
なりとか。
三島街道
(
みしまかいだう
)
に
十國峠
(
じつこくたうげ
)
あり、
今日
(
こんにち
)
は
風
(
かぜ
)
凪
(
な
)
ぎ
氣候
(
きこう
)
温暖
(
をんだん
)
。
日
(
ひ
)
に
三度
(
さんど
)
雲
(
くも
)
の
如
(
ごと
)
き
湯氣
(
ゆげ
)
を
卷
(
ま
)
いて
湧
(
わ
)
き
出
(
い
)
づる
湯
(
ゆ
)
は
實
(
じつ
)
に
壯觀
(
さうくわん
)
に
御座候
(
ござさふらふ
)
。
後便
(
こうびん
)
萬縷
(
ばんる
)
敬具
(
けいぐ
)
熱海の春
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
白
(
しろ
)
い
梢
(
こずゑ
)
の
青
(
あを
)
い
火
(
ひ
)
は、また
中空
(
なかぞら
)
の
渦
(
うづ
)
を
映
(
うつ
)
し
出
(
だ
)
す——とぐろを
卷
(
ま
)
き、
尾
(
を
)
を
垂
(
た
)
れて、
海原
(
うなばら
)
のそれと
同
(
おな
)
じです。いや、それよりも、
峠
(
たうげ
)
で
屋根
(
やね
)
に
近
(
ちか
)
かつた、あの
可恐
(
おそろし
)
い
雲
(
くも
)
の
峰
(
みね
)
に
宛然
(
そつくり
)
であります。
雪霊続記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
卷
部首:⼙
8画
“卷”を含む語句
取卷
首卷
卷上
櫛卷
鉢卷
渦卷
一卷
伊達卷
卷添
小掻卷
逆卷
昆布卷
小抱卷
卷々
葉卷
鐵卷
掻卷
卷煙草
卷莨
顱卷
...