“遠卷”の読み方と例文
新字:遠巻
読み方割合
とほまき100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
此(この)大騷動(だいさうどう)の後(のち)は、猛獸(まうじう)も我等(われら)の手並(てなみ)を恐(おそ)れてか、容易(ようゐ)に近(ちか)づかない、それでも此處(こゝ)を立去(たちさ)るではなく、四五間(しごけん)を距(へだ)てゝ遠卷(とほまき)に鐵檻(てつおり)の車(くるま)を取圍(とりま)きつゝ、猛然(まうぜん)と吼(ほ)えて居(を)る。
遣手(やりて)も、仲居(なかゐ)も、女(をんな)どもも驅(か)けつけたが、あきれて廊下(らうか)に立(た)つばかり、話(はなし)に聞(き)いた芝天狗(しばてんぐ)と、河太郎(かはたらう)が、紫川(むらさきがは)から化(ば)けて來(き)たやうに見(み)えたらう。恐怖(おそれ)をなして遠卷(とほまき)に卷(ま)いてゐる。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)