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鐵卷
読み方 | 割合 |
くろがねまき | 50.0% |
くろがね | 50.0% |
時流外れに粗大なる布衣を着て
鐵卷の丸鞘を
鴎尻に
横へし
後姿を、蔭にて
指し笑ふ者も少からざりし。
胴丸に積もる
埃の
堆きに目もかけず、名に負へる
鐵卷は高く
長押に掛けられて、螺鈿の櫻を散らせる黒鞘に
摺鮫の
鞘卷指し添へたる
立姿は、
若し我ならざりせば
一月前の時頼
いかなれば齋藤瀧口、
今更武骨者の銘打つたる
鐵卷をよそにし、負ふにやさしき横笛の名に
笑める。いかなれば時頼、常にもあらで夜を
冒して中宮の
御所には忍べる。