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鐵檻車
読み方 | 割合 |
てつおりぐるま | 33.3% |
てつおりくるま | 33.3% |
てつおりのくるま | 33.3% |
斯うなると、
一刻も
眤として
居られぬのは
武村兵曹である。
腕拱いて、
一心に
鐵檻車の
運轉を
瞻めて
居つたが、
忽ち
大聲に
猛狒の
類は
此穴の
周圍に
牙を
鳴し、
爪を
磨いて
居るのだから、
一寸でも
鐵檻車の
外へ
出たら
最後、
直ちに
無殘の
死を
遂げてしまうのだ。
砂すべりの
谷は
實に
死の
谷と
呼ばるゝ
如く、
吾等は
最早一寸も
動く
事能はず、
加ふるに、
猛獸の
襲撃は
益々甚しく、
此鐵檻車をも
危くせんとす。