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ま
ふりがな文庫
“
優
(
ま
)” の例文
それでも自分自身が
汚
(
けが
)
れた色町へ踏み込むよりは、いっそ半九郎に頼んだ方が
優
(
ま
)
しであろうと思い返して、彼は努めて丁寧に言った。
鳥辺山心中
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
しかし、俺は、悟空の(力と調和された)
智慧
(
ちえ
)
と判断の高さとを何ものにも
優
(
ま
)
して高く買う。悟空は教養が高いとさえ思うこともある。
悟浄歎異:―沙門悟浄の手記―
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
前とちょっとも変ったことないばっかりか、前よりしっくりと行くのんやし、むやみに事荒立てるよりもその方が何ぼ
優
(
ま
)
しか分れへん。
卍
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
それならば、おまえはすべての悪事を暴露されても、どうすることも出来えないような、弱い女の境遇のほうが、むしろ
優
(
ま
)
しだと思うのか
世界怪談名作集:08 ラッパチーニの娘 アウペパンの作から
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
それにつけても、さッきの奴等は人間だか棒杭だか訳がわからない、一層棒杭の方が口をきかないだけに、ずっと
優
(
ま
)
しだ。
沓掛時次郎 三幕十場
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
▼ もっと見る
しつきりなしの人の
乘降
(
のりおり
)
、よくも間違が起らぬものと不思議に堪へなかつた。電車に一町乘るよりは、山路を三里
素足
(
はだし
)
で歩いた方が遙か
優
(
ま
)
しだ。
天鵞絨
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
どこの乞食の果てか知れぬ、こんな見苦しい死骸を背負いこむ位いなら、いっそ事実を公表したほうが
優
(
ま
)
しなので、茶番じみた愁傷を尻眼にかけ
湖畔
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
これはお冬にも
優
(
ま
)
して美しい
容貌
(
きりやう
)
ですが、何處か病身らしく、日蔭の花のやうにたよりない娘です。年の頃は十八九。
銭形平次捕物控:011 南蛮秘法箋
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「多くの人がそこへ(行こうと思っても)行かれません。また多くの人は(そんな所へ行く位なら)いっそ死んだ方が
優
(
ま
)
しだと思って居りましょう。」
クリスマス・カロル
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
「
妾
(
わたし
)
もそうさ、一眼見た時から、
商人
(
あきゅうど
)
じゃないと睨んでいたが、思うに
優
(
ま
)
した
冴
(
さ
)
えた腕前、ほんとに妾ア惚れたよ」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
もしまた、そんな雅量を見せそうもないと認めたらば、僕はなんにも言わないで、いっさいをそのままに保留しておくほうがむしろ
優
(
ま
)
しであろうと思った。
世界怪談名作集:17 幽霊の移転
(新字新仮名)
/
フランシス・リチャード・ストックトン
(著)
コンパクトとか
下駄
(
げた
)
とか、珍しく見立てて買ってくれるかと思うと、決まってそれとほぼ同値の、またはそれより少し
優
(
ま
)
しの類似の品を一緒に買うのであった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
声調の上からいえばミダルトモでもサヤゲドモよりも
優
(
ま
)
さっている。併しミダレドモと訓むならばもっとよいのだから、私はミダレドモの訓に執着するものである。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
そうすれば従妹を貰ったよりお登和さんを貰った方が
遥
(
はるか
)
に
優
(
ま
)
しだという事もお分りになるだろう。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
何といっても年が年だから今よりはまあ
優
(
ま
)
しだったろうさ、いや何もそう見っともなく無かったからという訳ばかりでも無かったろうが、とにかくある娘に思われたのだ。
太郎坊
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「そやけど、乞食してるより
優
(
ま
)
しやらう、元が元やよつて、丁度
適
(
あ
)
つてるかも知れへん。」
乳の匂ひ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
またイキシイオン(ギリシャ伝説中の人)であったらわれわれの話などを聴くくらいならばオルレンドルフ氏のお説教でも聞いているほうが
優
(
ま
)
しだと思わざるを得ないくらいに
世界怪談名作集:13 上床
(新字新仮名)
/
フランシス・マリオン・クラウフォード
(著)
然しながら碧色の草花の中で、彼はつゆ草の其れに
優
(
ま
)
した美しい碧色を知らぬ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
他
(
よそ
)
の男に似た面影を見出すことの余り恐ろしさに、二度とこの子の顔を見ない方が
優
(
ま
)
しだとさえも思った。しかし或る一つの力が、どうしても視線を子の顔の方へ引きつけずにはおかなかった。
生さぬ児
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
腐肉
(
くされにく
)
に
集
(
たか
)
る
蒼蠅
(
あをばへ
)
でもロミオには
優
(
ま
)
す
幸福者
(
しあはせもの
)
ぢゃ、
風雅
(
みや
)
びた
分際
(
ぶんざい
)
ぢゃ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
ウイスキーの強くかなしき口あたりそれにも
優
(
ま
)
して春の暮れゆく
桐の花
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
二
合徳利
(
ごうどくり
)
でもいっぱいに
満
(
み
)
つれば一
斗
(
と
)
入りの
空徳利
(
からどくり
)
に
優
(
ま
)
さる。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
願はく彼の讓らんを、*我の王權彼に
優
(
ま
)
し、 160
イーリアス:03 イーリアス
(旧字旧仮名)
/
ホーマー
(著)
あんな奴の
餌食
(
えじき
)
になるは死に
優
(
ま
)
した大不幸だ。
書記官
(新字新仮名)
/
川上眉山
(著)
自分も水野と同じ罪科に逢った方がむしろ
優
(
ま
)
しであったかとも考えられた。彼はなまじいに生かして置かれるのを怨めしく思った。
番町皿屋敷
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
落ち着き
払
(
はろ
)
てなさって「会わんといたかてどうせ疑がわれるぐらいなら、会うた方が
優
(
ま
)
しや思てん。」「何で僕に内証でそんなことした?」
卍
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
しつきりなしの人の乗降、よくも間違が起らぬものと不思議に堪へなかつた。電車に一町乗るよりは、山路を三里素足で歩いた方が
杳
(
はる
)
か
優
(
ま
)
しだ。
天鵞絨
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
これはお冬にも
優
(
ま
)
して美しい
容貌
(
きりょう
)
ですが、どこか病身らしく、日蔭の花のようにたよりない娘です。年の頃は十八九。
銭形平次捕物控:011 南蛮秘法箋
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
果たして私の思惑通り、この大風呂敷が図に当たり、予想にも
優
(
ま
)
した大繁盛が訪ずれて来たのでございます。
正雪の遺書
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
そして、それから「丸っ切り眼のないものはまだしも悪の眼を持っているより
優
(
ま
)
しですよ、盲人の旦那」
クリスマス・カロル
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
窮屈な父の膝下から解放されるのは何にも
優
(
ま
)
してありがたかッたから、早速外遊の仕度にとりかかり、その年の十二月、横浜
解纜
(
かいらん
)
の英船メレー号に便乗して、匆々に日本を離れた。
湖畔
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
たぶん僕がやった祝儀が足りなかったので、不満足であったのであろうが、僕としては、はっきりと心の不平をあらわしてもらったほうが、黙っていられるよりも
優
(
ま
)
しだと思った。
世界怪談名作集:13 上床
(新字新仮名)
/
フランシス・マリオン・クラウフォード
(著)
今度は少し
優
(
ま
)
しなのが来たと思うと、お座敷が陰気で裏が返らなかったり、少し調子がいいと思っていると、客をふるので出先からお
尻
(
しり
)
が来たり、みすみす子供が
喰
(
く
)
いものになると思っても
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「捨てるくらいなら、この子と一緒に死ぬるが
優
(
ま
)
しだ」
小さきもの
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
召し捕られて重罪に処せられるよりも、コロリで死んだが
優
(
ま
)
しであろう。運のいい野郎だ、と云われたものも無理はなかった。
半七捕物帳:55 かむろ蛇
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
殊に何よりも辛かつたのは
眼瞬
(
まばた
)
きの出来ないことで、こんな切ない思ひをするなら、いっそほんとに死んだ方が
優
(
ま
)
しであつた
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
しかし、それにも
優
(
ま
)
して私は、『
支那の鼓
(
タンブラン・シノア
)
』や『ロザムンデの舞曲』や、『愛の悲しみ』などに示したクライスラーの美しさを忘れることは出来ない。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
三十郎の手に捕えられようと、この洞内で饑え死ぬより、まだまだ
優
(
ま
)
しだと思うようになった。
猫の蚤とり武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「こんなものでも無いよりは
優
(
ま
)
しだ」
空家
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
また、その人々のうちには、あの時いっそ
一
(
ひ
)
と思いに死んだ方が
優
(
ま
)
しであったなどと思った人もないとはいえない。世に
悼
(
いた
)
ましいことである。
九月四日
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「嫁に欲しいと言つたつて、あれぢや
人身御供
(
ひとみごくう
)
同樣で、まだしも岩見重太郎に退治される
猅々
(
ひゝ
)
の方が
優
(
ま
)
しでさ」
銭形平次捕物控:180 罠
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
此のお方こそ
誰方
(
どなた
)
様にも
優
(
ま
)
して御寵愛がありそうなものだと存じましたのに、そうでもござりませなんだのは、やはりお子様がなかったせいでござりましょうか。
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「別に変った覚えもねえ」「いいや変った、大変りだ。この頃
頻
(
しき
)
りに考え込むようになった。そうして元気がなくなった。そうかと思うと歌を唄うと、まえにも
優
(
ま
)
してうめえものだ」
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
さすがは泰親の
眼識
(
めがね
)
ほどあって、年にも
優
(
ま
)
して彼の上達は実に目ざましいもので、明けてようよう十九の彼は、ほかの故参の弟子どもを乗り越えて
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
信子嬢の伴奏が、兄幾久雄のヴァイオリンにも
優
(
ま
)
して、その日の聴衆を酔わせたことは申すまでもありません。
天才兄妹
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
前にも
優
(
ま
)
して見張りや夜警を励行し、番所の数を増やし、近習の武士を月番で監督の任に当らせた。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「如法暗夜の火取り虫を、室へ
窃
(
ひそ
)
かに忍ばせたと見える」呟くと共に三太夫は、ハーッと息を吐き出した。と見よ火影は次第に明るみ、室は真昼のそれかのように、以前にも
優
(
ま
)
して輝いた。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
しかし彼女は
人形
(
ひとがた
)
をあぶったり、玉子に針を刺したりして、薄情の男を呪い殺すよりも、いっそこっちから彼を突き放してしまう方が
優
(
ま
)
しだと考えた。
籠釣瓶
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
辰三の教へてくれた路地を入ると、これはいくらか
優
(
ま
)
しの小ぢんまりした住居で、主人の喜十郎の外に、召使の婆さんが一人、これもヨタヨタして居ります。
銭形平次捕物控:307 掏られた遺書
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
自分や雪子が
嘗
(
かつ
)
てない
辱
(
はずかし
)
めを受けたと云う感がするのであったが、それにも
優
(
ま
)
して、今は妹の
容貌
(
ようぼう
)
に
否
(
いな
)
みようのない
瑕
(
きず
)
が出来たと云うこと、取るに足らない
些細
(
ささい
)
なものであったにしても
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
“優”の意味
《名詞》
(ユウ)大学等の成績評価で最上位のもの。 cf.良、可、不可。
(出典:Wiktionary)
優
常用漢字
小6
部首:⼈
17画
“優”を含む語句
俳優
優雅
優美
優婉
優劣
優渥
優容
優柔
優越
優秀
優子
優男
優婆塞
優等
優艶
優善
女俳優
優婆夷
優勢
優勝劣敗
...