)” の例文
津の茅原はそのとき胸板むないたのところに、があっと重いものを打ちあてられ、前屈まえかがみにからだを真二つにげてしまった。
姫たちばな (新字新仮名) / 室生犀星(著)
げて、自分一存の計らいを取りおきましたことは罪万死にあたいいたしまする。法はみだすべからずです。今日参上いたしましたのも、まったくは唯、そのご処分を
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
互違たがいちがいに動かして、巨大な鋏をいからせ、鋭い毒針の尻尾を醜くげて、隙もあらば一飛びに襲いかかろうと身構えながら、ゴソゴソと這い寄る、真黒な怪物を、幻想した。
妖虫 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
遠流おんるになろうとも、あくまで正義をげないようにと心にいのり、今も、暗黙のうちに、師弟の心がまえを固めてきたところであるが、こうして、慈円の弟子や知己や、和歌の友人たちが
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
児太郎は、またかっとしてにらまえた。弥吉はどう言っていいか分らなかった。どう言ってもげられてしまうのが何時いつもの言葉癖ゆえ、黙ってうつ向いた。そして低い声で、うつ向いたまま答えた。
お小姓児太郎 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
城太郎は意地をげて、手紙を後ろにかくしながら
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)