)” の例文
しばらくすると、毛蟲けむしが、こと/″\眞白まつしろてふになつて、えだにも、にも、ふたゝ花片はなびららしてつてみだるゝ。幾千いくせんともかずらない。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かぜがきますと、いままでの、うつくしいあかは、ぱたりとえだからそらはなれて、ひらひらとって、したかわなかちてしまいました。
三匹のあり (新字新仮名) / 小川未明(著)
ればさはれば高慢かうまんしたたゞらしてヤレ沙翁シヱークスピーヤ造化ざうくわ一人子ひとりごであると胴羅魔声どらまごゑ振染ふりしぼ西鶴さいくわく九皐きうかうとんびトロヽをふとンだつうかし
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
といって、何遍なんべん何遍なんべん藤太とうだにおれいをいいました。そしてたくさんごちそうをして、おんなたちにうたうたわせたりまいわせたりしました。
田原藤太 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
ガンたちは向きをかえて、ゆっくりといもどってきました。ほんとうにいっしょにくるのかどうか、たしかめようというのでしょう。
何度なんど何度なんど雄鷄おんどりえだのぼりまして、そこからばうとしましたが、そのたびはねをばた/″\させてりてしまひました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
内儀もひどく心を痛められる際と云い三時からは又裁判所の呼出しにも応ぜねば成らぬ事だからう少しは休息なさらねばく有る
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
「ちょっと鞍馬くらまへかえって見ましたところが、お師匠ししょうさまの叱言こごとが壁にはってあったので、あわててまたいもどってきたんです」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おもてむきは何處どこまでも田舍書生いなかじよせい厄介者やつかいものひこみて御世話おせわ相成あいなるといふこしらへでなくてはだい一に伯母御前おばごぜ御機嫌ごきげんむづかし
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
天女てんによ御空みそらふがごと美音びおんは、こゝろなき壇上だんじやうはなさへさへゆるぐばかりで、滿塲まんじやうはあつとつたまゝみづつたやうしづまりかへつた。
追いまわすうち、ガウンは一階のホールの天井てんじょうへパッといあがったかと思うと、落ちてきて、そのまま、へなへなっと動かなくなった。
此世界このせかい地球ちきうとなまろきものにて自分じぶんひながら日輪にちりん周圍まはりまはること、これをたとへば獨樂こまひながら丸行燈まるあんどう周圍まはりまはるがごとし。
改暦弁 (旧字旧仮名) / 福沢諭吉(著)
日あたり風あたりがあらく、水も荒く、軽い土が耳の中鼻の中までむ余の住む武蔵野の百姓女なぞは中々、う美しくはして居られぬ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
おもてには、ちらちら、こな雪がっていましたが、そのなかで大きなかたまりがひとひら、植木箱のはしにおちました。
そこへゆくと歌のすきなマスノは、きりきりいをするような苦労をした。ただ歌いたいために有頂天うちょうてんになり、親にそむいて幾度いくどか家出をした。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
母は合財袋の中からセルロイドのくしを出して、私のかみをなでつけた。私の房々した髪は櫛の歯があたるたびに、パラパラ音をたてて空へい上った。
風琴と魚の町 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
かわらも石もい上らんじゃないか。』と答えながらもう壇を下りかかるんだ。子供の助手はまるで一生けん命になって
風野又三郎 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
サア翌日よくじつから教頭けうとうたく葉書はがきさかんにひこむ。はじめは二十まいか三十まいだつたが、追々おひ/\五十まいとなり、百まいとなり、二百まいとなり、三百まいとなつた。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
昼過ひるすぎからすこ生温なまあたゝかかぜやゝさわいで、よこになつててゐると、何処どこかのにはさくらが、霏々ひら/\つて、手洗鉢てあらひばちまはりの、つはぶきうへまでつてる。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
そのうちにさとさなくとも早百合姫は、道に志ある身となって、しかし、これは逆に塵中じんちゅうへ引返し、いの天才を発揮して京町の名だたる白拍子しらびょうしとなりました。
鯉魚 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
宗助そうすけ小供こどもときから、この樟腦しやうなうたかかをりと、あせ土用どようと、砲烙灸はうろくぎうと、蒼空あをぞらゆるとびとを連想れんさうしてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
新築しんちくいへんで、屋敷やしきのわるいたましひしづをんなが、きつけたたまを、いまらしてゐることよ。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
「絵端書にはせえしません。———こいさんが日本髪に結やはって、まいやはる姿なんかめったに見られしませんよってに、記念のために写さして貰おう思うて」
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
故郷の京都へい戻り、あちこち奉公ほうこうしたが、英語の読める丁稚でっち重宝ちょうほうがられるのははじめの十日ばかりで、背中の刺青がわかって、たちまち追い出されてみれば
競馬 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
下々の手前達がかくと御政事向の事を取沙汰とりざた致すわけでは御座いませんが、先生、昔から唐土もろこしの世には天下太平のしるしには綺麗きれい鳳凰ほうおうとかいう鳥がさがると申します。
三月三十日 (新字新仮名) / 太宰治(著)
そして、なほも警戒けいかいするやうにねんれるやうにあなのまはりをあるきまはつてゐたが、やがてひよいとあがると、蜘蛛くも死骸しがいをくはへてふたたあなところひもどつてた。
画家とセリセリス (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
「それじゃどこも同じことですかな。僕の方は難物なんぶついこまれて皆キュウキュウいっています」
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
子路は一瞬いっしゅん耳を疑った。この窮境に在ってなお驕るなきがために楽をなすとや? しかし、すぐにその心に思いいたると、途端とたんに彼は嬉しくなり、覚えずほこを執ってうた。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
ときまつたくその一組ひとくみ空中くうちゆうあがり、それからあいちやんのうへりてました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
そのおとづれにすつかりさました地上ちじやうゆきは、あふられ/\てかぜなかにさら/\とあがり、くる/\とかれてはさあつとひといへ雨戸あまど屋根やねことまかしてゐる。
日の光を浴びて (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
艇は速度をおとし、静かに螺旋らせんえがきながら、荒涼こうりょうたる月世界つきのせかいに向っていおりていった。
月世界探険記 (新字新仮名) / 海野十三(著)
彼らをきりきりいさせたりするのが(それを彼女は、人間のぶつけ合い、と呼んでいた)
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
顔も、道具立てが大きくて、いの面のように見える。その上、表情というものが少しもないのだ。だから、作りつけのようで、長く見ていると誰でも薄気味の悪くなる顔だ。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
車はあるいは急角度に横にまがりななめにおち、ガッタンガッタンと、登ったかとおもえば、また陥ちる、頭のかみが、風にふかれてい上がるのも、恐怖きょうふに追われ逆立つおもいでした。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
するとなかから、くもちのぼり、そのくも真中まんなかで、ぱっとったとおもうと、なかから、うつくしいとりして、こえをしてうたいながら、中空なかぞらたかいのぼりました。
K君はあごを砂だらけにしたなり、失望したようにこう言っていた。そこへどこからかからすが一羽、二三町隔った砂浜の上を、藍色あいいろにゆらめいたものの上をかすめ、更に又向うへさがった。
蜃気楼 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
赤とんぼは、ツイと竹の先からからだをはなして、高い空にい上がりました。
赤とんぼ (新字新仮名) / 新美南吉(著)
初霜はつしもけて、昨夜さくやえんげられた白菊しらぎくであろう、下葉したはから次第しだいれてゆくはな周囲しゅういを、しずかにっている一ぴきあぶを、ねこしきりにってじゃれるかげが、障子しょうじにくっきりうつっていた。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
その時に火焚ひたきの少年が二人かまどの傍におりました。依つてその少年たちに舞わしめますに、一人の少年が「兄上、まずおいなさい」というと、兄も「お前がまずいなさい」と言いました。
ひめぐりてしばらくもとゞまるはなく、あまたありてかぞへがたし。
まるで千も万もの花火を一時につづけて打ち上げるようで、あかや青や黄色やその他種々いろいろの火花が散り乱れて、大空にあがっていましたが、不思議な事にはその轟々ごうごうと鳴る音をじっと聞いていますと
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
駕籠かごつてかうかとおもつたけれど、それも大層たいそうだし、長閑のどか春日和はるびよりを、麥畑むぎばたけうへ雲雀ひばりうたきつゝ、ひさりで旅人たびびとらしい脚絆きやはんあしはこぶのも面白おもしろからう、んの六ぐらゐの田舍路ゐなかみち
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
夜を明してたはむるゝ遊楽の西班牙を見る事が出来るであらう。
黄昏の地中海 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
あれあれ? 大変だ! 火星くわせいひもどつてきたわ
糸絡いとがらみせしまひの、つとひさして
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
あまりの風車かざぐるまのごとくに
鬼桃太郎 (旧字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
へといへば立ちて舞ひにき
一握の砂 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
歌いながら、いながら
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
つかれては黄塵わうじん
霜夜 (新字旧仮名) / 末吉安持(著)
ふにまされる
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)