霜夜しもよ
夜はくだつ十一時、 霜さむく、圧しくる闇の気の凍に、 舞ひ疲れては黄塵も しくしくと泣き湿り、 侘寝すらし。 色褪めし達摩像、 はた古りし徳利のやうに、つくねんと、 屑本のちりばふ中に 頸ほそう客を待つ 男、女 煤けたる帆木綿に 一品と文字 …
題名が同じ作品
霜夜 (新字旧仮名)芥川竜之介 (著)