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真
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ま
ふりがな文庫
“
真
(
ま
)” の例文
旧字:
眞
夏
(
なつ
)
になると、
真
(
ま
)
っ
白
(
しろ
)
な
雲
(
くも
)
が
屋根
(
やね
)
の
上
(
うえ
)
を
流
(
なが
)
れました。
女
(
おんな
)
は、ときどき、それらのうつりかわる
自然
(
しぜん
)
に
対
(
たい
)
して、ぼんやりながめましたが
ちょうと三つの石
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
やがて大きなつめでひっかくような
音
(
おと
)
がすると
思
(
おも
)
うと、はじめ
真
(
ま
)
っ
黒
(
くろ
)
な
雲
(
くも
)
と
思
(
おも
)
われていたものが
急
(
きゅう
)
に
恐
(
おそ
)
ろしい
化
(
ば
)
けものの
形
(
かたち
)
になって
鵺
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
しかし誰も
真
(
ま
)
に受けない。
久米正雄
(
くめまさを
)
の如きはにやにやしながら、「
菊池寛
(
きくちくわん
)
が弱気になつてね」などと大いに僕を
嘲弄
(
てうろう
)
したものである。
大正十二年九月一日の大震に際して
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
なぜといって、きょうだいが、じょうだんをいったのを
真
(
ま
)
にうけて、着物をかしてくれたら、どんなになさけなくおもったでしょう。
灰だらけ姫:またの名 「ガラスの上ぐつ」
(新字新仮名)
/
シャルル・ペロー
(著)
「御前がどこの馬の骨だか分らんものの言う事を
真
(
ま
)
に受けるのも悪い」「悪いって、あんまり人を馬鹿にし過ぎるじゃありませんか」
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
麦畑
(
むぎばたけ
)
と
牧場
(
ぼくじょう
)
とは
大
(
おお
)
きな
森
(
もり
)
に
囲
(
かこ
)
まれ、その
真
(
ま
)
ん
中
(
なか
)
が
深
(
ふか
)
い
水溜
(
みずだま
)
りになっています。
全
(
まった
)
く、こういう
田舎
(
いなか
)
を
散歩
(
さんぽ
)
するのは
愉快
(
ゆかい
)
な
事
(
こと
)
でした。
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
「うふふ、つまらぬえ心配はしなさんな。命に
別条
(
べつじょう
)
はありゃアしねえ。ただおめえに、そのまま
真
(
ま
)
ッ
裸
(
ぱだか
)
になってもらいてえだけさ」
歌麿懺悔:江戸名人伝
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
正直な、里の人々は、(わしらの郷土の秀才に、神仙が宿った)と
真
(
ま
)
にうけて、たちまち張角を、救世の
方師
(
ほうし
)
と
崇
(
あが
)
めて、触れまわった。
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「だって
将来
(
さき
)
の事なんかわかんないんですもの……貴方みたいに正直に、何もかも
真
(
ま
)
に受けて、青くなったり、赤くなったり……」
二重心臓
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
好加減
(
いいかげん
)
なチャラッポコを
真
(
ま
)
に受けて、仙台くんだり迄引張り出されて、
独身
(
ひとり
)
でない事が知れた時にゃ、
如何様
(
どんな
)
に
口惜
(
くや
)
しかったでしょう。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
それによると平左衛門の
妾
(
めかけ
)
のお
国
(
くに
)
が、
某日
(
あるひ
)
新三郎が死んだと云ってお露を欺したので、お露はそれを
真
(
ま
)
に受けて尼になると言いだしたが
円朝の牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
いゝえ、初めは
真
(
ま
)
つ
当
(
たう
)
な仕事をするつもりで出かけたんですが、恰度食へなくなつた時、ある手品師の一行に入つて事務員見たいなものを
手品師
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
近所中のおせっかいをしやがる。あんな奴の言う事を
真
(
ま
)
に受けてたまるものか。己が今本当の事を云って聞して
遣
(
や
)
るから、好く聞いていろ
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
児玉先生とこの話をした時、私は恥かしさで
真
(
ま
)
っ
赧
(
か
)
になったが、よいあんばいに児玉さんは私たちの夫婦関係の真相を知らない。
鍵
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
標題楽嫌いを
真
(
ま
)
っ
向
(
こう
)
に振りかざしたルービンシュタインですら、リストの編曲の珠玉篇には帽子を脱いでいるのは興味の深いことである。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
渠
(
かれ
)
ら、お沢を
押取
(
おっとり
)
込めて、そのなせる事、神職の
言
(
げん
)
の如し。両手を
扼
(
とりしば
)
り、腰を押して、
真
(
ま
)
正面に、
看客
(
かんかく
)
にその姿を露呈す。——
多神教
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「俺は、人間様だからな。そんな、稲荷だなんて、狐に頭を下げて頼むのなんか、
真
(
ま
)
っ
平
(
ぴら
)
だ。俺には人間の力があるだで。」
或る部落の五つの話
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
「
真
(
ま
)
っ
直
(
す
)
ぐにあの上の方を見るのだ。あの
藍色
(
あいいろ
)
な処を見るのだ。
己
(
おれ
)
にはそれが、なんだか気味が悪いようで出来ないから、お前に聞くのさ。」
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
女中たちが一途に
真
(
ま
)
に受けて、御主人はコレラになりたいと願っているなぞと言い触らしたのであろうとも考えてみました。
青蛙堂鬼談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
しかも、その大河は、これまで読書会ではほとんど沈黙を守りつづけて来ており、
真
(
ま
)
っ
先
(
さき
)
に口をきったことなど、全くなかった人なのである。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
畳半分ほどの大きさでしかも上が
真
(
ま
)
つ
平
(
たひら
)
な石である。私はその上に腰をかけて額の汗をぬぐつた。あたりには人影もない明るい秋の午後である。
赤蛙
(新字旧仮名)
/
島木健作
(著)
松本は頭をかきながら、タツ達の方を向くと、トリが——あたしも……と云って、丸いふくれた
頬
(
ほ
)
っぺたを
真
(
ま
)
ッ
赤
(
か
)
にした。
工場新聞
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
「ばかをいうぜ。お豊の前でそんな事いうやつがあるものか。お豊、
母
(
おっか
)
さんの言ってる
事
(
こた
)
ア皆うそだぜ、
真
(
ま
)
に受けるなよ」
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
「お前の家の裏の畑で、紙鳶を一緒にあげたらう。お前の
真
(
ま
)
つ
新
(
たら
)
の大きい紙鳶を。そして逃がしてしまつたぢやないか。」
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
その日は、終日
埃
(
ほこり
)
っぽい風がふきすさんで、
真
(
ま
)
っ黒にこげた焼け跡の材木から、まだ立ちのぼっている紫の煙を、しきりに横になびかせていた。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
やがて兄は死人のように
真
(
ま
)
っ
蒼
(
さお
)
な顔をして頭を振り、『聴いてみろ!』とでもいうようなふうに、指を一本挙げました。
メールストロムの旋渦
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
戸を開けて恐る恐る外を見て私は
躊
(
ためら
)
った。ヒューヒュー風が吹いていて外は
真
(
ま
)
っ
闇
(
くら
)
だった。遠くの方からかちかちと火の番の
拍子木
(
ひょうしぎ
)
の音が聞える。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
練習場の入口におしよせる観衆のなかから、
唇
(
くちびる
)
と
頬
(
ほお
)
の
真
(
ま
)
ッ
紅
(
か
)
な、
職業女
(
プロスチチュウト
)
を呼びだして、近くの芝生でいちゃついていた、外国の選手達もみました。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
どれもこれも男の胸のように——博士はいつだかも、そんな風に云われましたが——興奮のところは、
真
(
ま
)
ッ
平
(
たいら
)
なんです。これが本当の曲線なんです。
キド効果
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
受けず払わず横へそれず、猛然とした広太郎、
真
(
ま
)
っ
向
(
こう
)
手一杯に打ち込んだ。すなわち長短一味の太刀、三尺の剣はこの瞬間、九尺
柄
(
え
)
の
槍
(
やり
)
と一変する。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「そんなこと
真
(
ま
)
にうける奴があるものか、大きな小屋は、春は、どこだってもうみんな決っているんじゃァねえか。」
春泥
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
朔郎 おい、
角
(
かく
)
さん、お前はなんでも人の知らないことを知つてゐる男だが、花巻の奥さんが此処から帰る時
真
(
ま
)
つすぐに家へ帰るかどうか知つてるか?
ママ先生とその夫
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
いいかい、ちつとも君がすぐれてゐるわけぢやないんだから、かならず、人の讃辞なんか
真
(
ま
)
に受けちやいけないよ。
火の鳥
(新字旧仮名)
/
太宰治
(著)
正直
(
しやうぢき
)
の
頭
(
かうべ
)
に
神
(
かみ
)
宿
(
やど
)
る——
嫌
(
いや
)
な思をして
稼
(
かせ
)
ぐよりは
真
(
ま
)
ツ
正直
(
しやうぢき
)
に
遊
(
あそ
)
んで
暮
(
くら
)
すが
人間
(
にんげん
)
の
自然
(
しぜん
)
にして
祈
(
いの
)
らずとても
神
(
かみ
)
や
守
(
まも
)
らん。
為文学者経
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
、
三文字屋金平
(著)
そんな事を
真
(
ま
)
に受けて此処まで連れて来る奴もねえもんだ、そんな事はいかねえから矢切の婆さんを帰してくんなよ
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
まさか彼が先祖青山道斎のこの村のために建立した
由緒
(
ゆいしょ
)
の深い万福寺を焼き捨てに行くとは
真
(
ま
)
に受けもしなかったが、なお
二人
(
ふたり
)
してそのあとをつけた。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
私はそれを
真
(
ま
)
に受けて、
真
(
しん
)
から
手頼
(
たよ
)
って行く、身も心も投げ出してすがりついて行く、という訳でございました。
人でなしの恋
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
とフローラのこめかみに、一条、
真
(
ま
)
っ
蒼
(
さお
)
な血管が浮かび上がると、紅琴は、それを驚いたようにみつめて言った。
紅毛傾城
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
「僕は母には、友人の姉さんで、海水浴へ来たついでにわざ/\訪ねてくれたんだと、さう言つて話したら、すつかり
真
(
ま
)
に受けられて極りが悪かつた。」
或売笑婦の話
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
心
(
こころ
)
は
不覚
(
そぞろ
)
、
気
(
き
)
は
動顛
(
どうてん
)
して、いきなり、
室
(
へや
)
を
飛出
(
とびだ
)
したが、
帽
(
ぼう
)
も
被
(
かぶ
)
らず、フロックコートも
着
(
き
)
ずに、
恐怖
(
おそれ
)
に
駆
(
か
)
られたまま、
大通
(
おおどおり
)
を
真
(
ま
)
一
文字
(
もんじ
)
に
走
(
はし
)
るのであった。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
春先とはいえ、寒い寒い
霙
(
みぞれ
)
まじりの風が広い
武蔵野
(
むさしの
)
を荒れに荒れて
終夜
(
よもすがら
)
、
真
(
ま
)
っ
闇
(
くら
)
な
溝口
(
みぞのくち
)
の町の上をほえ狂った。
忘れえぬ人々
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
それを、きみたちは
真
(
ま
)
に受けてるんだからな! いったいその男は、色男なるものは、本当にきみを愛しているのだろうか、ぼくはそんなことを信じない。
地下生活者の手記
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
そして、なにか身構えるような恰好で、後から駈込んだ事務員達を、黙って
真
(
ま
)
ッ
蒼
(
さお
)
い顔をしながら睨め廻した。
白妖
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
真
(
ま
)
つ
蒼
(
さを
)
な顔をした彼は鼠色の沖から吹き来る浜風に身を
顫
(
ふる
)
はせ乍ら、出島の渡しのわきにたゝずみ、一舟々々
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死
(新字旧仮名)
/
長与善郎
(著)
「もし母さんが、僕を
可愛
(
かわい
)
くって食べちまうっていうんだったら、きっと
真
(
ま
)
っ
先
(
さき
)
に、
鼻
(
はな
)
っ
柱
(
ぱしら
)
へ
齧
(
かじ
)
りつくだろう」
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
反照電熱機のような、
香橙色
(
オレンジ
)
の
真
(
ま
)
ん
円
(
まる
)
な夕陽を、地中海が受け取って飲み込んだ。同時に、いろいろの鳥が一せいに鳴き出して、
白楊
(
はくよう
)
の林が急に寒くなった。
踊る地平線:10 長靴の春
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
一体どっちが
真
(
ま
)
人間らしいかな? わしはなるほど、奴さんたちに
銭
(
ぜに
)
こそやらなかったが、奴さんたちと来た日にや、親子の情合いに水をさそうというのだ。
真珠の首飾り:――クリスマスの物語――
(新字新仮名)
/
ニコライ・セミョーノヴィチ・レスコーフ
(著)
真
(
ま
)
壺の絵を見せて、こんな壺を扱ったことはなかったかとたずねると、
窯元
(
かまもと
)
のおやじは、古今を含めて、呂宋にあるかぎりの壺はみな知っているつもりだが
呂宋の壺
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
我を殺すかも知れぬから御伴は
真
(
ま
)
ッ
平
(
ぴら
)
と、竜女いわくわが力
能
(
よ
)
くかの離車を殺すも我布薩法を受けた故殺さなんだ、いわんや活命の大恩ある人を殺すべきや
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
……そのうちに、白痴がどうかしてだんだん
真
(
ま
)
人間にかえる時はそうもあろうかと思われるように、葉子の心は静かに静かに自分で働くようになって行った。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
“真”の意味
《名詞》
(シン)論理演算において、ある命題が、前提となる命題に対して矛盾を生じないこと。
(出典:Wiktionary)
真
常用漢字
小3
部首:⽬
10画
“真”を含む語句
真実
真向
真正
真正面
真個
真珠
真直
真面目
真黒
真中
真逆
真心
真人
真紅
真赤
真青
真先
真箇
写真
真情
...