白妖はくよう
むし暑い闇夜のことだった。 一台の幌型自動車が、熱海から山伝いに箱根へ向けて、十国峠へ登る複雑な登山道を疾走り続けていた。S字型のジッグザッグ道路で、鋸の歯のような猛烈なスイッチバックの中を襞襀のように派出する真黒な山の支脈に沿って、右に左 …
作品に特徴的な語句
じき よご 砂埃さじん もと ひき 生際まぎわ あせ さお 車庫ギャレージ ころが うしろ ゆら とし 光芒ひかり 傾斜スロープ 背鏡バックミラー すべ やみ おそ あかり 疾走はし 谷際たにぎわ から 大月おおつき さま 追馳おっか ゆる 苛立いらだ 錚々そうそう ひらめ 細々こまごま 閏年うるうどし 米突メートル 其処そこ 箱型セダン 立竦たちすく 立塞たちふさ 空撫からな 魂消たまげ 二進にっち のこぎり もろ 貴方あなた いばら はさみ 蒼褪あおざ 道路みち 藻抜もぬ あたり 蜿蜒えんえん 蟇口がまぐち 襞襀ひだ 三進さっち 貴女あなた 堀見ほりみ 岳南がくなん かが 寝呆ねぼ 富子とみこ 夏山なつやま 堪兼たまりか 悪戯いたずら しゃべ 唖然あぜん マイル 周章あわ フィート 可怪おか 全々ぜんぜん 処々ところどころ 母屋おもや 仄赤ほのあか 矢標やじるし ねむ 真黒まっくろ 白髪しらが 先刻さっき 洒落しゃれ 硝子ガラス 母娘おやこ とし 此処ここ あけ 昨晩ゆうべ かす ドア