“砂埃”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
すなぼこり56.1%
すなほこり22.0%
すなほこ9.8%
すなぼこ4.9%
さじん2.4%
すなッぽこり2.4%
ほこり2.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
もうおひるを少しすぎた。木之助の袂はずしんずしんと横腹にぶつかるほど重くなった。草鞋わらじばきの足にはうっすら白い砂埃すなぼこりもつもった。
最後の胡弓弾き (新字新仮名) / 新美南吉(著)
あの砂埃すなほこりの中を水際立って、駈け抜けるように、そりゃ綺麗だったと云うのだ。立留って見送ると、この内の角へ車を下ろしたろう。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
けれどもそれは不幸にも彼が漢口ハンカオへ向ふ為に旅館を出てしまつたところだつた。彼女は妙に寂しさを覚え、やむを得ず又人力車に乗つて砂埃すなほこりの中を帰つて行つた。
貝殻 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
並み木もない本所の町々はいつも砂埃すなぼこりにまみれていた。が、幼い信輔に自然の美しさを教えたのはやはり本所の町々だった。彼はごみごみした往来に駄菓子を食って育った少年だった。
やがて自動車は、ゴールにはいるランナーのように、砂埃さじんを立てて一段とヘビーをかけた。直線コースにはいるに従って、白塗の停車場スタンドがギラギラ光って見えはじめた。
白妖 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
「卓子の向う前でも、砂埃すなッぽこりかすれるようで、話がよく分らん、喋舌しゃべるのに骨が折れる。ええん。」としわぶきをする下から、煙草たばこめて、吸口をト頬へ当てて
朱日記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ホツ、ホツとしまりの無い笛を鳴らして、自動車が過ぎた。湯村の車が右に避けようとしたその車輪のきはどい間をくゞり、重い強い発動器の響を聞かせて、砂埃ほこりの無い路を太いゴム輪が真直にむかうせた。
茗荷畠 (新字旧仮名) / 真山青果(著)