)” の例文
「お兄さん、エ、コリャどうなさりました。に……エ、迷い子はお前のお連れさんでござりますか、年はお幾つぐらい?」
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
よくも案内を知らないので半分はひ子になりながら、この騒ぎのなかを怪我けがもしないで見てあるくうち、とう/\宮城へ入り込んでしまひました。
拾うた冠 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
ふと僕は鏡の奥の奥のその奥にある空間に迷い込んでゆくようなうずきをおぼえた。あれはの郷愁なのだろうか。僕は地上の迷い子だったのだろうか。
鎮魂歌 (新字新仮名) / 原民喜(著)
彼は、夕暮れに、となった遅鈍な鶩を、剣をつけた銃で突き殺そうとした。そして、追っかけた。
武装せる市街 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
やっとあるくようなちいさなときから、あめ太鼓たいこきで、そのあとって、になったことがあるし、水車場すいしゃばのそばをとおれば、じっとちどまって、くるまおとみみをすましたものだ。
しいたげられた天才 (新字新仮名) / 小川未明(著)
自分独りが、こづき廻されているような、悲しい気持を慰めてもらうのには、前川氏に会うのが、一番だったが、こんない子みたいな今の気持で、前川氏に会うことは、避けたいと思った。
貞操問答 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
い烏の黒き翼を、切って落せば、地獄のやみぞ」
幻影の盾 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)