うん)” の例文
番頭漸くうんざりして熱い奴を少しばかり、湯の口にいた二、三人が一時に声を納めて言いあわしたように流し場へ飛出すと、また入れ代って二、三人
残されたる江戸 (新字新仮名) / 柴田流星(著)
食堂に現われる時の葉子の服装だけでも、退屈にうんじ果てた人々には、物好きな期待を与えた。
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
夫人は食堂の長椅子に、はたと身をせ掛け、いたくうんじたるていにて、圓く肥えたる手もて頬を支へ、目を食單もくろくに注げり。「ブロデツトオ、チポレツタ、フアジヲロ」とか。
然し忽ちうんで了う、則ち恋に倦でしまう、女子にょしの恋に倦だ奴ほど始末にいけないものは決してほかにあるまい、僕はこれを憎むべきものと言ったが実は寧ろあわれむべきものである
牛肉と馬鈴薯 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
と意気込んで激しく云うと、今度は夫人が、気の無い、疲れたような、うんじた調子で
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
または八月の暑熱にうんじて軽い眩暈めまいでも起したものか。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
うんくるめくわがにも由緒よしありげなる謎の花。
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
ある時は貧にうんじた老女の繰言くりごととはいえ
樋口一葉 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
身こそたゆまね、憂愁に思はうん
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
丹下右膳はうんじ果て申した。
雪たたき (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
うんずまで聞きたさに
小曲二十篇 (新字旧仮名) / 漢那浪笛(著)
汽車にはいたうんじた体で、夫人はかいなを仰向けに窓に投げて、がっくりびんを枕するごとく、果は腰帯のゆるんだのさえ、引繕う元気も無くなって見えたが、鈴のような目は活々と、白い手首に瞳大きく
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
うちにじみうんじつつゆくわがおもひ
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
身こそたゆまね、憂愁に思はうん
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
うんじくづるるのたゆげ。
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
うんず、夜の十二時
小曲二十篇 (新字旧仮名) / 漢那浪笛(著)
うんじぬ、かくて君が目も。——
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
うんじたるこころにしめす。
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
なしのままうんぜるわが身
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)