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翳
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かす
ふりがな文庫
“
翳
(
かす
)” の例文
が、不自由しなかったという条、折には眼が
翳
(
かす
)
んだり曇ったりして不安に脅かされていたのは『八犬伝』巻後の『
回外剰筆
(
かいがいじょうひつ
)
』を見ても明らかである。
八犬伝談余
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
取っつきのお美野の寝間には、有明行燈の灯がぼうっと障子に
翳
(
かす
)
んで、何の異状もありそうに思えない。
釘抜藤吉捕物覚書:13 宙に浮く屍骸
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「子供が目を覚すじゃないか。それに女中部屋にも聞える」
翳
(
かす
)
めた声に力を入れて云ったのである。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
木の枝で遮られて、
翳
(
かす
)
められたような日の光が、好い心持ちに自分を照している。日蔭も、静けさも、柔かい空気も、
総
(
すべ
)
て我が身の幸福であるように感じた。そしてそれを受用した。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
乳母はフロルスの前にしやがんで、お伽話や、小さい時の話をしてゐたが、それが種切になつてからは、自分の
翳
(
かす
)
んだ目で見、遠くなつた耳で聞いた事をなんの連絡もなしに話し出した。
フロルスと賊と
(新字旧仮名)
/
ミカイル・アレクセーヴィチ・クスミン
(著)
▼ もっと見る
こんな風に身を落してこそおれ、今に見よ、同志揃って吉良邸に乗りこみさえすれば、主君の仇を討った忠義の士として、世に
謳
(
うた
)
われる身だというような意識がちらと頭の中を
翳
(
かす
)
めたのである。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
記憶が
稍
(
やや
)
おぼろげになってはいるが又
却
(
かえっ
)
てそれが
為
(
た
)
めに、或る
廉々
(
かどかど
)
がアクサンチュエエせられて、
翳
(
かす
)
んだ、濁った、しかも強い色に
彩
(
いろど
)
られて、古びた想像のしまってある
百物語
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
山のやうに積んである穀物を
簸
(
ひ
)
るのだから、屑は澤山出る。それをあの婆あさんが一撮程づゝ手に取つて、
翳
(
かす
)
んだ目で五味を
選
(
よ
)
り出したところで、それが何の
足
(
たし
)
になるのでもない。
半日
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
晷
(
ひかげ
)
はもうヴェランダの
檐
(
のき
)
を越して、屋根の上に移ってしまった。
真
(
ま
)
っ
蒼
(
さお
)
に澄み切った、まだ秋らしい空の色がヴェランダの硝子戸を
青玉
(
せいぎょく
)
のように染めたのが、窓越しに少し
翳
(
かす
)
んで見えている。
かのように
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
“翳”の解説
翳(えい)は、殹・不光ともいい、春秋戦国時代の越の君主。
(出典:Wikipedia)
翳
漢検1級
部首:⽻
17画
“翳”を含む語句
陰翳
目翳
幻翳
翳扇
振翳
差翳
雲翳
底翳
一翳
翳塞
片翳
隱翳
翳見
翳蔽
翳影
突翳
横翳
掩翳
指翳
持翳
...