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糟
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かす
ふりがな文庫
“
糟
(
かす
)” の例文
初雄 えへん、君はこの村において、
肥料
(
こやし
)
の
糟
(
かす
)
にもならない、更に、あえて、しかしてその、いささかも用のない人です。
夜叉ヶ池
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
要するに
廢
(
すた
)
れて放擲られた都會の生活の
糟
(
かす
)
と
殘骸
(
ざんがい
)
………雨と風とに
腐蝕
(
ふしよく
)
した
屑
(
くづ
)
と切ツぱしとが、
尚
(
なほ
)
しも
淋
(
さび
)
しい
小汚
(
こぎた
)
ない
影
(
かげ
)
となツて
散亂
(
ちらば
)
ツてゐる。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
尾張の
日間賀
(
ひまか
)
島でも、メザイとコゴメとは同じで、これと小麦
糟
(
かす
)
、大豆の粃などを合せ蒸して
糠味噌
(
ぬかみそ
)
を作るという。
食料名彙
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
頭の中には夢の
糟
(
かす
)
が一杯に詰まつてゐるやうな気がする。とみ子、妻それから今かゝつてる創作のプロット、そんなものがちぎれ/\に眼の前を
駛
(
はし
)
る。
静物
(新字旧仮名)
/
十一谷義三郎
(著)
上原は渋江氏に対して余り同情を有せぬ人で、優善には
屁
(
へ
)
の
糟
(
かす
)
という
渾名
(
あだな
)
をさえ附けていたそうである。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
▼ もっと見る
野菜の切れはしや、魚の骨や塵芥はそこいらにちらばつてゐるし、風呂なんかは二三人はひると、白い垢や石鹸の
糟
(
かす
)
が皮膚にくつつく程浮いて小便臭くなつて了ふ。
日本三文オペラ
(新字旧仮名)
/
武田麟太郎
(著)
人間の
糟
(
かす
)
から牛と馬が出来て、牛と馬の糞から猫が製造されたごとく考えるのは、自分の無智に心付かんで高慢な顔をする教師などにはありがちの事でもあろうが
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
云い捨てると、列から後れた弾正は、駒を
速
(
はや
)
らせて、川瀬へ入れた。駒の脚から白い水が
颯々
(
さっさつ
)
と立って行く——。日吉は、
甘黍
(
あまきび
)
の
糟
(
かす
)
を口に入れたまま、
恍惚
(
うっとり
)
と見送っていた。
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
... 大根や
牛蒡
(
ごぼう
)
の頭と
尾
(
しっぽ
)
まで万年スープの材料にする位だから
払溜
(
はきだめ
)
へ入る者は全くの
糟
(
かす
)
ばかりだよ」と
滔々
(
とうとう
)
たる説明に小山も漸く納得し「僕の家でも早速この新式の火鉢を造らせよう」
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
私は時に高畑の東にある
新薬師寺
(
しんやくしじ
)
まで散歩した。その途中で数人の知友に
出遇
(
であ
)
ったりもした。あるいは夕日の暑さに
溶
(
と
)
ろけた油絵具の
糟
(
かす
)
が、道
端
(
ばた
)
の石垣に塗りつけられてあったりする。
大切な雰囲気:03 大切な雰囲気
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
あるじがもてなしとて、
芋
(
いも
)
と
蕪菜
(
かぶな
)
を味噌汁にしたるなかにいぶかしきものあり、案内がさし心えていふやう、そは秋山の名物の
豆腐
(
とうふ
)
也といふ。豆を
挽
(
ひく
)
事はせしが
糟
(
かす
)
を
灑
(
こさ
)
ざるゆゑ
味
(
あぢ
)
なし。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
燃え
糟
(
かす
)
を捨てると、一丈余り下の方で、光が消えた。多少水が残っているのだ。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そこで
欺
(
だま
)
して
己
(
うぬ
)
が手に入れて散々弄んだ揚句に
糟
(
かす
)
を僕に投げてくれた。姿も心も変り果てて、渦巻いていた美しい髪の毛が死んだもののように垂れている化物にして、それを僕に授けたのだ。
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
アメリカニズムのエロ姿によだれを流し、マルキシズムの赤旗に飛びつき、スターンバーグやクレールの
糟
(
かす
)
をなめているばかりでは、いつまでたっても日本らしい映画はできるはずがないのである。
映画芸術
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
糟
(
かす
)
もそのまま飯の菜に充るが、なお糠を混じて
搗
(
つ
)
いて糠味噌と名付け、そのままにも喰ったが多くは味噌汁にした。これはちょっと淡泊なもので、野菜などを実に入れて食べるとなかなか甘かった。
鳴雪自叙伝
(新字新仮名)
/
内藤鳴雪
(著)
けさ春の氷ともなし水の
糟
(
かす
)
召波
(
しょうは
)
俳句とはどんなものか
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
で、胴肩を一つに
揺
(
ゆす
)
り上げて、(大胆ものめが、土性骨の太い
奴
(
やち
)
や。主人のものだとたかを
括
(
くく
)
って、大金を何の
糟
(
かす
)
とも思いくさらん、乞食を忘れたか。)
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
すなわち酒の
糟
(
かす
)
と
糠
(
ぬか
)
と豆の皮と、この三つの品を
桝
(
ます
)
に入れて、次の詞を唱えつつ家の周囲にまき散らした。
雪国の春
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
造り酒屋で
糟
(
かす
)
を絞るのに使う真っ黒な麻の袋だ。それに、岩公がきょうまで、頭を下げて稼いだ金が、ほとんど、一文も
費
(
つか
)
ってないように、
串
(
くし
)
にして、いっぱいに詰っていた。
下頭橋由来
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そうして、それを
螺旋
(
らせん
)
の
締棒
(
しめぼう
)
の下に押込んで、
把
(
て
)
をぐるぐると廻し始める。油は同時に
搾
(
しぼ
)
られて
床下
(
ゆかした
)
の
溝
(
みぞ
)
にどろどろに流れ込む。豆は全くの
糟
(
かす
)
だけになってしまう。すべてが約二三分の仕事である。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
結局画面は混雑してただ心の亡霊と自然の
糟
(
かす
)
だけが画面に漂う。
油絵新技法
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
中部地方で
乞食
(
こじき
)
正月またはヤッコ正月というのも同じ意味らしく、あるいは
糟
(
かす
)
の飯などといって、この日正月の食物の残りを皆集めて、食べてしまうことにしている土地もある。
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
日吉は、噛むだけ噛んだ
甘黍
(
あまきび
)
の
糟
(
かす
)
を、そこらじゅうへ、行儀もなく吐きちらした。
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、伊織へ、酒の
糟
(
かす
)
の焼いたのを、紙につつんでべつにくれた。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“糟”の意味
《名詞》
(かす)酒を絞ったあとにできるもの。
(出典:Wiktionary)
“糟(かす)”の解説
かす(滓、糟、粕、残渣)は、原料となる液体や固体などから目的の成分を取り除いた後に残る不純物やあまりの部分。絞り残りなど。転じて、良い部分を取り去って後に残った不用の部分。劣等なもの。つまらぬもの。
(出典:Wikipedia)
糟
漢検準1級
部首:⽶
17画
“糟”を含む語句
糟糠
糟粕
糟屋
甘糟
糟谷
鰊糟
油糟
酒糟
甘糟備後
糟毛
糟邱
糟谷宗秋
糟谷弥次郎重行
糟谷権守
糟谷獣医
糟谷良斎
糟谷道教
麻田糟輕
締糟
蝋糟
...