残滓かす)” の例文
旧字:殘滓
塵埃ごみ残滓かすもそれぞれの時代の歴史性に従って残しつつ更に大きなプラスを持って積極的な進歩のための役割を果すものである。
もしこのとき滝人に憐情の残滓かすが少しでもあれば、父と子が声なく呼び合わしている、痛ましい狂喚を聴いたに相違ない。
白蟻 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
残滓かすのように、皮膚の色は変色して、紫灰色に——牧は、干した蛙のように、草の中にうずくまっていた。
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
「えへへ。」と笑う、茶色な前歯、金の入歯と入乱れて、窪んだ頬に白粉おしろい残滓かす
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
貴方という竪琴のいとが切れてからというものは……それからというもの……私は破壊され荒され尽して、ただ残滓かすと涙ばっかりになった空虚うつろな身体を
潜航艇「鷹の城」 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)