“ほん”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ホン
語句割合
34.5%
18.4%
13.8%
書籍8.5%
書物7.3%
2.5%
1.7%
1.7%
1.7%
1.4%
1.1%
脚本0.8%
0.8%
眞實0.8%
0.6%
些少0.6%
0.6%
0.6%
真実0.6%
洋書0.3%
写本0.3%
0.3%
本当0.3%
真個0.3%
真正0.3%
赤本0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
ほそ大根だいこを三四ほんぶらげて、今日けふ御馳走ごちそうつてたとつて、それを宜道ぎだうてもらつてつた。宜道ぎだう宗助そうすけその相伴しやうばんをした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
両親はまだ四十前の働者はたらきもの、母はほん好人物おひとよしで、吾児にさへも強いことば一つ掛けぬといふたち、父は又父で、村には珍らしく酒も左程たしなまず
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
今日は折柄の日曜日、読了へたのを返して何か別のほんを借りようと思つて、まだ暑くならぬ午前の八時頃に小川家を訪ねたのだ。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
そうでもあるまい、相当であろうぞ。……もっとも『赤蝦夷風説考』などという、しちむずかしい書籍ほんを作り、ロシアとの貿易を
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
尤もあの男の事だから、書物ほんといつたつてたんと読んでゐる訳でもあるまいが、源平盛衰記と太平記とだけはが悉皆すつかり暗記してゐる。
あら、しつとりしてるわ、夜露よつゆひどいんだよ。ぢかにそんなものにこしけて、あなたつめたいでせう。ほんとに養生深やうじやうぶかかたが、それ御病氣ごびやうき擧句あげくだといふし、わるいわねえ。
三尺角拾遺:(木精) (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
あらかじめ観客の注意を散在せしめないために、階下の一帯を消燈しておいたので、廊下の壁燈がほんのりと一ついているだけ、広間サロンも周囲の室も真暗まっくらである。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
曾に三ほん以下の官は、意のままに任免することをお許しになり、宰相の着ける蟒衣ぼうい玉帯ぎょくたいに添えて名馬をくだされた。
続黄梁 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
それが悪るいと小言をいふたら何の私にも家が有ますとて出て来るが宜からうでは無いか、ほんに馬鹿々々しいとつてはそれほどの事を今日が日まで黙つてゐるといふ事が有ります物か
十三夜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
帰路は海に沿うて南し、常陸の潮来いたこに遊んだ。服部南郭の昔俗謡をほんした所で、当時猶狭斜の盛を見ることが出来たであらう。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
学問の進歩が極点に達した時なら知らず、何も彼も多くは疑問として存してほんの理窟の言現いひあらはし方を少しづゝ違へた位で総て研究に属してゐる今日では学者と無学者とは相去る事幾何いくばくも無い。
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
「だから——だからいうんだ、あたしァ。——芸だって、脚本ほんだって、むかしァだれより新しいといわれた人なんだ。」
春泥 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
つけつて見た處が山崎町の裏住居うらずまひそれは/\目も當られぬ始末御新造樣しんぞさまなども誠に見るかげもなきしがなひ體裁なりふり御目に懸るさへもいやもう誠に御氣の毒千萬ほんに/\御痛おいたはしき事也大恩受たる大橋文右衞門樣が彼樣あのやうに御難儀なさるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それとも親故おやゆゑかとしんつてかれるにおりきかなしくりて、わたしだとて人間にんげんでござんすほどにすこしはこゝろにしみることもありまする、おやはやくになくなつていま眞實ほんあしばかり
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
此方こちらも会ふのが億劫おくゝふで、いつか/\と思ひながら、今だに着手ちやくしゆもせずにると始末しまつです、今日こんにちお話をるのはほん荒筋あらすぢで、年月ねんげつなどはべつして記憶きおくしてらんのですから
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
沢山たんとおっしゃいまし。——いいえう片手間の、あの、些少ほんの真似事でございます。」
浮舟 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その晩は、私もほんの出来心で、——若い内に有勝ありがちな量見から。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「あれ、お前のようにおいいだと、私が困るじゃないか。そんなに言う程の物じゃないんだよ。お前がよく勤めておくれだから、ほんの私の志と思っておくれ。……いいからさ、それは仕舞ってお置き」
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
それとも親ゆゑかとしんに成つて聞かれるにお力かなしく成りて、私だとて人間でござんすほどに少しは心にしみる事もありまする、親は早くになくなつて今は真実ほんの手と足ばかり
にごりえ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そのつた赤皮あかがは瀟洒せうしや洋書ほん
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
洋書ほん金字きんじ時雨しぐれたまし
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
中風のがあったが、しかし彼の作る写本ほんは、割に評判がよかった、商売にならない位値が安かったせいもある。見習弟子は薄ぼんやりで余り役に立たなかった。
(新字新仮名) / 織田作之助(著)
そなたその氣高けだか姿すがたほん蝋細工同樣らうざいくどうやうをとこ勇氣ゆうきからははづれたものぢゃ。
あんなやかましいおばあさんがいたってさせるのに、家でさせてくれないなんて——うそだというならいってごらん本当ほんだから! 買っとくれったら買っとくれ、月琴も一緒に!
おそろしい、をとこつてほねかくす、とむらのものがなぶつたつけの……真個ほん孤屋ひとつやおにつて、狸婆たぬきばゞあが、もと色仕掛いろじかけでわし強請ゆすつて、いまではおあしにするでがすが、旦那だんななにはしつたか
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「お光坊何を案じて居るの。何を考えて居るの。真正ほんのお父さんお母さんに逢いたいの。何が悲しいの。お泣きでないよ、わたしたちが見て居るよ」といい顔にじっと此方こちを眺めて居る。
漁師の娘 (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
降りてもらう。下せど下せど綱は底触れず、頭上の裂罅も一線とほそまり——なんていうのが、地下鉄チューブ売りの赤本ほんにあるよ
人外魔境:10 地軸二万哩 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)