ほん)” の例文
「たいへんにせいるな。」と、つきはいいました。馬追うまおいはびっくりして、二ほんながいまゆうごかして、こえのしたそらあおぎながら
酒屋のワン公 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ほそ大根だいこを三四ほんぶらげて、今日けふ御馳走ごちそうつてたとつて、それを宜道ぎだうてもらつてつた。宜道ぎだう宗助そうすけその相伴しやうばんをした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
あの『をさなきものに』とおなじやうに、今度こんどほん太郎たらう次郎じらうなどにはなかせるつもりできました。それがこの『ふるさと』です。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
そこで天皇てんのう大勢おほぜい家來けらいたちをおつれになりそのながい/\丸木橋まるきばしうへをおわたりになつたといふことが、日本書紀につぽんしよきといふほんてゐます。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
僕は山田君から、『酒は飲めればよし、ほんは読めればよし、』と評せられたが、此の酒に関する山田君の評は全く当つてゐない。
書狼書豚 (新字旧仮名) / 辰野隆(著)
此邊このへんまではるのだ。迂路うろつきまわるのですでに三以上いじやうあるいたにかゝはらず、一かう疲勞ひらうせぬ。此時このときすで打石斧だせきふ十四五ほん二人ふたりひろつてた。
よく「おもしろくて、ためになるほん」と、いうことが、いわれますが、一休いっきゅうさんのはなしなどは、その代表的だいひょうてきなもののひとつだろうとおもいます。
先生と父兄の皆さまへ (新字新仮名) / 五十公野清一(著)
いま其最中そのさいちゆうなの!屹度きつとわたしこといたほん出來できるわ、屹度きつとわたしおほきくなつたらひといてやらう——けど、いま最早もうおほきくなつたんだわね
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
原書げんしょといっても、じゅくにあるのは、物理学ぶつりがく医学いがくほんだけで、一つのしゅるいのものは一さつずつしかなく、ぜんぶで十さつばかりでした。
餘念よねんもなくたわむれてるので、わたくし一人ひとり室内しつない閉籠とぢこもつて、今朝けさ大佐たいさから依頼いらいされた、ある航海學かうかいがくほん飜譯ほんやくにかゝつて一日いちにちくらしてしまつた。
その證據しようこには、婦人雜誌ふじんざつし女學校ぢよがくかう校長かうちやうせつなどをむと、色々いろ/\ほん名前なまへげてゐても、ことごとくもつともらしい出鱈目でたらめである。
読書の態度 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
なくなつた一葉女史いちえふぢよしが、たけくらべといふほんに、狂氣街道きちがひかいだうといつたのはこれからさきださうだ、うつかりするな、おそろしいよ、とかた北八きたはち警戒けいかいす。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ほんならぼくかんがへがある。今度こんど會社くわいしや世界航海圖せかいかうかいづあたらしいのが出來できたから、あれをもらつておくらう如何どうだね、』と郵船會社員いうせんぐわいしやゐん一案いちあんした。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
其からは、此二つの女手をみなでほんを一心に習ひとほした。一月も立たない中の事である。早く、此都に移つて居た飛鳥寺あすかでらから巻数くわんずが届けられた。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
それを一々いち/\説明せつめいすれば百科ひやつかがく講釋こうしやくすることになり、それはわたしには出來できない藝當げいとうであるのみならず、一册いつさつほんにはとうていをされません。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
ほん商賣人しようばいにんとてくらしいもの次第しだいにおもふことおほくなれば、いよ/\かねて奧方おくがた縮緬ちりめん抱卷かいまきうちはふりて郡内ぐんない蒲團ふとんうへ起上おきあがたまひぬ。
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
あれあれうす鼠色ねずみいろおとこ竜神りゅうじんさんが、おおきなくちけて、二ほんつのてて、くもなかをひどいいきおいけてかれる……。
おぢさんは、みんながたいへん可愛かあいい。このほんきみたちにんでもらひ、うたつてもらうためにいたのだ。金持かねもち子供こどもなんかまなくたつていい。
赤い旗 (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
これやとはれてわか女房等にようばうらかまどまへつてうち女房にようばうとおつぎとにしてた。徳利とくりが三四ほんぜんまへはこばれた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
られた首がほんものの伊那丸か、見ている首が本ものか、なにがなんだか、さっぱりワケがわからなくなっちまった」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「それは漢字かんじばかりでいたほんで、おまへにはまだめない」とふと、かさねて「どんなこといてあります」とふ。
寒山拾得縁起 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
「おや。」とおもううちに、ちゃがまからひょっこりあたまが出て、ふといしっぽがはえて、四ほんあしが出て、やがてのそのそとお部屋へやの中をあるしました。
文福茶がま (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
さながらに漬物の味見でもするように、異性の性愛の芽立ちからとう立ち迄、又はなまなれからほんなれへとあさり歩きます。
鼻の表現 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
失敗もその通り、世の中で何某なにがしが大いに失敗したと四面楚歌めんそかの声が聞こえても、ほんの当人はどこを風が吹くかという顔をしていることがたまさかある。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
きみ遺族いぞく小穴君をあなくんなどがそれをもとめるけれど、きみほんかざれるやうなことがぼくけるものか。でもぼくはこのほんのためにたつたひとつだけは手柄てがらをしたよ。
「三つの宝」序に代へて (旧字旧仮名) / 佐藤春夫(著)
シューラは、新しい歌をあつめたほんを持っててやると、きのうクルイニンに約束やくそくしたのをおもした。ポケットへ手をっこんでみたが、本はなかった。
身体検査 (新字新仮名) / フョードル・ソログープ(著)
午後ほんを読んで居ると、空中くうちゅうに大きな物のうなり声が響く。縁から見上げると、夏に見る様な白銅色の巻雲けんうんうしろにして、南のそらに赤い大紙鳶おおだこが一つあがって居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
たすかり給ひしとはなしければ隱居は今迄面白く聞居きゝゐたりしが彦兵衞がはなしを耳にもいれず勝手へたつて何やらん外の用事をして居るゆゑ彦兵衞もほんやめ煙草たばこのんで色々咄を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
わたしはいまほんを、ちひさい兄弟姉妹けうだいしまいたちである日本にほんどもたちおくります。また。そのどもたちおやであり、先生せんせいである方々かた/″\にも是非ぜひんでいたゞきたいのです。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
時としてはぼうほんを以て毛拔き樣の道具だうぐを作り、之を用ゐて石片の周縁をつまきし事も有りしならん
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
他のほんで読んだのだが、パウロは、当時のキリスト党から、ひどい個人攻撃を受けたそうである。
パウロの混乱 (新字新仮名) / 太宰治(著)
だからわたし其時そのとき日本國民にほんこくみんとして所有しよいうするものは、わづかの家具かぐと、わづかのほんと、わづかの衣服類いふくるゐとにぎなかつた。そしてわづかに文筆勞働ぶんぴつらうどうつて衣食いしよくするのであつた。
すゝんでつた一ぴきは、たびたびもうこわくて、たまらないといふやうに、四ほんあしあつめてせなかをまろくしたりそつとまたのばしたりして、そろりそろりとすゝみました。
鹿踊りのはじまり (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
似する内に、又大まかなる所あるが結句人の愛する種とはなるなり。趣向もこの如く、ほんの事に似るうちに又大まかなる所あるが、結句芸になりて人の心の慰みなる。云々
実物と模型 (新字旧仮名) / 相馬御風(著)
丸橋忠彌召捕の時、麻布二ほんえのきの寺前の貸家に、三百三十たるの毒藥が隱してあつた。これは由比正雪が島原で調合を教はつたといふ南蠻祕法の大毒藥で、一と樽が何萬人の命を
ないし、報分はじめて起こるを、名づけて生有しょううとなし、命報みょうほう終謝するを、名づけて死有しうとなし、生後死前を名づけて、本有ほんうとなす。死および中に対するがゆえに、説いてほんとなす。
通俗講義 霊魂不滅論 (新字新仮名) / 井上円了(著)
この珠には初め随分人がだまされて金を沢山出したですけれども、今では余り沢山来て居てほん珊瑚珠と分ち得ることが出来るものですから人も欺されなくなって相場も下落しました。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
私や須山や伊藤(女の同志)などはその時他人ひとの履歴書を持って入り込んだのである。二百人のほん工のところへ六百人もの臨時工を取る位だから、どんなに仕事が殺到していたか分る。
党生活者 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
すると和尚をしやうさんの手許てもと長谷川町はせがはちやう待合まちあひ梅廼屋うめのや団扇うちはが二ほんりますから、はてな此寺このてら梅廼屋うめのや団扇うちはのあるのはういふわけか、こと塩原しほばらはかにも梅廼屋うめのや塔婆たふばが立つてりましたから
塩原多助旅日記 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
乳母 ならっしゃりませぬとも、このを十四ほんけますがな……とうても、その十四ほんが、ほんに/\、もうたったほんしかござりませぬわい。……初穗節はつほまつり(八朔)までは最早もう幾日いくかでござりますえ?
ほんにお前どうした、顔色かほつきが良うないが」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
もののほん、あるはちらぼふ日のなげき
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
またほんか。戀しいな
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
はじめは、ほそえだが、二ほんしかなかったのが、たちまちのうちに、三ぼんになり、四ほんとなり、こまかながたくさんついたのであります。
花と人間の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
學校がくかう中途ちゆうとめたなり、ほんほとんどまないのだから、學問がくもん人並ひとなみ出來できないが、役所やくしよでやる仕事しごと差支さしつかへるほど頭腦づなうではなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
望蜀生ぼうしよくせいとは、夢中むちうつて、それを採集さいしふした。其數そのすうじつに二ひやく七十六ほん。それを四大布呂敷おほふろしきつゝみ、二づゝけてことにした。
諭吉ゆきちは、西洋せいようほんをたくさんよんでいたので、だいたいのようすはしっていたのですが、じっさいにでみるのははじめてです。
とまだあをくてかきが、おとなりのかきひました。このあをかきと、あかかきとは、お百姓ひやくしやううちにはにある二ほんかきえだつてました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
新聞しんぶん今朝けさまへつくしてしまつたし、ほん元氣げんきもなし、ねむくもなし、喋舌しやべ對手あひてもなし、あくびもないし、さてうなると空々然くう/\ぜん
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
うへへ五ほんめの、ひとのこつた瓦斯燈がすとうところに、あやしいものの姿すがたえる……それは、すべ人間にんげんかげる、かげつかむ、影法師かげぼふしくらものぢや。
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)