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餘念
と
言葉やさしく
愛兒の
房々せる
頭髮に
玉のやうなる
頬をすり
寄せて、
餘念もなく
物語る、これが
夫人の
爲めには、
唯一の
慰であらう。
「おほせまでも
候はず、
江戸表にて
將軍御手飼の
鳥籠たりとも
此上に
何とか
仕らむ、
日本一にて
候。」と
餘念も
無き
體なり。
此處へと申にぞ
其儘に差出せば
急ぎ
封押開見て是は三五郎の
手跡なり此
文體にては紀州表の
調方
行屆たりと相見え
勇たる文段なり
然ながら兩人の
着は
是非晝過ならん夫迄は
猶豫成難し
餘念ながら是非に及ばず
悴忠右衞門
後を