“寸(ほん)” の例文
戀(こひ)か、三十日(みそか)かに痩(や)せたのは、また白銅(はくどう)を合(あは)せて、銀貨入(ぎんくわいれ)に八十五錢(はちじふごせん)と云(い)ふのもある……嬉(うれ)しい。寸(ほん)の志(こゝろざし)と、藤間(ふぢま)の名取(なとり)で、嬌態(しな)をして、水上(みなかみ)さんの袂(たもと)に入(い)れるのがある。……甘(うま)い。
九九九会小記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
「あれ、お前のようにお言(いい)だと、私が困るじゃないか。そんなに言う程の物じゃないんだよ。お前がよく勤めておくれだから、寸(ほん)の私の志と思っておくれ。……いいからさ、それは仕舞ってお置き」
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)