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真
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ほん
ふりがな文庫
“
真
(
ほん
)” の例文
旧字:
眞
苦しい算段の市の復興全体から言へば、彼の損害なぞは
真
(
ほん
)
の微々たるものに過ぎなかつたが、それでも木山の負つた傷は大きかつた。
のらもの
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
両親はまだ四十前の
働者
(
はたらきもの
)
、母は
真
(
ほん
)
の
好人物
(
おひとよし
)
で、吾児にさへも強い
語
(
ことば
)
一つ掛けぬといふ
性
(
たち
)
、父は又父で、村には珍らしく酒も左程
嗜
(
たしな
)
まず
天鵞絨
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
しかし、それも
真
(
ほん
)
の束の間だった。内藤夫人は食事の終りがけから再び続きものに取りかゝって、それをゆる/\と完結してから
好人物
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「ア
真
(
ほん
)
にそうでしたッけ、さっぱり
忘却
(
わすれ
)
ていました……エー母からもこの度は別段に手紙を差上げませんが
宜
(
よろ
)
しく申上げろと申ことで」
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
ところで、いいかい、なるたけ注意して、この
女
(
こ
)
は
真
(
ほん
)
にわたしの
媳
(
よめ
)
だ、
子息
(
せがれ
)
の
妻
(
さい
)
じゃない、というように姑に感じさせなけりゃならん。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
▼ もっと見る
あゝ是も
皆
(
みんな
)
罰ではないかと身体のきかない時には、
真
(
ほん
)
に其の後悔というものが出て来るものでのうお賤、して此のお方はお前の
良人
(
おつれあい
)
かえ
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
『あの時分の事を思ふと大きくなつたなア……お母様に
真
(
ほん
)
によく似て来るな、坊々は』と由太郎は小首かたげて栄一を見る。
死線を越えて:01 死線を越えて
(新字旧仮名)
/
賀川豊彦
(著)
紀州に
遣
(
つか
)
わされました方々が、天一坊が偽者であるという証拠を得られずに却って
真
(
ほん
)
ものであるという証拠を伝えて参りました時の御奉行様の御失望
殺された天一坊
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
そんなら
断然
(
いよいよ
)
今晩は来ないと
極
(
きま
)
りましたね。ぢや、
戸締
(
とじまり
)
を
為
(
さ
)
して了ひませうか、
真
(
ほん
)
に今晩のやうな気の
霽々
(
せいせい
)
した、
心
(
しん
)
の底から好い心持の事はありませんよ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
義作、貸しねえ貸しねえてって例の
我儘
(
わがまま
)
だから断りもされず、不断面倒臭くって困ったこともありましたっけが、
先刻
(
さっき
)
は
真
(
ほん
)
のこった、
私
(
わっし
)
ゃ手を合わせました。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そして教壇の革命論者や紙上のテロリストとは自ら異なる「
真
(
ほん
)
もの」の凄味に打たれた。私は啄木の所謂「奪はれたる言葉のかはりに行ひをもて語らんとする」
二人のセルヴィヤ人
(新字新仮名)
/
辰野隆
(著)
どんなのでも、懸ったら最後、逃しっこ無しというが、
真
(
ほん
)
の釣だろう。それを、中途で逸らすようでは、岡っ張で、だぼ
沙魚
(
はぜ
)
を
対手
(
あいて
)
にしてる連中と、違い無いさ。
大利根の大物釣
(新字新仮名)
/
石井研堂
(著)
自分は今日まで幾千羽といふ鶏を
潰
(
つぶ
)
したが吾ながら
巧
(
うま
)
かつたと思ふやうなは
真
(
ほん
)
に数へる程しか無かつた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
それ
故
(
ゆえ
)
真
(
ほん
)
ものゝA嬢を監禁して、其間に容貌の酷似したグヰンを身替りにして一芝居打ち、三人共謀の上財産を横領しようと図ったという事は充分に認められる。
緑衣の女
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
「お
前
(
めえ
)
は何も知るまいが、
俺
(
おら
)
は毎日ここへ来て立っているぜ。
真
(
ほん
)
の事だ、毎日来て立っている!」
片男波
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
その二つの見方はどっちも、それだけの理由があると思います。
他愛
(
たわい
)
のないという印象を与えたことも
真
(
ほん
)
とうでしょう。何人かの女の人からそう云う批評を聞きました。
女性の生活態度
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
貧
(
ひん
)
すりゃ
鈍
(
どん
)
になったように自分でせえおもうこのおれを捨ててくれねえけりゃア、
真
(
ほん
)
の
事
(
こっ
)
たあ、明日の富に当らねえが
最期
(
さいご
)
おらあ強盗になろうとももうこれからア
栄華
(
えいが
)
をさせらあ。
貧乏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
民子のためには
真
(
ほん
)
に千僧の供養にまさるあなたの
香花
(
こうげ
)
、どうぞ政夫さん、よオくお参りをして下さい……今日は民子も定めて草葉の蔭で嬉しかろう……なあ此人にせめて一度でも
野菊の墓
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
この米高また紙高の時節に羊に関する雑談などを筆するは
真
(
ほん
)
に張り交ぜ屏風を造って羊に食わすほど紙
潰
(
つぶ
)
しな
業
(
わざ
)
と思えど、既に六、七年続き来った『太陽』の十二獣談を今更中絶も
如何
(
いかん
)
と
十二支考:06 羊に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
真
(
ほん
)
ものゝ植物以上に生々と浮き出てゐる草花が染付けられてゐる鉄
辰砂
(
しんしゃ
)
の水差や、
掌
(
てのひら
)
の中に握り隠せるほどの大きさの中に、恋も、嘆きも、男女の
媚態
(
びたい
)
も大まかに現はれてゐる
芥子
(
けし
)
人形や
過去世
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
「ほんに、すっかり生きている——絵空ごとと世に言って、
不可能
(
あらぬ
)
ものを、作り出すことにたとえるが、
若
(
も
)
しこのように美くしい、
真
(
ほん
)
ものの人間が、たった一人でも此の世にいたなら——」
艶容万年若衆
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
お前みたやうのが百人
中間
(
なかま
)
に有たとて
少
(
ちつ
)
とも嬉しい事は無い、着きたい方へ
何方
(
どこ
)
へでも着きねへ、己れは人は頼まない
真
(
ほん
)
の腕ッこで一度龍華寺とやりたかつたに、
他処
(
よそ
)
へ行かれては仕方が無い
たけくらべ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
(これは
抑
(
そも
)
、
真
(
ほん
)
ものなりや、
偽
(
にせ
)
ものなりや)
剣の四君子:02 柳生石舟斎
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
真
(
ほん
)
の心得だけでもと度々
懇願
(
こんがん
)
するのだった。大した負担になることでもないし、和服姿の小柴さんと並んで坐れる仕事だ。快く折れよう。
四十不惑
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
それに引代へて私の家は、両親共四十の坂を越した分別盛り、(叔父は三十位であつた。)父は小心な実直者で、酒は
真
(
ほん
)
の
交際
(
つきあひ
)
に用ゆるだけ。
刑余の叔父
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
新吉は火鉢の前に
胡坐
(
あぐら
)
をかいて、うつむいて何やら考え込んでいた。まだ
真
(
ほん
)
の来たてのお作と一所に越した去年の今夜のことなど想い出された。
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「嬢様から一
献
(
こん
)
申し上げますが何もございません、
真
(
ほん
)
の田舎料理でございますが
御緩
(
ごゆる
)
りと召上り相変らず
貴方
(
あなた
)
の御冗談を
伺
(
うかゞ
)
いたいと
仰
(
おっ
)
しゃいます」
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
真
(
ほん
)
の
父母
(
ふたおや
)
のありやなしや、更に聞かぬ。併し口にこそ言わぬが、其小さい心に一点の暗愁立ち去らぬ霧の如く淀んで居るのは、
余所目
(
よそめ
)
にも見られる。
漁師の娘
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
打合わせもしないで両方とも立派に覚悟をして出かけたばかりか、とうとう
真
(
ほん
)
ものにしてしまった。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
リケットの情婦グヰンが娘に
生写
(
いきうつ
)
しであるを種に、A夫人は娘のスエーターを剥取ってグヰンに着せ、
真
(
ほん
)
ものゝA嬢と見せかけて、大胆に海浜旅館へ乗込んだのである。
緑衣の女
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
「おや、さやうでございましたか、それはまあ。余り好い御天気でございますから、ぶらぶらと出掛けて見ました。
真
(
ほん
)
に
今日
(
こんにち
)
はお熱いくらゐでございます。まあこれへお掛遊ばして」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
写真で、
真
(
ほん
)
ものと、「まがい」の区別はつかないから都合がなるほどいいものだ。
栄蔵の死
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
ただ
狗
(
いん
)
の屎を拾う気になって手を出しゃあ
攫取
(
つかみど
)
りだ、
真
(
ほん
)
の
事
(
こっ
)
たあ、馬鹿な世界だ。
貧乏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
根気好く伸して見ましたが、
真
(
ほん
)
の数えるほどしか残っていませんでしたから、
架橋工事
(
かきょうこうじ
)
が利きません。今はこれまでの運命と諦めました。
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
源助は、
先方
(
むかう
)
でも
真
(
ほん
)
の田舎者な事を御承知なのだから、万事間違のない様に奥様の言ふ事を聞けと繰返し教へて呉れた。
天鵞絨
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
今日は
些
(
ちっ
)
と遅いから
明日
(
あした
)
屹度帰す、是は誠に心ばかりだが……娘は明日屹度取戻してお前の
家
(
うち
)
へ帰るようにして上げるが、
此金
(
これ
)
は
真
(
ほん
)
の心ばかりだ
政談月の鏡
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
お島はそう言って、そこを小野田に見せたりなどしていたが、それはそれで
真
(
ほん
)
の外面の傷害に過ぎないらしかった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「あら、しっとりしてるわ、
夜露
(
よつゆ
)
が
酷
(
ひど
)
いんだよ。
直
(
じか
)
にそんなものに腰を掛けて、あなた
冷
(
つめた
)
いでしょう。
真
(
ほん
)
とに
養生深
(
ようじょうぶか
)
い
方
(
かた
)
が、それに御病気
挙句
(
あげく
)
だというし、悪いわねえ。」
木精(三尺角拾遺)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「気違さんもこの風には弱つたと見えますね。もう
毎
(
いつ
)
もきつと来るのに来ませんから、今夜は来やしますまい、何ぼ何でもこの風ぢや吹飛されて
了
(
しま
)
ひませうから。ああ、
真
(
ほん
)
に天尊様の
御利益
(
ごりやく
)
があつたのだ」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
万事、
真
(
ほん
)
の四五分で片付いたが、巡査が駈けつけた。五人は交番へ引っ張られて足らず、本署まで行って、大分手間を取った。
負けない男
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
『そだつてお前、
過般
(
こねえだ
)
も下田の千太
爺
(
おやぢ
)
の
宅
(
どこ
)
で、巡査に
踏込
(
ふんご
)
まれて
四人許
(
よつたりばか
)
り
捕縛
(
おせえ
)
られた風だし、俺ア
真
(
ほん
)
に
心配
(
しんぺえ
)
で……』
刑余の叔父
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
半ちゃんもお前にゃア
種々
(
いろ/\
)
世話になって済まないって、そりゃア
真
(
ほん
)
に銚子屋に預けられて居ても
女郎買
(
じょうろかい
)
一つしないで堅くして居るんだよ、
真
(
ほん
)
に感心さ
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
新吉も席を離れて、「
私
(
あっし
)
のとこもまだ
真
(
ほん
)
の
取着
(
とっつ
)
き
身上
(
しんしょう
)
で、御馳走と言っちゃ何もありませんが、酒だけアたくさんありますから、どうかマア御ゆっくり。」
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
小児
(
こども
)
と申しても
継
(
まま
)
しい中で、それでも
姉弟
(
きょうだい
)
とも、
真
(
ほん
)
の
児
(
こ
)
とも、賢之助は可愛くッてなりません。
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と安子さんは俊一君に
縋
(
すが
)
りついた。二郎君は遮ったけれど、声を立てられるのが恐ろしい。写真は
真
(
ほん
)
の一目見た丈けで取り戻されてしまった。
嫁取婿取
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
賤「はい困りますねえ、旦那が亡なりまして私は
小遣
(
こづかい
)
も何もないのですが、沢山の事は出来ませんが、
真
(
ほん
)
の
志
(
こゝろ
)
ばかりで誠に少しばかりでございますが」
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
それに
平常
(
いつも
)
はあんなに多勢入り交り立ち替り附いていて下すったのに、あいにく今朝は
真
(
ほん
)
の私一人きりでね。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
其
(
それ
)
は
真
(
ほん
)
の、ウツカリして言つたのだが、智恵子の眼は実際羨まし相であつた。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
怠ける
工合
(
ぐあい
)
、まともな人間から見ますれば、
真
(
ほん
)
に正気の
沙汰
(
さた
)
ではござりませなんだが、それでもどうやら人並に、正月はめでたがり、盆は忙しがりまして、別に気が触れた
奴
(
やつ
)
ではござりません。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「人様とお附き合いを致しませんから、身体こそ大きくても、未だ
真
(
ほん
)
の赤ん坊で、無邪気なものでございますよ。この間も」
嫁取婿取
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
“真”の意味
《名詞》
(シン)論理演算において、ある命題が、前提となる命題に対して矛盾を生じないこと。
(出典:Wiktionary)
真
常用漢字
小3
部首:⽬
10画
“真”を含む語句
真実
真向
真正
真正面
真個
真珠
真直
真面目
真黒
真中
真逆
真心
真人
真紅
真赤
真青
真先
真箇
写真
真情
...