ほん)” の例文
旧字:
「そのお話を、是非一つ、会場の広間で願いましょう。少々、蛇体を加えて、ここに胴から上、踏切の尾の方と言うような事になればほんものです。ねえ、槙さん。」
露萩 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それが悪るいと小言をいふたら何の私にも家が有ますとて出て来るが宜からうでは無いか、ほんに馬鹿々々しいとつてはそれほどの事を今日が日まで黙つてゐるといふ事が有ります物か
十三夜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
永「知らぬければいが、ありゃお前のほんの子じゃ有るまいが」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
そんならほんの事を云おうか、じつはナ。
貧乏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「ここに背負っておりますわ。それにほんに、見事な絵でござんすわ。」
開扉一妖帖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
この声を聞くごとに、ほんのこッた、紳士はぞッとする位で。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)