身狭むさ)” の例文
郎女の声、詞を聞かぬ日はない身狭むさ乳母おもではあつた。だが、つひしか此ほどに頭の髄まで沁み入るやうな、凜とした語を聞いたことのない乳母おもだつた。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
づうと這入つて来た身狭むさ乳母おもは、郎女の前に居たけを聳かして掩ひになつた。外光の直射を防ぐ為と、一つは、男たちの前殊には、庶民の目に貴人あてびとの姿をさらすまいとするのであらう。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)