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穢
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むさ
ふりがな文庫
“
穢
(
むさ
)” の例文
パアシング将軍は
態々
(
わざ/\
)
立つて、その士官の
船室
(
ケビン
)
に訪ねて往つた。士官は船酔の果てが、枕につかまつて頻りと
穢
(
むさ
)
い物を吐いてゐた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「お客、
穢
(
むさ
)
い夜具だが、ここなら
炉
(
ろ
)
もあるし、
夜半
(
よなか
)
に
喉
(
のど
)
が
渇
(
かわ
)
けば、湯茶も沸いている。ゆっくりと、この
蒲団
(
ふとん
)
へ手足をのばしたがいい」
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
何か書きものをしてゐる
穢
(
むさ
)
い安フロックにくるまつた先生だが、その御面相を見れば唾でもひつかけてやりたいくらゐだが、どうしてどうして
狂人日記
(旧字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
吼
(
ほ
)
ゆる
荒熊
(
あらくま
)
と一しょにも
繋
(
つな
)
がれう、
墓
(
はか
)
の
中
(
なか
)
にも
幽閉
(
おしこ
)
められう、から/\と
鳴
(
な
)
る
骸骨
(
がいこつ
)
や
穢
(
むさ
)
い
臭
(
くさ
)
い
向脛
(
むかはぎ
)
や
黄
(
き
)
ばんだ
頤
(
あご
)
のない
髑髏
(
しゃれかうべ
)
が
夜々
(
よる/\
)
掩
(
おほ
)
ひ
被
(
かぶさ
)
らうと。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
もと倉庫か何かであつた
穢
(
むさ
)
い地下室を、すつかり白と
丹
(
たん
)
と緑の配色で美しく塗直し、舞台の電灯の装置から卓や椅子までが
凡
(
すべ
)
て新しく出来て居る。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
▼ もっと見る
あさ「お
母
(
っか
)
さんが煩っていてじゞ
穢
(
むさ
)
くって仕様がないよ、何かする側で御膳を
喫
(
た
)
べるのは
厭
(
いや
)
だから、森さんお前さんの知っている所でお
飯
(
まんま
)
を喫べよう」
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
五時より六時の間なりしが例の如く珈琲館にて
戯
(
たわむ
)
れ
居
(
い
)
たるに、衣類も
穢
(
むさ
)
くるしく
怪
(
あや
)
しげなる男
一人
(
いちにん
)
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
日の目を見ない瞳はどんよりと濁り、頬は蒼ざめ、さかやきはのびて
穢
(
むさ
)
くるしくなつて居たあの時の囚人の顔が、自分の良人の顔と一つになつて、まざまざと闇の中でも見えて来る。
夜烏
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
溶けた雪路の、風のピウ/\吹く中をザブ/\と
践
(
ふ
)
んで先に立つて歩かれた。病人があるとでも聞けば、
穢
(
むさ
)
い小屋の下へ、臭いと云ふ顔もせずに入り込んで、親切に力を付けてやつた。
大野人
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
「では、どうぞあなたがここへ引移ってくださいませ。こんな
穢
(
むさ
)
い所でお気の毒ですが、たとい
賃仕事
(
ちんしごと
)
をしてなりとも、わたしはわたしで
世過
(
よす
)
ぎをして、あなたに御迷惑は懸けませぬ」
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
お前の
衣類
(
べゞ
)
のなくなつたも、お前の家のなくなつたも皆あの鬼めがした仕事、
喰
(
くら
)
ひついても飽き足らぬ惡魔にお菓子を貰つた喰べても能いかと聞くだけが情ない、汚い
穢
(
むさ
)
い此樣な菓子
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
この男は一本の綱の上に懸け渡した種々雑多な襤褸布を
穢
(
むさ
)
くるしい幕にして、戸外の冷たい風を防いでいた。そして、穏やかな隠居所にぬくぬく暖まりながら、呑気に烟草を
喫
(
ふ
)
かしていた。
クリスマス・カロル
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
「苦しゅうない。
穢
(
むさ
)
いところで恐れ入るが、通れ。ささ、ずうっと通れ。」
釘抜藤吉捕物覚書:07 怪談抜地獄
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
で、
両掌
(
りょうて
)
を
仰向
(
あおむ
)
け、低く紫玉の雪の
爪尖
(
つまさき
)
を頂く真似して、「
恁
(
か
)
やうに
穢
(
むさ
)
いものなれば、くど/\お礼など申して、お
身近
(
みぢか
)
は
却
(
かえ
)
つてお
目触
(
めざわ
)
り、御恩は忘れぬぞや。」と胸を
捻
(
ね
)
ぢるやうに
杖
(
つえ
)
で立つて
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
私の
穢
(
むさ
)
くるしい顔をおかしがって行ったのではあるまいか。
駅夫日記
(新字新仮名)
/
白柳秀湖
(著)
そのかげに
穢
(
むさ
)
き
姿
(
なり
)
して
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
その又八に続いて、武蔵も茶店へ駈けもどり、彼女の寝床のあったという
穢
(
むさ
)
い一間を覗いてみると、老婆のことばに違うところがない。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
乙給仕
饗應
(
もてなし
)
の
式作法
(
しきさはふ
)
一
切
(
さい
)
を、
一人
(
ひとり
)
や
二人
(
ふたり
)
の、
洗
(
あら
)
ひもせぬ
手
(
て
)
でしてのくるやうでは、
穢
(
むさ
)
いことぢゃ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
喰
(
くら
)
ひついても
飽
(
あ
)
き
足
(
た
)
らぬ
惡魔
(
あくま
)
にお
菓子
(
くわし
)
を
貰
(
もら
)
つた
喰
(
た
)
べても
能
(
い
)
いかと
聞
(
き
)
くだけが
情
(
なさけ
)
ない、
汚
(
きたな
)
い
穢
(
むさ
)
い
此樣
(
こん
)
な
菓子
(
くわし
)
、
家
(
うち
)
へ
置
(
お
)
くのも
腹
(
はら
)
がたつ、
捨
(
すて
)
て
仕舞
(
しまい
)
な、
捨
(
すて
)
てお
仕舞
(
しまい
)
、お
前
(
まへ
)
は
惜
(
を
)
しくて
捨
(
す
)
てられないか
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
で、
両掌
(
りょうて
)
を仰向け、低く紫玉の雪の
爪先
(
つまさき
)
を頂く真似して、「かように
穢
(
むさ
)
いものなれば、くどくどお礼など申して、お身近はかえってお
目触
(
めざわ
)
り、御恩は忘れぬぞや。」と胸を
捻
(
ね
)
じるように杖で立って
伯爵の釵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
巡「いえ、何ういたしまして、斯んな
穢
(
むさ
)
い
老爺
(
おやじ
)
を」
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
『甚だ恐れ入るが、これは昨夜、
兵糧
(
ひょうろう
)
に持参いたした
穢
(
むさ
)
い物でござる。もはや不用になりました故、どこぞお取捨てくだされい』
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それが
怖
(
おそろ
)
しい!
其
(
その
)
窖
(
あなむろ
)
で
呼吸
(
いき
)
が
塞
(
つま
)
ってはしまやせぬか?
其
(
その
)
穢
(
むさ
)
い
穴
(
あな
)
の
中
(
なか
)
へは
清
(
きよ
)
い
空氣
(
くうき
)
は
些程
(
つゆほど
)
も
通
(
かよ
)
はぬゆゑ、ロミオどのが
來
(
わ
)
する
頃
(
ころ
)
には
予
(
わし
)
ゃ
死
(
し
)
んでしまうてゐねばなるまい。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
喰
(
くら
)
ひついても飽き足らぬ悪魔にお菓子を貰つた喰べても
能
(
い
)
いかと聞くだけが情ない、汚い
穢
(
むさ
)
いこんな菓子、家へ置くのも腹がたつ、
捨
(
すて
)
てしまいな、捨ておしまい、お前は惜しくて捨てられないか
にごりえ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「ばば
茸
(
たけ
)
持って、おお
穢
(
むさ
)
や。」
小春の狐
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
要人
(
かなめ
)
は、そこを開けて、
閾
(
しきい
)
ごしに眉をひそめた。畳の上へ牛の
草鞋
(
わらじ
)
でも上げたように、
穢
(
むさ
)
い田舎者と、見ている眼だった。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
老婆
(
としより
)
の声が聞え、彼女は、あわてて中へかくれた。
穢
(
むさ
)
い漁師小屋だった。
魚油
(
ぎょゆ
)
を
燈
(
とも
)
すとみえ、臭い
灯
(
ひ
)
のにおいがして、家の中に、黄色い明りがついた。
春の雁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
すると、天堂一角が、いきなり、前に足を投げだしているひとりの
原士
(
はらし
)
をまたいで、その男の側へすすみ、
穢
(
むさ
)
いものでもつまむように、グイと
襟
(
えり
)
がみを引き起こした。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
綻
(
ほころ
)
びてもいたし、雨露や汗にも汚れていたはず、さだめし
穢
(
むさ
)
いにおいが畳まれていたであろうと思いながら、袖を通し
袴
(
はかま
)
を着けてみると、意外にも折目が、ぴんとついていて
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
仰せにあまえ、今夜はぞんぶん、手足を伸ばして
寝
(
やす
)
ませてもらおう。さらにこの髯が剃れるとは、心うれしい。首となるまでも、
穢
(
むさ
)
い髯は落して
逝
(
ゆ
)
きたいものよと思うていたのだ。
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
てまえが会ったのではございませんが、昨晩、大戸を
卸
(
おろ
)
してから、
穢
(
むさ
)
い身なりをした眼のするどい旅の男が、
樫
(
かし
)
の
杖
(
つえ
)
をついて、のっそりはいって来て——武蔵先生にお目にかかりたい。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
討入の夜も下に着てゐたのです。
穢
(
むさ
)
い物と、滅多にお取捨て下さいませぬやうに
折々の記
(旧字旧仮名)
/
吉川英治
(著)
見も知らぬ——そして
穢
(
むさ
)
い姿をした異様な小男が——自分へ向って、家来でもないくせに、わが君、わが君、と呶鳴りながら駈けよって来たのが、ふと信長の眼を注意させたのであった。
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「やあ、それにおる
穢
(
むさ
)
き者。朝堂の
御賀
(
ぎょが
)
には、楽寮の役人はいうまでもなく、舞人鼓手もみな、浄らかな衣服を着るのに、汝、何ゆえに汚れたる衣をまとい、あたりに
虱
(
しらみ
)
をふりこぼすぞっ」
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
袁紹は二度目に出てくると、
穢
(
むさ
)
いものを見るような眼で、許攸を見やって
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「これ。……その
穢
(
むさ
)
い下郎笠を、どこへな取り捨てろ」
私本太平記:05 世の辻の帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「まあ、ともあれ、
穢
(
むさ
)
い
家
(
うち
)
じゃが、上がってくれい」
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
穢
(
むさ
)
い
奴
(
やつ
)
めッ」
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
穢
漢検1級
部首:⽲
18画
“穢”を含む語句
汚穢
醜穢
穢物
薄穢
触穢
穢多
穢濁
垢穢
罪穢
穢土
口穢
濁穢
小穢
穢汚
穢虫
穢悪
汚穢屋
穢辱
浄穢
穢苦
...