汚穢むさ)” の例文
舌長姥 こぼれたあつものは、埃溜はきだめの汁でござるわの、お塩梅あんばいには寄りませぬ。汚穢むさや、見た目に、汚穢や。どれどれ掃除して参らしょうぞ。
天守物語 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
かれいへかへつたのはおしなんだときでも、それから三年目ねんめぼんときでもいへ空洞からり清潔きれいつててそれほど汚穢むさかんじはあたへられなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
見て是は/\市之丞樣どうしてマア我々が浪宅を御存じなるや先々まづ/\ちとこれへ御通り下されといふた所が御通りなさるゝ所もなき山崎町乞食長屋の汚穢むさくるしく御氣もじ樣やとひながらも簀子すのこの上にむしろ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
こうのう、殿、そのそばへ参ろうじゃがの、そこに汚穢むさいものがあろうがや。早やそれが、汚穢うて汚穢うてならぬ。……退けてくされませ、殿、)
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「おお可哀そうに痛かったかい、まあまあお召が砂だらけだ。どこも擦剥すりむきはしなかったの。え、てのひらを、どれお見せ、ほんとにねえ。」と何を持ちしか汚穢むさき手に、あたたき口をけて
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)