汚穢おあい)” の例文
雪之丞は、全身を汚穢おあいなへどろで塗りこくられでもするような、言い難い悪寒おかんをじっとえしのびながら、二人の言葉に耳をかたむけるふりをしていた。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
いったいなんであるのか?——表皮の全面にもはや一点の清い場所も残っていない時初めて幸福を感じ、汚穢おあいの中にころがって快楽を味わう、それらの豚のような魂は!……
と帆村は独言ひとりごとつぶやいたが、彼はそれほどあわてているわけではなかった。彼はこの屍室にはもっと汚穢おあいした空気が溜っていなければならぬのに、それほどではないのを不審に思った。
流線間諜 (新字新仮名) / 海野十三(著)