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汚穢
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おわい
ふりがな文庫
“
汚穢
(
おわい
)” の例文
東京市の道路は甚乱雑
汚穢
(
おわい
)
なり。此を攻撃する新聞社の門前は更に乱雑
塵捨場
(
ごみすてば
)
の如し。門に入り戸を開けば乞食も猶鼻を
掩
(
おお
)
うべし。
偏奇館漫録
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
汚穢
(
おわい
)
の習慣の修練 チベット人のごとくこの辺の人たちは非常に不潔であるいはラサ府の人間よりもこの辺の人間の方がなお
汚穢
(
おわい
)
です。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
曙覧は
汚穢
(
おわい
)
を嫌はざりし人、されど身のまはりは
小奇麗
(
こぎれい
)
にありしかと思はる。元義は潔癖の人、されど何となくきたなき人には
非
(
あらざ
)
りしか。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
対岸に
堆
(
うずたか
)
く積まれていた
汚穢
(
おわい
)
物の山は黒く点々と島になり、低い所から濁流は田畑に舌舐めずりしつつ食い入っていた。
土城廊
(新字新仮名)
/
金史良
(著)
それは人生の
汚穢
(
おわい
)
を描き、醜悪を暴露することによって、一種の征服的なる権力感へ
高翔
(
こうしょう
)
しようと言うのである。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
▼ もっと見る
そこはやはり
汚穢
(
おわい
)
の巣窟にしても、それほど不調和ではないためにそれほど不快なところじゃないからね。
マリー・ロジェエの怪事件
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
身についた
汚穢
(
おわい
)
は堪らなかった。僕はその生温いよごれた着物を一枚一枚と脱ぎ棄てながら歩いたのだ。しかもその足には怠惰という
疥癬
(
かいせん
)
が一面に巣喰っていた。
二十歳のエチュード
(新字新仮名)
/
原口統三
(著)
汚穢
(
おわい
)
や、悪臭や、その他あらゆる醜悪事に満ちた部分に住んだり、巣を作ったりする傾向のあるのは、いったいどうしたことか、という問題に興味をいだきはじめた。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
この詩を広く人生に
擬
(
ぎ
)
して解せむか、
曰
(
いは
)
く、凡俗の大衆は眼低し。
法利賽
(
パリサイ
)
の徒と共に虚偽の生を営みて、醜辱
汚穢
(
おわい
)
の沼に網うつ、名や財や、はた
楽欲
(
ぎようよく
)
を
漁
(
あさ
)
らむとすなり。
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
よくは知らないが
切支丹
(
キリシタン
)
の聖書というのを
覗
(
のぞ
)
いてみても、道徳律以外は奇蹟と安心立命の保証に充満している、詰り現実の
汚穢
(
おわい
)
と苦悩と悪徳、それに死の恐怖というもの
新潮記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
すなわちそれは、
汚穢
(
おわい
)
を土地に返す事である、汚穢を土地に送り肥料を田野に送る事である。この簡単な一事によって、社会全体が貧窮の減少と健康の増進とを得るであろう。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
獅子獣小さしといえども
撮
(
と
)
り食らう事
塵土
(
じんど
)
のごとし、大竜身無量にして
金翅鳥
(
こんじちょう
)
に
搏
(
う
)
たる、人身長大にして、肥白端正に好しといえども、七宝の
瓶
(
かめ
)
に糞を盛り、
汚穢
(
おわい
)
堪うべからず
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
新に
沐
(
もく
)
する者は必ず
冠
(
かん
)
を
弾
(
だん
)
し、新に浴する者は必ず衣を振うとは、身を重んずるの
謂
(
いい
)
なり。我が身、金玉なるがゆえに、いやしくも
瑕瑾
(
かきん
)
を生ずべからず、
汚穢
(
おわい
)
に近接すべからず。
徳育如何
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
汚穢
(
おわい
)
なる住居や、有毒なる空気や、激甚なる寒暑や、さては精神過多等の不自然な原因から誘致した病気のために、その天寿の半ばにも達せずして、紛々として死に失せるのである。
死刑の前
(新字新仮名)
/
幸徳秋水
(著)
この
汚穢
(
おわい
)
だらけな地面の上に、気をうしなって寝ていたかと思うと、いくら
洒
(
しゃ
)
アつくな蛾次郎でも、さすがにすこしあさましくなって、
今朝
(
けさ
)
の
寝起
(
ねお
)
きは、あまりいい気持でなかった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それは崇高というよりも、寧ろ
汚穢
(
おわい
)
で、調和的というよりも、寧ろ乱雑で、その一つ一つの曲線と、そこに
膿
(
う
)
み
爛
(
ただ
)
れた百花の配置は、快感よりは一層限りなき、不快を与えさえします。
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
ゆえにだんだんいわゆる理想の奥を探るとすこぶる
賤
(
いやし
)
むべき
野卑
(
やひ
)
なる動機に到着することがしばしばある。自己の欲望の
汚穢
(
おわい
)
を
掩
(
おお
)
うために理想という文字を用うるものがたくさんある。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
「あはゝ、などと言つて、
此奴
(
こいつ
)
、色男と共稼ぎに
汚穢
(
おわい
)
取
(
と
)
りの
稽古
(
けいこ
)
で居やがる。」
光籃
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
彼の
歓
(
よろこ
)
び知るべきである。かく神を事実上に見てその全能を悟るや、自己の無力
汚穢
(
おわい
)
は何よりも痛切に感ぜらるるに至り、
驕慢
(
きょうまん
)
にして自己に頼りし既往の
浅墓
(
あさはか
)
さは
懺悔
(
ざんげ
)
の種とのみなった。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
せっかくの生気も濃いアイ・シャドーのおかげでだいなしになり、ブゥルヴァルを流して歩く高等内侍の顔の中にある、あのどこか
汚穢
(
おわい
)
な感じのまじった一種特別な美しさになっています。
ハムレット
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
あるいは「東洋の
紐育
(
ニュウヨーク
)
」もしくは「東洋の
桑港
(
サンフランシスコ
)
」——こう呼ばれている
上海
(
シャンハイ
)
も、昔ながらの支那街としての県城城内へ足を入れれば、腐敗と臭気と
汚穢
(
おわい
)
とが、
道路
(
そと
)
にも
屋内
(
うち
)
にも充ち満ちていて
沙漠の古都
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
繃帯
(
ほうたい
)
などのために
汚穢
(
おわい
)
な変貌をしてもの乞の老婆の群のよう。
原爆詩集
(新字新仮名)
/
峠三吉
(著)
実に奇々妙々の風俗で、チベット国民が実に
汚穢
(
おわい
)
極まるということも、こういう事によっても知り得ることが出来るのでありましょう。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
沈黙した精神を、あらゆる
汚穢
(
おわい
)
と非礼と、無節度との
混沌
(
こんとん
)
の中から洗い上げて立ち上がらせること。
二十歳のエチュード
(新字新仮名)
/
原口統三
(著)
上を
蔽
(
おお
)
われてる
泥土
(
でいど
)
の中の死、すなわち
汚穢
(
おわい
)
のための徐々の息苦しさ、汚泥の中に窒息が
爪
(
つめ
)
を開いて人の
喉
(
のど
)
をつかむ石の箱、
瀕死
(
ひんし
)
の息に交じる悪臭のみであって、砂浜ではなく泥土であり
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
金玉
(
きんぎょく
)
もただならざる貴重の身にして自らこれを
汚
(
けが
)
し、一点の
汚穢
(
おわい
)
は終身の弱点となり、もはや
諸々
(
もろもろ
)
の私徳に注意するの
穎敏
(
えいびん
)
を失い、あたかも精神の
痲痺
(
まひ
)
を催してまた私権を
衛
(
まも
)
るの気力もなく
日本男子論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
汚穢
(
おわい
)
の
沓
(
くつ
)
を
穿
(
は
)
いて太陽の下を往くが、ここには一杯の佳き葡萄酒と、
高邁
(
こうまい
)
なる感情の
昂揚
(
こうよう
)
がある、見えずといえども桂冠は我らの額高く輝き、
象
(
かたち
)
なけれど
綾羅
(
りょうら
)
の衣我らを飾る、我らに
掣肘
(
せいちゅう
)
なく
溜息の部屋
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
糞
(
ふん
)
を
喰
(
く
)
う餓鬼 とも
謂
(
い
)
うべきもので、まあ私の見た人種、私の聞いておる人種の中ではあれくらい
汚穢
(
おわい
)
な人間はないと思うです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
「
汚穢
(
おわい
)
を拒否するという君のいわゆる純潔な肌。それがそもそも僕のいう必然さ。そして僕は予言する。その弱い宿命の皮膚は、とうてい人生の風当たりの強さに耐えないだろう」
二十歳のエチュード
(新字新仮名)
/
原口統三
(著)
エッケベルク氏の語るところによれば、支那の農夫で都市に行く者は皆、われわれが
汚穢
(
おわい
)
と称するところのものを二つの
桶
(
おけ
)
にいっぱい入れ、それを
竹竿
(
たけざお
)
の両端に下げて持ち帰るということである。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
“汚穢”の意味
《名詞》
汚れ。汚れているもの。
糞尿。
(出典:Wiktionary)
汚
常用漢字
中学
部首:⽔
6画
穢
漢検1級
部首:⽲
18画
“汚穢”で始まる語句
汚穢屋
汚穢物