汚穢きたな)” の例文
乞食より汚穢きたな婆々ばばあです、さうして塩茄子しおなすびのように干乾ひからびておりますよ。おお、胸の悪い、私が今参りました時は死骸の懐中をしらべておりました。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
アノ『基督教青年』を私が汚穢きたない用に用いるのは何であるかというに、実につまらぬ雑誌であるからです。
後世への最大遺物 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
こんな汚穢きたない身ながら、其まゝ仏にして下さるのやぞ、お、可愛! 可愛! 可愛が腹一ぱいなれど、今となつてはどうあつても病に勝たれんさかい、お前も断念めさつしやい。
厄年 (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
その所謂いはゆる田池がこんな小さな汚穢きたない者とは夢にも思つて居らなかつた。
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
雨戸あまどを引いて外の格子かうしをがらがらツと明けまして燈明あかり差出さしだして見ると、見る影もない汚穢きたな乞食こじき老爺おやぢが、ひざしたからダラ/″\血の出る所をおさへてると、わづ五歳いつゝ六歳むツつぐらゐの乞食こじき
華嚴に汚穢きたない馬鹿者の屍體をさらさうといふ場席は無いわけだ。
華厳滝 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
コンナ汚穢きたない新聞社に俺は這入はいるのかと思って……。
山羊髯編輯長 (新字新仮名) / 夢野久作(著)