斑點しみ)” の例文
新字:斑点
部屋の隅にある古箪笥ふるだんすに眼をつけるとそつと立ち上がつて、その上の何やら斑點しみのあるのを透して見た上懷ろ紙を出して靜かに拭きました。
こっちの部屋から流れこんで行く燈光ひかりで、その部屋はぼっと明るかったが、その底に濃紫こむらさき斑點しみかのように、お八重は突っ伏して泣いていた。
仇討姉妹笠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「しかし此女にも女がもつ共通の野卑と淫逸とが濳んでゐるかもしれない。それがまだ外から誘はれてゐないのだ。この女にやくざな賣婦の斑點しみがすぐ食ツ附いてゆくのだ。」
蒼白き巣窟 (旧字旧仮名) / 室生犀星(著)
斑點しみが大き過ぎたり、洗ふことの六づかしいものだと、切り取つて捨てるほかはない、袷一枚捨てるのは厄介だが、切り取つた小さいきれなら、どこへでも捨てられる
銭形平次捕物控:311 鬼女 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)