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汚点
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しみ
ふりがな文庫
“
汚点
(
しみ
)” の例文
旧字:
汚點
茶卓のクロース皮膚の
汚点
(
しみ
)
をつけて、無上の快楽については妥協政治で解決する弾力のある男女がおか
惚
(
ぼれ
)
同士のように話しつづけた。
大阪万華鏡
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
その
洋傘
(
かさ
)
だって、お前さん、新規な涼しいんじゃないでしょう。旅で田舎を持ち
歩行
(
ある
)
いた、黄色い
汚点
(
しみ
)
だらけなんじゃありませんか。
第二菎蒻本
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と、
顎
(
あご
)
がすぐに三重になる。それほど彼女はふとっていた。下を向くと、胴着の上に
汚点
(
しみ
)
がついている。なかなか言い返そうとしない。
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
汚点
(
しみ
)
のついてる古い壁板、きたない天井、緑というよりもむしろ黄いろくなってるセルの着せてあるテーブル、手
垢
(
あか
)
で黒くなってる扉
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
いわゆる
貸間長屋
(
デネメントハウス
)
というやつで、一様に同じ作りの、
汚点
(
しみ
)
だらけの古い
煉瓦
(
れんが
)
建てが、四六時中
細民
(
さいみん
)
街に特有な、あの、物の
饐
(
す
)
えたような
女肉を料理する男
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
▼ もっと見る
そこで私はその
汚点
(
しみ
)
を写真に撮って、
種板
(
たねいた
)
を補力して焼付けてみると、果して手型に相異なく、しかも長い華奢な手で、あらゆる細部が
ペルゴレーズ街の殺人事件
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
一本一石、松の枝ぶり、枯れ案配、壁の
汚点
(
しみ
)
から
瓦
(
かわら
)
のかけ方、あたりのただずまい何から何まで、似ているのではない、全然同じなのだ。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
百八十円で買ったとかいう狸の皮の裏には黒い
汚点
(
しみ
)
のあとがところどころに残っていて、それは
生々
(
なまなま
)
しい人間の血であると医師は言った。
探偵夜話
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
つまり彼は真白だと称する壁の上に汚い
種々
(
さまざま
)
な
汚点
(
しみ
)
を見出すよりも、投捨てられた
襤褸
(
らんる
)
の
片
(
きれ
)
にも美しい縫取りの残りを発見して喜ぶのだ。
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
絶え入るやうな悲鳴が続いて、明石縮らしい
単衣
(
ひとへ
)
の肩の辺に出来た赤黒い
汚点
(
しみ
)
が、見る見る裡に胸一面に拡がつて行くのだつた。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
富岡は、興味もなく、その新聞を枕もとに
放
(
はふ
)
り出して、大きなあくびをした。ゆき子は白いカーテンの、汚れた
汚点
(
しみ
)
をじいつと見てゐた。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
しかも明らかに打撲傷による出血と認められる青黒い大きい
汚点
(
しみ
)
が幾カ所も残っていた。胸とその周囲は棍棒で殴打されたように見られた。
世界怪談名作集:04 妖物
(新字新仮名)
/
アンブローズ・ビアス
(著)
「それに、正面からあれだけの事をやって、返り血を浴びないはずはない、——お浜の着物は残らず見たが、
汚点
(
しみ
)
一つないよ」
銭形平次捕物控:047 どんど焼き
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
その二つの寺は並びあっていて、一方は荒れはてた木造、一方は石造で、壁は黄ばみ、全体に
汚点
(
しみ
)
と亀裂だらけになっている。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
インクの
汚点
(
しみ
)
だらけの机に向かって、ぼろぼろの大きな帳簿にその患者の名を書き込んでいた病院の書記は、思わず微笑を浮かべてしまった。
紅い花
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
「吉兵衛は、あわてて、こりゃア飛んだ粗相をしました。すぐ
汚点
(
しみ
)
抜きをしますから、と言ってあなたを裸にしましたろう」
顎十郎捕物帳:18 永代経
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
ただ
燻
(
くす
)
ぼれて、口をいびつに結んで黙りこくってしまったような小さい暗い家が並んでいた。
漆喰壁
(
しっくいかべ
)
には蜘蛛の巣形に
汚点
(
しみ
)
が
錆
(
さ
)
びついていた。
巴里祭
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
そして過失に驚いた様子をしながら、人々の足下に散らばっている破片を集め、丁寧に謝罪しながら、婦人客の
裾
(
すそ
)
についた液体の
汚点
(
しみ
)
をぬぐった。
ウォーソン夫人の黒猫
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
吸入器、薬瓶、天井から下ってる電灯、何かこそこそ用をしている看護婦、膝の所に一つ黒い
汚点
(
しみ
)
のあるその真白な服、そして信子はじっとしていた。
二つの途
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
駄夫は壁に凭れて腕を組み、さて与里の顔や
汚点
(
しみ
)
の浮いた障子等を眺め廻して、遠い場所に騒いでゐる在るか無いかの物思ひに捲込まれたいと思つた。
竹藪の家
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
大輪の
向日葵
(
ひまわり
)
の、
萎
(
しお
)
れきって
項
(
うな
)
だれた
花畑尻
(
はなばじり
)
の垣根ぎわに、ひらひらする黒い
蝶
(
ちょう
)
の影などが見えて、
四下
(
あたり
)
は
汚点
(
しみ
)
のあるような日光が、強く
漲
(
みなぎ
)
っていた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
夜食を終つて寝につくまで、たつた一時間、髪薄き老妻の繰言は途切れ途切れ、
汚点
(
しみ
)
だらけの襖の影に巣喰ふ
焦
(
いら
)
立たしき沈黙こそ、此の世の不幸である。
武者小路氏のルナアル観
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
顔の肌も洗われたばかりで、老人らしい
汚点
(
しみ
)
もなく黄色く光って見える。二人はまた火鉢の側に坐りこんで、しばらく話をした。彼らの親戚たちの噂話。
斗南先生
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
置いてある御馳走へは畳の
塵
(
ごみ
)
が舞い上って自然と
溜
(
た
)
まるし、長い時間中には
蠅
(
はい
)
が飛んで来て不潔な
汚点
(
しみ
)
をつける。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
栄養不良の葉はすっかり縮んで
汚点
(
しみ
)
ができ、下枝の方の葉はもう黄色に枯れかかってさはると散りさうだった。
夏蚕時
(新字旧仮名)
/
金田千鶴
(著)
偶然
汚点
(
しみ
)
を天井にとどめたるものにして、化け物の所業でないことが、少しく心をとめて見ればすぐに分かる。
おばけの正体
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
それは「家」だつた。あの黒光りのする欅の柱、去年も一昨年も同じ所に造られた燕の巣。所々が剥げ落ち、雨で黒い
汚点
(
しみ
)
ができ、又上塗りをされた白壁。
医師高間房一氏
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
騎西家の建物は、充分時代の
汚点
(
しみ
)
で喰い荒され、外面はすでにボロボロに欠け落ちていて、わずかにその偉容だけが、崩壊を防ぎ止めているように思われた。
白蟻
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
しかし夕方になつて、体がぐつたりと綿のやうになり出すと、心の底から
汚点
(
しみ
)
のやうに浮き出して来る。
無題Ⅰ
(新字旧仮名)
/
北条民雄
(著)
彼は、下まぶたに大きな
汚点
(
しみ
)
のある袋のついた眼を細め、マッチを持ち添えスパスパ火をよびながら
一本の花
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
何か飲物をこぼした
汚点
(
しみ
)
だの手垢だのでよごれ放題、おまけに
縢
(
かが
)
りの糸もゆるんだり切れたりして、何代の人手に転々としたか想像もつかぬほどの大時代物である。
灰色の眼の女
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
おくみはそちこち
汚点
(
しみ
)
が附いてゐるまゝで行李にしまつてあるやうなものなぞも、昼の中に一々きれいにしておいて、そこらの押入の中を段々にきちんとして行つた。
桑の実
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
汚点
(
しみ
)
だらけな壁も、古風な小形の窓も、年代の故で歪んだ皮椅子も皆一種人生の倦怠を表はして居る職員室に這入ると、向つて凹字形に都合四脚の卓子が置かれてある。
雲は天才である
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
汚点
(
しみ
)
だらけの防水幕に仕切られた楽屋の片隅を、檻の中の熊のように、往きつ
復
(
もど
)
りつしていた。
夢鬼
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
青く塗つた窓際には夏からあるレエスの色の
褪
(
さ
)
めたのが掛つて居る。十二月らしい光線は
溝板
(
どぶいた
)
の外の方から射し入つて、
汚点
(
しみ
)
の着いた白い布の掛つた食卓の上を照して居る。
犬
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
「姉やん見やいせ。良え
光沢
(
つや
)
やろが。
汚点
(
しみ
)
が惜しいことにちょっと附いてるのでな。」
南北
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
同じ生気のない恰好をして歩いている
汚点
(
しみ
)
のような労働者たちのくねった長い列をみていると、これが何時、あの「ロシア」のような、素晴しい力に結集されるのか、と思われる。
工場細胞
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
今まで青い電燈の下で、黒く見えていたハンカチの
汚点
(
しみ
)
が、赤黒い血の色に変った。
悪魔の紋章
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
彼らだって永く添っているうちには面白くない
汚点
(
しみ
)
を双方の胸の
裏
(
うち
)
に見出しつつ、世間も知らず互も口にしない不満を、自分一人
苦
(
にが
)
く味わって我慢した場合もあったのだろうと思う。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
娘の欠点は、自分の恥の
源
(
もと
)
ともなります。父親のバニカンタは、却って他の娘達より深くスバーを愛しましたが、母親は、自分の体についた
汚点
(
しみ
)
として、厭な気持で彼女を見るのでした。
唖娘スバー
(新字新仮名)
/
ラビンドラナート・タゴール
(著)
その時までちっともそれに気がつかないでいた私には、何んだかそれはいま知らぬ間に私の万年筆からはねたインクの
汚点
(
しみ
)
かなんかで、
拭
(
ふ
)
いたらすぐとれてしまいそうに思えたほどだった。
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
差出人の名はありませんが明かに男の手蹟です。それもかなり古いらしく処々に
汚点
(
しみ
)
があります。私は何か見るべからざるものを見たような思いがしまして、それを手に持った儘迷いました。
消えた霊媒女
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
日がな一にちレクトル・エケクランツの水っぽい
瞳
(
め
)
が凝視している壁は、おもて通りに入口をもつ売春宿ホテル・ノルジスカの横ばらで、そこには雨と風と時間の
汚点
(
しみ
)
が狂的な壁画を習作していた。
踊る地平線:05 白夜幻想曲
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
柿本が入れられたのは支那人を追い出した、支那人への
施療
(
せりょう
)
病室だった。白ペンキが禿げた鉄寝台、
汚点
(
しみ
)
だらけの藁蒲団、
膿
(
うみ
)
くさい毛布。敷布や、蒲団蔽いはなかった。普通の病室よりは悪かった。
武装せる市街
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
ごま塩の
髷
(
まげ
)
をのせたその老人は、永遠の使用人として満足している人間の神妙げな表情であった。さし込む赤い西陽を受け、彼の顔にある
汚点
(
しみ
)
まで浮んで見える。出張所の役人が立って茶盆を取った。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
「僕の古い
紺
(
こん
)
の上着だ。そら
汚点
(
しみ
)
がある。」
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
又
安酒
(
やすざけ
)
や嘔吐の
汚点
(
しみ
)
は、舵も錨も失せた私に
ランボオ詩集
(新字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
膝なる
汚点
(
しみ
)
はわりなくも
我が一九二二年:02 我が一九二二年
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
なるほど、青味がかった
汚点
(
しみ
)
のようなものが目につく。しかし、彼は、それが
凍傷
(
しもやけ
)
の始まりだといい張った。どうせ、
睨
(
にら
)
まれているんだ。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
絶え入るような悲鳴が続いて、
明石縮
(
あかしちぢみ
)
らしい
単衣
(
ひとえ
)
の肩の辺に出来た赤黒い
汚点
(
しみ
)
が、見る見る
裡
(
うち
)
に胸一面に
拡
(
ひろ
)
がって行くのだった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
汚
常用漢字
中学
部首:⽔
6画
点
常用漢字
小2
部首:⽕
9画
“汚”で始まる語句
汚
汚穢
汚染
汚點
汚名
汚物
汚辱
汚涜
汚濁
汚泥